『営業マンは「お願い」するな!』 加賀田晃 (サンマーク出版)
これはすごい本でした。人生が変わりました…ウソ(笑)。いや、ある意味すごい本であることはたしかですね。
面白かったのは事実です。自分からはいろいろな意味で程遠いと思っていた「営業」という仕事が、実は非常に身近というか関わり深いということがよく分かりました。
人の心をつかまねばならない、人の心を動かさねばならない、自分の正しいと信じることを伝えなければならない…そういうことに関しては学校の先生の仕事にも共通しますよね。
また、ウチは私学ですから、実は私も「営業」をしています。というか私が営業担当という部分もありますね。明日も塾回りをする予定です。このご時世、なかなか大変なんですよ。
そんな意味で、たしかに自称(?)「営業の神様」の言葉には、説得力のある部分もありました。それなりに「なるほど」と思う部分はあったんですね。
ま、アマゾンのレビューにもあるとおり、さすがにこれは行き過ぎであり、時代遅れであり、現実的ではないかもしれませんが、たしかに教育現場も、最後は根性と熱意と「大声」で勝負しなければならないことも多いですからね(笑)。
でも、そればっかりじゃ、やっぱりダメですよ。
いろいろとツッコミを入れながら読むのもいいかと思いますし、たとえばこういうセールスが来た時の、こちらとしての対処法、すなわち「断り方」を考えながら読むのも面白いかもしれない。
相変わらずけっこう頻繁にかかってきますよ、変な勧誘電話。特に面倒で許せないのが、「逆ギレ系」のマンション経営の押し売りですね。あれって、加賀田さんの手法をさらに過激にしたようなものです。ま、私は軽くいなせますけどね、あんなの。
学校という現場でも、最近増えている(と言われる)モンスターやクレーマーに対する切り返し方として有用かもしれませんね。最後は圧倒しちゃうしかないですから。
それから普通に生徒と接する時のテクニックとしても勉強になることがありました。話の聞き方や質問の仕方、「イエス・バット方式」、「愛対意識・当然意識・不諦意識」などなど。なるほどなと思いました。
「営業とは、自分がよいと信じた物を相手のために断りきれない状態にして売ってあげる誘導の芸術である」…これが加賀田さんの結論です。これを無理やり教育に当てはめれば「教育とは、自分がよいと信じたことを相手のために断りきれない状態にして教えてあげる誘導の芸術である」ということになりましょうか。
たしかに、そういう「誘導」という、ある種の「演出」は重要です。教え方の半分は、実は相手を「学ぶ気にさせる」技術なのです。
こんな感じで、使えるところは使える、使えないところは使えない、という本でありましたけれども、なんだかなあ、タイトルがどうもしっくり来ない。意味が分からない。あまりうまいネーミングではないような気がします。うまく「誘導」できていません。私も御多分にもれず、電車の中吊り広告に誘導されて電子書籍を買ったのでした。
Amazon 営業マンは「お願い」するな!
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