笹子トンネル崩落事故と地震の関係
大変な事故が起きてしまいました。
山梨県民としては身近なトンネルではありますが、私はあそこのコースを走るのが生理的に嫌いで、せいぜい年に1回か2回、職場から急ぎで甲府に行く時に「急がば回れ」で通るくらいでした。
トンネルの前後の急坂や急カーブが嫌なんですよね。中央道は全体にそういう高速道路ですけれども、特にあそこはあまり好きになれない。
そんな峠のトンネルではありましたが、こんな大事故が起きるなんて想像すらしませんでした。
原因の究明はこれからということになりましょう。しかし、私が一つ気にかかるのは、前日の正午に道志川断層震源の震度1の地震があったことです。
地震の巣「道志」のいつもの地震と言えばいつもの地震ではありましたが、こちらをご覧になるとお分かりのように、いつもと深さが違ったので印象に残っていたのです。
道志の地震に慣れっこになっている私は、その揺れ方で「ああ道志だ」と分かるほどになっています。しかし、昨日の正午の揺れはちょっと違った。もう少し遠いところかなと思ったのです。
それと今回の崩落事故が直接結びつくかどうかは分かりません。ただ、崩落への最後のひと押し(トリガー)になった可能性は捨て切れないと思います。
調査が進んでも、これはなかなか証明できないでしょう。しかし、かの東日本大震災以来2年近く、トンネルの構造物は数え切れない、様々な揺れを体験してきました。
そうした中で、アンカーボルトとコンクリートの摩擦抵抗に変化が起きることは容易に想像できます。また、建設以来36年という年月のことを考えると、そもそも構造物としての鉄とコンクリートに劣化が進んでいたと考えられます。
笹子トンネルは難工事でした。もともと湧水の多い山を掘るということで、それなりの対策は立てられていたようですが、実際には予想以上の湧水(毎分6トンとも)に悩まされました。だいたい山梨県のトンネル工事は水との戦いですね。
水が出るということは、そこが破砕帯である証拠です。断層がずれた際に岩石が破砕されて、水が流れる空間ができるのです。
すなわち笹子トンネルは、かつて活動した断層を横切って掘られたということになります。断層というと、そこで地震が発生すると考えがちですが、ある意味では地震の痕跡とも言えます。それが繰り返し動き、これからもその可能性があるものが活断層であるというわけです。
いずれにせよ、そうした環境に無理やり掘られた穴なわけですから、水が出やすく、また地盤も動きやすいのは事実です。当然ボルトやコンクリートは水や歪みの影響で劣化が進みます。
そこに大地震による長周期地震動、誘発地震や道志の地震による様々な震動が重なり、今回の崩落へじわじわと近づいてきていたと考えられそうです。
そして、昨日の道志震源の震動、それもいつもと違いやや深い所で発生した微妙な周期の震動によって、想定外の共振現象などが発生し、最悪の結果を生んでしまった…。
そういう意味では、大地震による被害の一つと言えなくもありません。
震災以降、各所で巨大構造物の調査点検が行われたと思いますが、「異常なし」というのは現実には絶対にありえない。何も起きていないことはありえないのです。
特に「吊り下げ構造」については、再点検、そして補強が必要でしょう。
私たち人間の技術力がいかに進歩向上しても、あくまでそれは自然相手のこと。技術も技術の産物も経年劣化しますし、それを取り囲む自然環境は常に想定外のダイナミズムを持っています。
選挙で原発問題が争点の一つになっていますが、こういう事故を目の当たりにすると、とてもとても核エネルギーに対して「絶対安全、安心」なんて言えるはずがないと確信してしまいますね。
犠牲になられた方々のご冥福をお祈り申し上げます。
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コメント
こんにちは。
不適切な発言であればお許しを下さい。
選挙ムードたけなわです。更に加熱し投票当日を向かえる事になりそうですね!
実際に現状ある意味で無政府状態と云う事で、商談なんか決まらなくなっていると思います。大きな商談は当然として、日々の小さなものまで選挙結果まで様子見になるのでしょうね。
産業創造の観点から解散選挙は非常にマイナス効果です。
安心して暮らせる社会を国民は築く責任があります。
宜しくお願いを致します。
投稿: RALLY NEW WAVE | 2012.12.03 14:49