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2012.11.01

『情報を読む技術』 中西輝政 (サンマーク出版)

Imgres Bにならないためにはどうすればよいか。その一つの答がこの本にあります。
 筆者は日本を代表する国際政治学者。安倍晋三さんの影のブレーンのお一人と目されている方です。今年春、京都大学大学院教授を退職し、京都大学の名誉教授となりました。来年以降、ますます忙しくなられることでしょう。
 そんな方の本ですから、情報の例として挙げられている情報がすごい。すごすぎました。思わず一気に読んでしまった。あまりに自分が無知である、いやいらぬ情報を知りすぎていたと反省(苦笑)。
 国際的な国家間、個々の国家内レベルで、こんなふうに様々な「ニセ情報」が跋扈しているわけですから、低いというか狭いレベルでの様々な情報なんて、本当に玉石混淆ですよね。ま、私自身がこうして発している情報自体、かなりアヤシイものですが(笑)。
 私たち凡夫レベルだと、こうしてまた「ニセ情報」情報を与えられると、ただ単に「だまされた!」とか「じゃ、こっちが正しいに違いない」とか、そういうデジタル的思考に陥ってしまいますが、さすが中西さんレベルだと違います。
 ある意味、巷間に跋扈する「ニセ情報」から「正しい情報」を読み取る技術を指南してくれる。「ニセ情報」が発信される理由にこそ「真実」があるということですね。
 そうそう、私は「偽史」や「陰謀論」を扱う時に、そういう姿勢を取っているんです。しかし、実生活の中においては、実はそういう姿勢を保てていなかった。案外、「白黒はっきりさせる」「ニセものは排除」というような、いわば原理主義者に成り下がっていたんですね。残念。
 というわけで、ぜひとも皆さんにこの本を読んでいただきたいわけでして、ここに目次を全て載せさせていただきたいと思います。
 この本の情報の中で特にこれというものを選んで書こうとしていたんですが、ついつい全部になっちゃいそうなので、こういう荒技を使わせていただきます。あとは皆さんでお確かめ下さいませ。

 1章 情報を知る

「タダより怖いものはない」
相容れない立場の情報は、自分を映し見る鏡になる
既知情報をいったん捨ててみる
重大情報ほど、トップから漏れる
「情報源の情報」には裏がある
「尺度情報」を読み取る
一つ先のことを考えるための情報
「情報操作」を見抜く
定点観測は「土地勘のある分野」から
相手の「育ち」を調べる
「誕生(成り立ち)」に目を向ける
思考過程がきちんと示されているか
映像時代の情報の落とし穴
「メディア・リテラシー」に学ぶ
死守すべきものがあれば、情報感度は高まる

 2章 情報を読む

「愚かな楽観主義」より「活力ある楽観主義」
「便りのないのはいい便り」はありえない
大筋を枠組みをつかむ
「背後でなにか進行している」を前提にする
報道の大小で重要性を判断しない
「一辺倒」でない情報は信用できる
世代的な情報断絶は、予測困難な時代をつくりだす
「原理主義者」の情報に気をつける
「ありえない」という情報が蔓延すると、大きな変化が起こる
相手が「隠そうとしている」ものを読む
規律化するのは本来それができていないから
「故意に強調されない情報」の真意を見抜く
「グレーゾーン」の存在を意識する
「みんな同じ」だと思考停止を招く
経済情報は、尺度として扱う
見えないものを「逆時系列」で読む
圧倒的支持を受けているものは危うい
権力者に近い知識人の情報は信用できない
テレビのニュースショーを信じるな
学者や評論家の「通信簿」をつける
情報はつねに主観的だと思え
表面的なイメージの「反面」を見る
「人間情報」を組織共有のものにする
自分の「情報ぐせ」を意識する

 3章 情報を使う

「信用」は、決定的な嘘をつくためにある
無形のものに金をかけたほうが勝つ
力を過信すると、情報力は衰える
情報は弱者にとっての最大の武器である
交渉や戦いの巧拙よりも、情報の有無が勝負を決める
情報部は執行部と距離を置くもの
「三十年の危機」の経験に学べ
主導権争いが、情報機関の発達を阻害する
「情報は早く、行動は遅く」の本当の意味
「正しさ」と「上手さ」を混同しない
情報の本質を「プラグマティズム」にある
好ましくない情報にこそ聞くべき価値がある

 4章 情報を活かす

「農耕的思考」から「狩猟的思考」へ
情報戦略の優劣が大差を生む
「ねじれ現象」の裏には情報格差がある
情報戦争は、意外な人物にまで及ぶ
結果から見た意味づけは、事実を歪める恐れがある
「情報」を「知恵」に結晶させる心構え
枠を一歩踏み出すと、大事な情報が見えてくる
先を見通すために、過去の似た事例から学ぶ
情報の逆手を取ってうごめく官僚たち
「歴史的記憶」情報による判断
乏しい情報力を補う「国民力」
戦後史から現代に活かせる情報を見る
変化への対応の遅れが、大きな犠牲を招く
あらゆる情報に増して重要な、「日本とは何か」という情報

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