鵜ノ島(うのしま)
合宿二日目。朝起きまして部屋の窓から望む鵜ノ島(うのしま)です。
鵜ノ島は河口湖に浮かぶ島。海なし県の山梨県では唯一の正式な「島」です。陸地のすぐ近くにあるのですが、基本的に無人島です。
島には縄文や弥生の遺跡があります。現在の河口湖ができた年代の確定にはいろいろと問題があるのですが、これらの遺跡は鵜ノ島付近がまだ陸地であり、つまり鵜ノ島自体が小山だった頃のものと思われます。
島には弁天さんが祀られています。弁天さんと言っても一般的なイチキシマヒメではなく、ここではトヨタマヒメに比定されています。
トヨタマヒメ(豊玉姫)はご存知のとおり、海の神様ワタツミ(綿津見)の娘で、山の神系統のコノハナサクヤヒメが生んだホヲリ(山幸彦)と結婚してウガヤフキアエズを生みます。つまり、山と海の交流の象徴ですね。そして、ウガヤフキアエズの息子が神武天皇ということですから、現在の皇室の直接の祖先ということになります。
ちなみに明見に残る宮下文書(富士古文献)には、独特な海幸山幸伝説や、51代に亘る「ウガヤ朝」伝説が記されています。
特にウガヤ朝の記述は謎に満ちていますね。記紀では一人とされるウガヤフキアエズ(宮下文書ではウガヤフジアハス)がなんと51代に及ぶという、ある意味トンデモな伝承になっているわけです。
その辺の解釈については、私も独自の説を持っておりますが、ここでは割愛します(長くなるので)。しかし、鵜ノ島の「鵜」と、鵜葺草葺不合命の「鵜」が関係していることはほぼ間違いないので、この富士北麓独特の伝承として、ここ鵜ノ島をベースにしっかり検証しなければならないと常々思っています。
なお、最近では、弁財天が祀られていることから女性に人気のパワースポットになっているらしいのですが、もともと豊玉姫は出産の際に龍になったところを、ダンナの火遠理命に覗き見されてしまったという、ある種の屈辱を味わっているので、女性としては男性不信というか、ちょっとした怨みを持っているフシがあります。ですから、軽い気持ちで行くとあんまりいいことがないような気がしますが(苦笑)。どうなんでしょうね。
私は鵜ノ島には上陸したことがありません。行きたくてもなかなか行く機会がありません。基本的に交通手段がないのです。ボートで上陸するしかない。しかし、なんとなく最近気になるので、近い内にどなたかと一緒に上陸して、参拝したり調査したりしてみたいと思っています。
ちなみにあの太宰治の「カチカチ山」において、残酷な処女ウサギちゃんが、タヌキおやじを泥船で殺す前にうっとり眺めた「うがしま」とはこの鵜ノ島のことであります。もしかして、太宰は豊玉姫の性格を知っていて、ここに鵜ノ島を登場させたのか?w
昨日の夜から富士山に本格的に雪が降りました。下に写真を何枚か貼っておきます。いよいよまた寒い寒い季節がやってきますね。当地方では格別な感慨のある風景なんですよ。
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