« 『情報を読む技術』 中西輝政 (サンマーク出版) | トップページ | 『コミュニケーションは、要らない』 押井守 (幻冬舎新書) »

2012.11.02

また暴走!?田中眞紀子

200_pn2012110201001468ci0002 の国は恐ろしい状況です。本当に驚きました。寝耳に水、青天の霹靂どころか、驚天動地のニュースでした。
 「文科相、3大学の新設認めず 審議会答申覆す」
 まさに3年前の今頃、中学新設のために奔走していた者としては、このことは全く他人事ではありませんし、許せない暴挙としか思えません。
 たしかに、「大学設置・学校法人審議会」のシステムに全く問題がないわけではありません。ですから、それを見直すことは悪いことではない。しかし、なぜ、ここで、このタイミングで…。
 中学でも大変でしたが、新設大学の場合、その準備は本当に大変です。12月に最終的な認可が下りたその日から、1期生の募集をしなければならないからです。
 新設校はそういう意味で厳しいスタートを余儀なくされます。既存の大学が年内に推薦やAO入試で青田刈りしたあと、年明けにようやく推薦入試を行うことができるのです。これは大変きつい状況です。
 認可が下りる前にできる宣伝活動、募集活動はかなり限られています。中学の場合でも、県から詳細な指導が入りました。
 それに従って設立準備室は慎重に、しかし気合を入れて活動します。
 たとえば、今回認可が見送られた秋田公立美術大学は、こんなホームページを開設していました。
20121103_160358
 当然ルールの範囲内でのことです。そしてルールの範囲内でオープンスクールや説明会を行い、来年度入試の情報を公表します。
 もちろん内部的に言えば、教職員の採用などもこの時期にはほぼ終了しているはずです。そうでないと認可が下りないからです。
 そうして、従来の法令に則って準備を進めてきたのに、突然ここで認可せずでは、正直死を宣告されたのと同じくらいのショックを受けるでしょう。
 なぜなら、命懸けで1期生を集めようとしてきたからです。つまり、実際に、大学と高校生の信頼関係のもと、お互いの運命を預け合ってきたのです。
 それを第三者が突然このような暴挙でぶち壊してしまうことが恐ろしいのです。思いつきで人々の、特に高校生の人生を狂わせてしまうことが恐ろしいのです。
 現場の経験から、こういう状況が考えられます(秋田の例でお話します)。
 秋田市に新しい公立の美術大学ができる。自分はちょうどその道に進んで地元の文化や経済の発展に寄与したいと思っていた、という高校生がいるとする。彼は2013年4月開校という言葉を信じ、他の大学の推薦入試やAO入試を受けないで、年明けの同大学の推薦入試や一般入試一本にかけようとしていた。
 そこにこのニュース。彼がどういう不利益を得るかお分かりになりますよね。もうこの時期には、多くの推薦入試やAO入試が終わりつつあります。たとえあったとしても、今から短期間でその大学の入試に対応する準備をするのは困難です。たとえ他の大学に入れたとしても、それはある意味不本意入学となってしまいます。
 前途ある若者の夢を断ち切る恐ろしい暴挙です。私はとても許せません。
 さらに言えば、この秋田の大学の母体となっている現短大では、2年生の一部が、新大学の1期生に編入し新たな歴史を創る主人公になろうと意気込んでいたに違いありません。就職活動をせず、ひたすら(当然下りるであろう)認可を心待ちにしていたのです。「タイミングが悪かった」「ついてなかった」ではすまされません。
 大学設置に関する法令を見てみますと、平成15年に「準則主義」に変わったことが分かります。ここでの「準則主義」ということは、法人の設立にあたって、関係法令に従って準備が行われていると認められた場合は、自動的に法人格を与えるということです。行政機関が判断、許可するのではない、すなわち要件を満たしていれば、法人設立を拒否する理由も権利もないということです。
 当然、今回の3大学は今までの慣例どおり、そのような要件を満たすように慎重に準備をしていたはずです。そして、昨日は諮問委員会において「要件を満たしているので来春からの開校を認可する」との答申が出ていたにも関わらず、翌日、田中眞紀子文部科学大臣は、いきなり「諮問委員会のメンバーが気に入らない」という理由で、それを覆してしまったわけです。
 これは「法治国家」という観点からしても、絶対に許すべからざる暴挙です。たしかに「創造学園大学」の堀越学園問題などありましたが、そのとばっちりを、この3大学とそれを取り巻く関係者、そして志望していた若者が受ける理由は全く見当たりません。
 これは暴力です。文部科学大臣自らいじめをしているようなものです。本人は官僚制と戦っているつもりかもしれませんが、勘違いもはなはだしい。私が上に書いたようなことが起きるに違いないという想像力は、彼女にはないのでしょうか。あまりに冷血すぎます。教育界の風上に置けない、いや置いてはいけない人物です。
 これはもう、田中大臣を早く更迭して、新大臣がもう一度判断を覆すしかありませんよ。これを許してしまってはダメです。教育の歴史の汚点になります。日本の恥です。
 認可制度の見直しを来年度以降の重要案件とするなら、逆に評価されたことでしょう。なんで、こんな単純なことも分からないのでしょうか。こんな人に日本の教育を任せられるわけがありません。

