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2012.11.06

北島三郎『詠人(うたびと)』〜「まったり」について

 化祭の準備やら、来年度の募集活動などでてんてこ舞いしております。ま、また実写版「うる星やつら」の撮影、編集が忙しいのですが(笑)。これは私の毎年の楽しみであります。
 さてさて、そんなドタバタな日々の中で、少しくらいは「まったり」したいなと思って、久しぶりにこの曲を聴きました。
 「まったり」という言葉、今ではすっかり全国に定着していますが、もともとは上方言葉として使われていたようです。おそらくは「まったし(全し)」の派生語でしょうね。
 完全である、安定して落ち着いているという意味の「まったし(またし)」は、語誌的になかなか面白い発展をしていますね。
 「まったい」という終止形は現代に残らなかったのですが、連用形の「まったく」は副詞として、連体形の「まったき」は連体詞として、それから「まったく」のウ音便形は「まっとうだ」という形容動詞として残りました。
 そして、「まったり」は今や現代生活に欠かせない副詞として大活躍しています。
 「全い」が「まったり」になるのは、「浅い」が「あっさり」、「細い」が「ほっそり」になるのと同じ現象です。
 つまり、「まったり」には、もともと「完全」「満ち足りている」というニュアンスがあったわけですね。
 江戸時代後期の上方の用法では、「まったりと」は、やはり「深い味わいがある」「ゴージャスな」というような意味で使われているようです。
 それが現代において全国的にデビューしたのは、おそらくはコミック「美味しんぼ」がきっかけでしょう。これは「味わい深い」という比喩的な意味ではなく、本物の「味」についての表現でした。「こくがあっておいしい」というような。
 それがまた「穏やかにゆったりする」というような気分で使われるようなったのは、実はこの「詠人」の影響が大きいと思います。アニメ「おじゃる丸」で10年以上にわたって巷に流れ続けたのですから。
 お聴きになってわかるとおり、アニメのオープニングは2番からなんですね。知りませんでした。
 いかにも平安時代の貴族ののんびりした余裕ある気分を「まったり」は表しています。つまり、その当時の気分が「まったり」という言葉に乗り、そしておじゃる丸のキャラクターもそこに重なって、現代に復活したということでしょうか。
 そうした「満たされた」気分というのが、現代の日本には欠けているのだとも言えるでしょうね(私ののように)。今や、まったりすることは、特別に贅沢なこととなりました。
 せめて、この北島三郎さんの朗々として、かつ穏やかな歌を聴きながら、平安貴族の気分に浸ってみるのもいいでしょう。ま、実際の平安貴族はそんなに「まったり」してなかったと思いますがね(笑)。

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コメント

「まったい」という言葉が土佐弁にあります。
でも、「弱い」という意味なので、違う言葉かも…

投稿: tadataka | 2012.11.07 13:21

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