富士学苑中学・高校 ジャズバンド部 第10回リサイタル
我が中学・高校のジャズバンド部「Moon Inlet Sounds Orchestra」の第10回記念リサイタルに行って来ました。
10年の歴史を支えてきたOB・OGを交えた素晴らしい演奏を聴かせてくれました。楽しむとともにいろいろな感慨が胸に迫ってきました。生きた音楽には、こうして時を凝縮する力がありますよね。それを再確認しました。
このバンドについては今までもたくさん書いてきましたね。私も彼らのおかげで非常に楽しい音楽生活を送らせていただいてきました。
もう10年ですか。早いですね。しかし、とても濃い10年でもありました。この間のこのバンドの活躍はまさに目を瞠るものがありました。
私は以前、このジャズバンドの前身であったブラスバンド部の顧問をしていたことがあります。その頃は全く鳴かず飛ばずの弱体クラブでしたが、今では日本を代表するビッグバンドの一つとなっています。
その転機となったあるコンサートの日のことをはっきり覚えています。現ジャズバンド部顧問の大森長彦先生との出会いの日です。
理事長先生と一緒に大森先生の前任校のコンサートを聴きに行ったんですよね。その時すでに理事長先生にはプランがあったのでしょう。私は純粋に学生ジャズの楽しさを初体験した喜びに浸ったのを思い出します。10年後にこれほどのことになろうとは想像すらしていませんでした。
演奏技術やエンターテインメント性の向上はもちろんのこと、音楽を通じての生きた教育を実感させてもらったのも、私にとっては大きいことでした。自分の人生の中で、音楽と教育は大きな柱ではありますが、正直それが有機的に結びついていなかったのです。そういう意味で、私にとってもいい勉強をさせていただいた10年間だったと思います。
昨日、プロのビッグバンドの危機の話を書きましたが、一方でこうした学生ビッグバンドは、ある意味以前よりも盛んになっていると言えます。
もちろんプロがプロとして自活できない状況は憂うべきことですけれども、一方で、こうして子どもたちの中に浸透し、商業とは別のところでジャズが生きているというのは、決して悪いことではありませんね。
ジャズにおける自由と自発性と、ある種の反抗心のようなもの、つまりチャレンジ精神は、実は商業的な世界とは別次元に生きるべきものであり、子どもの世界と親和性があってしかるべきものなのです。
ですから、プロの衰退とアマチュアの活性化は、ジャズの正しい進化の過程であるとも言えるのではないでしょうか。今日、10代から20代の彼ら彼女らの演奏を聴きながら、そんなことを思いました。
逆に言えば、学生のジャズはこうでなければいけないなと。いつも苦言を呈しているように、一部の(大部分の?)大学生バンドのように、コンペのための硬直化した音楽になってはいけないなと。
このジャズの自由と自発性と挑戦は、音楽のみならず、教育のあらゆる場面で重要視しなければなりませんね。私たち全ての教師は、それらをしっかり引き出し伸ばすべくプロデュースしていくべきなのです。
今回のリサイタルで高校3年生の6人はとりあえず引退となります。毎年のことですが、こうして成長して飛び立っていく生徒たちを見ると、時の流れを感じますし、はたして自分はどうなのかなと、いつも自問自答させられます。
また、今年は中学の1期生二人の部員が3年生になり、今までにない6年間の活動の折り返し地点に立つことになりました。クラブとしても新しいステージに立つということですね。今後が楽しみです。
ワタクシ事ですが、今年からウチの娘もジャズバンド部の仲間に入れていただきました。今日もアンコールで尊敬すべき先輩たちに囲まれてベースを演奏しておりました。なんとも贅沢で幸せなことです。これからの5年間で、彼女もどんな体験をし、どんな成長をしてくれるか楽しみです。
私も負けないように、さらに音楽ライフをエンジョイし、教育者としても成長していきたいと思います。
生徒諸君、お疲れ様でした。そして、ありがとう!
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