横田滋さん早紀江さん講演会
45年ぶりの再会。使命を痛感。
北朝鮮に拉致されいまだ帰国が叶わない横田めぐみさんのご両親の講演会が、私の勤める学校で行われました。
皆さんもご存知のとおり、最近の横田さん夫妻の忙しさは尋常ではありません。昨日も拉致問題国民大集会が行われたばかり。早紀江さんは「いつ死んでもいいから、とにかくめぐみちゃんたちと一言話ができてから私は死にたいと思っているんです」と訴え、滋さんは900万以上の署名を野田総理に渡したばかりです。
この講演が決まったのは6月頃だったと思います。その時は日朝協議の再開やめぐみさんの生存情報が舞い込んでくるということは想像していませんでした。ですから、ここへ来ての忙しさを受けて、今回の講演は中止にしてもよいと、学校側としては考えていたようです。しかし、横田さんご夫妻は「約束だから」と、特急でとんぼ返りの過酷なスケジュールにも関わらず、ここ富士山麓まで来てくださいました。
講演では、滋さんがめぐみさんの拉致を中心とするこの問題の経緯を詳細に説明してくださり、早紀江さんが親としての心情と国に対する怒りと期待を切々と語ってくださいました。
講演後、さっそく全校生徒に感想を書かせましたが、中学生のものを読むと、「当たり前の生活を幸せだと思うようになった」「横田さんは自分の娘のことだけでなく、他の被害者のことも考えていて立派だと思った」「30年以上解決しないなんて信じられない」「この10年間、首相がコロコロ変わるばかりで大切なことが何も決まらない」「早くめぐみさんが帰ってきますように」など、私たちが感じてほしいことをしっかり受け取ってくれたようで、本当に良かったと思いました。
横田さんの講演は公立学校では難しいでしょうね。日教組は「拉致はなかった」という立場をずっととり続けてきましたから。
そういう意味で、輿石東のお膝元山梨県の学校でこの講演会が実現したことは、ある意味画期的なことだとも思います。英断を下した理事長に敬意を表します。
本校は仏教の慈悲の精神に基づく人間教育を主眼とした学校です。人間教育の基本は「人権と平和」だと思います。その意味でも、本校にとってこの講演会は大きな意味を持ちました。
個人的な話も書かせてください。実は私は横田夫妻とは45年ぶりの再会でした。
というのは、私は昭和41年から42年にかけての約1年半、めぐみさんと同じところで過ごしていたからです。
私とめぐみさんは同い年。父親どうしが同じ職場であり、品川区のある同じ寮に住んでいたのです。おそらくは寮の庭の砂場やブランコで一緒に遊んだこともあったことでしょう(2歳くらいなのでお互い記憶はないと思いますが)。全く不思議なご縁です。
今日、理事長のはからいで、私と横田さん夫妻でお話をする機会を作っていただきました。私は当時のアルバムを持って行きました。
早紀江さんは、その思い出の地で遊ぶ私の幼い頃の写真を見て、「ああ、この子いたような気がする…いました、いました。懐かしい…」と言ってくださいました。そして、「この子がこうして立派になって」と感慨深げに私の顔を眺められました。
同い年ですから、めぐみさんと重ねて見える部分もあったのでしょう…私も涙をこらえることができませんでした。
その後、共通の知り合いの話をしたり、拉致問題や政局の核心に迫るお話をしたり、また、たまたま寸前に安倍晋三さんの奥様昭恵さんからメールでメッセージを預かっていたので、それを伝えたり、本当にありがたい時間を共有することができました。
講演には思いがけず、瀬戸龍介さんもいらしてくれており久しぶりに再会。瀬戸さんと昭恵さんも先週富士山麓で会っています。我が家のデバイスを中心としたネットワークの広がりとパワーを感じることができました。
そして、私は確信しました。めぐみさんは生きて帰ってくる。その日は近い。私も微力ながらその実現に自分のできることをしっかりしていきたいと思います。ご縁のあった者としての使命が何か明確になった一日でした。
横田滋さん、早紀江さん、お忙しいところ、そして、お疲れのところ本当にありがとうございました。今日の講演をふまえ、今後も生徒たちと「人権と平和」について考える活動を続けていきたいと思います。まずは15日の親子討論会です。
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