運動会の「万国旗」
今日は村の小学校の運動会でした。いつもは土曜日に行われるため、仕事のある私はいつも最後の部分しか観ることができなかったのですが、今年は珍しく日曜日の開催ということで、全日参加できました。
なぜ日曜日になったかというと、村の神社のお祭りが昨日の土曜日にあたっていて、こればかりは動かすわけにはいかなかったからです。
つまり、「神事」が二日続けて行われたということですね。神事としての運動会については、こちらやこちらに書きました。ご参照ください。
しかし、今年の運動会はちょっと微妙な感じがしました。盛り上がりに欠けるというか。後に座っていたおばあさんも盛んにそう言っていました。
今年はですね、まず応援席の席取りが実質的に禁止され、学年ごとに場所を指定されました。いつもなら仲の良い家や親戚が一つの大きなテントの下で盛り上がるのですが(大人は飲んで食って囃し役になる)、今年は結果としてバラバラ、ウチなんか夫婦二人だけで静かに観戦してましたよ。
それから、なんでしょうかねえ、特に民主党政権になってから、学校現場の「軍国主義」「軍隊作法」というノスタルジーの部分が排除される傾向があるような…。まあ、時代に合わせているとも言えましょうが、ラジオ体操すらない(ポップな音楽に乗ったストレッチのみ)というのは、それこそ親や爺婆にとっては、なんだか寂しいかぎり。
ご存知のとおり、運動会から「競争」的要素も排除されてきました。みんな一緒にゴールというのはさすがにないとはいえ、負けが個人の責任に還元されるような競技はほとんどありません。責任の所在がはっきりしないようになっています。
それから危険な競技もどんどん少なくなっている。今年は騎馬戦さえもなくなってしまった。棒取り(棒引き)になっちゃった。これは危険回避というよりは、やっぱり「騎馬戦」という軍事的戦闘要素を排除した結果でしょうか。
いずれにせよ、そこにはある種のドラマや、それに伴う感動や憐憫というものはありません。おそらく後のおばあさんはそんなところにも物足りなさを感じていたのではないでしょうか。
教育の中の保守的な文化というのは難しい問題をはらんでいますけれども、やはり、世代を越えての共有、共感がないと、祭は盛り上がりませんよね。単なる競技会とは違うはずですから。
さて、今日は、そんな運動会事情の中、なんとか生き残っている文化「万国旗」について書きましょうか。
万国旗っていつ頃からあるのかご存知ですか。明治時代、国際化が進む中で、いわゆる万国博覧会に対する興味が、特に子どもたちの間で高まりました。
昭和の私たちが宇宙開発に興味を持ったのと同じでしょう。知られざる外界に対して夢を見るのは、子どもの当然の特性ですよね。
もちろん、そこには外国や宇宙に対する侵略なんていう発想はありません。あくまでも平和的な友愛世界を夢見ての興味です。
日本の運動会はプチ軍事教練的な要素を持っていましたから、国の富国強兵政策と世界平和や共栄圏という発想を結びつけるのに万国旗は役立てられたのではないかと思われます。
聞くところによると、最近では運動会で万国旗を張り巡らさない学校も増えつつあるとか。万国とは言え、実際には数十カ国の国旗のみが使用されているところから、そこに不公平が生じるという理由もあるのだそうです。
ちなみにあの万国旗は20カ国5メートルで4000円くらいで販売されており、それを多数結びつけて使うというのが一般的なようです。
今日見た万国旗にも国連の旗がありました。国旗じゃないんですが、やはり世界平和という思想が込められているのでしょうね。逆に国連に加盟していない国の旗はないのだとか。たしかに北朝鮮のはなかったな。
運動会が終わって万国旗が降ろされました。係の人がそれを片付けているところに、いがぐり坊主の男の子が通りかかり、赤い旗が地面にあるのを見つけて、「中国め!」と言って踏んづけていたのには、ちょっと複雑な気持ちになりました(苦笑)。
国旗を巡る様々な事件が報道されていますからね。あの子はちゃんとニュースを見てるんですね。
万国旗が世界平和の象徴として日本中に張り巡らされることを願いたいと思いました。
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コメント
ウチの息子が小学1年になりまして、
初めての小学校の運動会に行ってまいりました。
そうなんです、自分の小学校時代を振り返りたくなる
くらいの今の運動会への違和感。
なんだ、あの体操・・・
ラジオ体操でやらないのか・・・
(今、ラジオ体操でダイエット流行っていて、
私、第二までばっちりなんですよ)
ヘンな音楽にダラダラしたストレッチ。
競技もみんな仲良く的な。
この行事はヒーロー、ヒロインが出てこそ盛り上がるというものでしょう。
(私は万年体育評価2でしたから、運動会の前日はてるてる坊主をさかさに吊るしてましたけど。)
息子はそれなりに楽しかったと言っているので、
それはそれでいいんだけれど。
どこからこうなってしまったのか・・・
時々、「大人」が意識していることを
歳だけ大人な私は「バッカみたい」って言ってしまいます。
投稿: yuzuki | 2012.09.17 11:24
明見も、昨日運動会でした
君が代と日の丸がちゃんとあってホッとしつつ、やはり準備体操は忍たまのスローバラードでタラタラやってました……
もともと体育会系のオバチャンは、同じく明見出身の同級生と
「こんなチンタラした体操で、運動会ができるんか!」って怒ってしまいましたよ
子どもの頃は騎馬戦は6年生の花形競技でしたけど、『軍国的』なんでしょうかね
イヤ、『川中島』でも『源平合戦』とでも言葉を変えれば、歴女としては萌えられるんですけど~ダメなんでしょうね…
その割には、組み立て体操、97人(?)で一つの俵をやっちゃいましたよ(支援級の子たちもちゃんと俵の一つになってたし)
組み立て体操は軍事的じゃないのかな?
せっかくの運動会、盛り上がれるものを見たいし、子供たちの頑張りに拍手を送りたいと思います
投稿: ふなふな | 2012.09.17 11:39