三鷹天命反転住宅
中高の生徒募集に関わる行事がめじろ押しです。今日も小学校の校長先生対象の説明会を行いました。
その中でワタクシの「死なない力」論を少し披瀝させていただきました。どのように受け取られたでしょうか。
さて、「死なない」で思い出したのが、三鷹天命反転住宅です。ご存知、荒川修作とマドリン・ギンズによる建築を超えた建築ですね。
いわゆる建築学の見地さえも拒否してしまうこの奇想天外なオブジェは、「死なない」ための住宅というコンセプトで創造されました。
身体に合わせた住宅ではなく、身体の可能性を開発する住宅。身体が開発されれば、魂も開発される。自分の知らない自分が生まれる。それこそが「死なない」なのだと思います。
これはよく理解できる。ワタクシの「モノ・コト論」で言うなら、言語(社会的常識)で記述(解釈)された時点で、私たちもこの世も死んでしまう。つまり、「コト化」され、情報化されるということは、死ぬということなのです。生き物は死んで初めて恒常になる。
逆に「モノ」は生き続けている。「モノ」とは無常を表す言葉だからです。「もののあはれ」とは、無常に対する嘆声です。生きているということは無常なのです。
実は最も情報化しやすいのは「自分」です。皆さん、自分のことはよく分かっているつもりでしょう。そう、そうして我々は自身を情報化して操ろうとするわけです。
そういう意味では、大人になるとは、すなわち死ぬこととも言えます。自分を諦めている状態。自分の可能性というか可塑性をあえて無視している状態。
そんな大人や、その集合としての社会に対するアンチテーゼがこの三鷹天命反転住宅です。
一般的には、建築(住宅)という「箱」は、私たちに対する名付けのような機能をはたします。学校なんかその最たるものです。どんどん名付けられて、言語化されて、箱詰めされて、そうして死んでいく。
昔の子どもは家で遊んだりしなかった。家は寝る、すなわち死ぬ場所でした。
青年期もみんな家出を画策しました。コト化へのせめてもの抵抗です。
それが、今はどうでしょう。子どもから大人まで、みんな死んでいる。家を出ても、そこには規格化された、アウトドアライフしかありません。地球自体が大きな建築の様相を呈しています。
じゃあ、どうしようか。逆説的に、住宅の中でモノ性を取り戻したらどうかと。
荒川さんがおっしゃるように、バリアフリー住宅は、どんどんお年寄りや障害者の可能性を削り取っていきます。バリアフル住宅の方がずっと可能性がある。いつも私が言っているとおり、教育の世界においても、バリアは成長を促す大切な存在です。
世の中が、安全、安心ばかりを求めると、どんどんバリアフリーになって、我々は死んでいくわけです。
荒川修作さん、2年前に亡くなってしまいましたが、やはり死なないでここにこうしていますよね。
なるほど、死なない方法というのはやはりあるのだなあ。そんなことをあらためて感じます。
私も死なないで生きるために、一度、この三鷹天命反転住宅で、自分が天命と思っているコトをひっくり返してみたいと思います。
家族で一泊してみようかな。いろいろなイベントがあるので、ぜひ下の公式ホームページからご覧ください。
不自由が自由を生む。ヘレン・ケラーの体現したがごとく。
三鷹天命反転住宅 公式
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コメント
お久しぶりです。
直接関係ないかもしれませんが、高知の沢田マンションを思い出してしまいました。
どちらも個人的に一度は訪問したいというあたりが共通点でしょうか。
投稿: 貧乏伯爵 | 2012.09.28 18:27