『サイエンスウィンドウ(Science Window)』 (科学技術振興機構)
学校には毎日とんでもない量の「紙」が送られてきます。その処理も私の仕事の一つです。
最近はペーパーレス化によってその量は減ったとは言え、現実的にはメールで送られてくるものも半分は印刷しなければならないので、すぐに机の上が紙の山になってしまいます。
あんまり机上が荒れていて生徒に「すごいですね」と言われてしまったので、今日その地層化した堆積物を思いっきり捨てました。大概がどうでもいい内容(失礼)なものが多いんですよね。で、そういうものは、その時見ずに後回しにするものだから、そうて地層の下層に沈殿していってしまう。
で、たまに大事なもの、すぐに読もうと思っていた玉まで石に紛れてしまうことがあって、今日みたいな発掘作業というか、一掃作業の中でその玉が発見されることがあるんですね。
その一つがこの「サイエンスウィンドウ」でした。この冊子はいつも熟読しています。面白いので。
もともと理科教員志望だったこともあって、こういう科学読み物ヴィジュアル系雑誌は好きです。学校にあるもので言えば、何度かここでも紹介した「Newton」。国語のセンセイなのに小説なんか全く読まず、こういうものばかり眺めています(笑)。
この「サイエンスウィンドウ」は独立行政法人科学技術振興機構が発行しています。今年の春までは隔月刊だったのですが、予算の関係からか、今年度からは季刊になってしまいました。ちょっと残念です。
2012年秋号は、「音」がテーマ。もともと興味のある分野だったこともあって、楽しく読ませていただきました。
まず、巻頭の松任谷正隆さんのお話が面白かった。音作り職人がどういう感性で仕事しているか、よく分かりました。
基本、学校の子どもたちを対象とした編集なので、私のようなお子ちゃま大人には、このくらいのレベルでの科学談義がちょうどいい。
逆に言えば、今、科学が研究者による「オタク化」傾向を深めている現代において、こういう子どもの視点というのが、科学の基本に立ち返るためのよききっかけになるのではないかと思います。
マイクやスピーカーの原理、録音機器の歴史、ボーカロイドから自然の音に至るまで、まさに「音世界」を俯瞰した内容。ワタクシ的にもとっても萌えな内容ですね(笑)。懐かしい古典的録音機材の写真とかね。
そうそう、この「サイエンスウィンドウ」、この最新号も含めてバックナンバーをネット上で全部読めるんですよ。いちおう買うと300円なんですが、ネットで読む分には無料ということです。皆さんもぜひこちらから、興味のある分野だけでも読んでみて下さい。昨年の震災や原発事故の頃も、科学の立場からなかなか力の入った特集を組んでいました。
さて、今回は「音」について記事を楽しませていただき、また勉強させていただいたわけですが、それでも「科学少年」&「音楽大人」にとって、いまだによく分からないことがあります。
それは…スピーカーのことです。私は今でもこのスピーカーというヤツにだまされているような気がしてならないのです。
だって…たとえば、ヴァイオリンのように、ある意味科学でも解明できないような複雑な形や材質やら奏法によってあの美しく深みのある「音」が生まれますよね。その音が、完全にそのままでないにしても、明らかにヴァイオリンだと分かる質で、あの単純な「丸い紙」から再現されることが不思議でならないのです。録音の再生でも、私たちはけっこう感動できるじゃないですか。
というか、世の中のほとんど全ての音を、基本、丸い紙のマイクロフォンで取り込み、丸い紙のスピーカーで再現できるというのが理解できないのです。なんかだまされているような気さえするわけです。
皆さんはそんな疑問持ちませんか?映像の記録と再現はなんとなく理解できるのですが、音は…。
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コメント
オーディオの世界では今でも「原音再生」という訳のわからない言葉が一人歩きしております。「原音」なんてありもしないのに。
庵主様の「だまされている」という感覚で正解なんじゃ無いですかね。それで不都合無いでしょう。別に、楽器から出る音とオーディオでの再生音とに違いがあっても、音楽を楽しむことが出来れば良いわけであって、それがオーディオ本来の目的なのでしょうし。
宮城で「ベイシー」というジャズ喫茶を営んでいらっしゃる方の言葉を思い出します。
「もしデジタルより後にアナログが発明されていたらもの凄い出来事だったろう。」と。「塩ビ盤に溝を掘って、そこを針で擦るだけなのに、とてもリアルな音がするなんて、画期的を通り過ぎて魔法じゃ有るまいか!」
記憶を頼りに引用しましたので、細部の表現は違うと思いますが、大筋はそんな感じです。
いや、確かにね。(笑)しかも針一本しか無いのに、ステレオ再生ですよ!
投稿: LUKE | 2012.11.06 01:56