『黄金の国々―甲斐の金山と越後・佐渡の金銀山―』 (山梨県立博物館企画展)
先日行って参りました。なかなか面白かった。一般向けにはちょっと渋すぎるかなあ。マニアにはけっこう面白い内容ですが。
私は特にその道のマニアということでもないので、ま、ちょうど中間的な立場で観てきたという感じです。
ですから、山梨(甲斐)に関わるところはそれなりに楽しめましたが、越後・佐渡の段になると、やや退屈だったかな。
黄金の国ジパングの中でも、特に金の埋蔵量が多く、生産量も多かった甲斐の国。この山峡の小国が、歴史的にそれなりの力を持ち得たのは、この「金」の力が大きかったかもしれませんね。そして、「金(きん)」は「金(カネ)」になり、近世の甲州商人から近代の甲州財閥につながってゆく…。
金銀ほか花崗岩なども豊富だった甲斐の国は、特別な磁場を持つ土地だったとも言えましょう。人を引きつけるだけでなく、もしかすると一種の霊力が働いていた、いや今でも働いているかもしれません。
さて、そんなことを思いながら眺めたこの企画展、特に印象に残ったというか、気になったのは、大久保長安についてですね。
ご存知の方も多いと思いますが、この大久保長安はいろいろと謎の多い人物です。専門でない私がいろいろ書くよりも、この本を読んでいただいた方が早いし確かです(私はまだ読んでませんが)。
今回の展示に長安が奉納した能面などがありましたが、そう、大久保長安は猿楽師でもありました。金春流の能を舞っていたということです。秦氏の末裔とも言われる長安は、芸能者であり、かつ非常に優秀な鉱山技師(山師)でもありました。
全国を行脚する芸能者が裏社会のネットワークの一員であることは決して珍しくありませんよね。彼もそのような人間であったと予感されます。
彼の死後、家康が異常なまでの憎悪を抱き、なかば腐敗した長安の遺体を掘り出させ、お膝元の安倍川でさらし首にしました。子息七人にも切腹を命じ、完全に血統を断絶させるという、なんとも異常なほどの行動に出ています。
これは「大久保長安事件」として一般に言われているようなスキャンダルではなく、おそらくはその裏にある「霊力」を恐れてのことではないか推測されます。
かつては武田氏が、そして当の家康が、それこそ異常なほどに重用したのにも関わらず、死後そこまで恐れられるということに、私は妙に関心がわきます。ちょっと私なりに調べてみようと思います。
大久保長安と言えば、甲斐の黒川金山開発も有名ですよね。黒川金山と言えば、今回の企画展では全く触れられていませでしたが、「おいらん淵」のことを思い出します。
今では心霊スポットとして名高い「おいらん淵」…私も大学時代、天文部の観測会で一之瀬高橋に向かう途中偶然真夜中に立ち寄ってしまい、恐ろしい体験をしています。
実際にあそこで多数の女郎を殺害したかどうかは、学問的には証明できていませんが、それほど恐ろしい伝説が残ることの裏には、大久保長安の霊力と怨念が関係していると感じます。あんまりそういう視点で語る人いませんよね。久しぶりに行ってみようかな…いや、怖いからやめとこ。
大久保長安は「浅間神社」を信奉していたようですね。彼が発展させたと言っていい東京の八王子には、彼が作った浅間神社や富士塚が残っています。
それから、いわゆる大久保長安の埋蔵金。箱根に眠っているとか。ネットで調べると、なんだかそれについて出口王仁三郎も太鼓判を押しているようです。知らなかった。
というわけで、秦氏、能、金山、霊力、浅間神社、富士山、出口王仁三郎と、私のアンテナに引っかかりまくりの大久保長安なのでありました。
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