|

« 『情報を読む技術』 中西輝政 (サンマーク出版) | トップページ | 『コミュニケーションは、要らない』 押井守 (幻冬舎新書) »

ニュース」カテゴリの記事

教育」カテゴリの記事

経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

教育の「基本」は
「好い人柄を創る」。

「横柄」な人柄は
「教育」を破壊します。

愚僧自身「素朴な人柄」
を目指してまいります。

投稿: 合唱おじさん | 2012.11.04 11:33

何を勝手なことをえらそうに.今まで文科省が無責任に認可を続けてきたことは,取り返しのつかない失策であることは,物をよくわかっている人ならば全員一致した意見です.田中大臣のやったことは,今回に関しては正解.あなたが甘い.

投稿: 通りすがり | 2012.11.04 15:25

その程度で摘み取られてしまう若者の夢や意気込みってなんですかね?
「死なない力」を伝えるべき立場の庵主様が動揺しすぎです。

そりゃ準備した学校関係者側や、通おうとしていた学生さんの当ては外れたでしょう。でもね、お上がアホだと思うなら、勝手に大学運営してしまえば良いじゃないですか。世論に訴えたりスポンサー探したりとかね。もう、すっかり国に首根っこ押さえれちゃって、この期に及んで突き放されても、結局国を頼ってるところが情けないです。
告訴も結構ですけど、それだけなの? というのが私の感想です。

投稿: LUKE | 2012.11.06 01:22

世の中のシステムの問題にどう対応すればいいのか…
今日を生きるためにはやっぱり、ご飯の問題、洗濯物の問題、子供の問題が先立っちゃいます。
そんなことやってる内にシステムが変わっちゃえばいいのに…なんて、ええじゃないかと踊っちゃう?

投稿: tadataka | 2012.11.07 06:41

こころの弱い人ほど
「横柄」になり
こころ替わりも早い
ものです。笑

投稿: 合唱おじさん | 2012.11.07 20:00

今回の新設校に関するドタバタは全て、田中氏の
おもいつきのように色々な掲示板に載っていますが
私は果たしてそうなのかと思います。
総理が田中氏を任命した段階で、3校の認可を取り消す
発言をするように言いくるめたのではないのかと考えま
す。
任命されて、いきなり3校に目をつけ、認可を認めない
というのは、あまりにもスピードが速すぎると思うので
す。
これは民主党が、世論が大学を増やす事について賛成
か反対かを探り、次期マニュフェストに大学の削減を
盛り込むかのテストをしたのではないでしょうか。
認可反対の世論なら、今後大学の新規設立や短大から
大学への変更を認めず、認可するべきの世論なら、すぐ
に撤回するつもりだったと思えるのです。

だいたい、北海道の看護大学の件はあきらかにおかしい
です。看護大学は確かに多いようですが、看護師は年間
10万人が激務等に耐えられずに退職するのです。
看護師の労働条件を早急に変えるのはむずかしいです。
しかし、看護を学び人を助ける人を増やす努力は国と
しては怠ってはいけないのです。
そんな事を考えながら、今回の件はやはり「思いつき」
ではなく、悪意だったというのが私の意見です。

投稿: 真実はなんだろう | 2012.11.08 23:00

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/55913/56033183

この記事へのトラックバック一覧です: また暴走!?田中眞紀子:

« 『情報を読む技術』 中西輝政 (サンマーク出版) | トップページ | 『コミュニケーションは、要らない』 押井守 (幻冬舎新書) »