「うるはしき人」とは…
明日付けの記事にすべきですが、どうにも我慢できないのでここに記しておきます。
本来書こうとしていた「最後の花火」についても最後に触れますので。
オリンピック、女子サッカー準決勝対フランス戦。いやあ、本当に素晴らしい戦いでした。あれこそ日本らしい戦いです。
もう言い古されていますね…個人技に組織力で対抗する戦い。後半のあの怒涛の攻撃に耐え、そして、あのPK失敗の奇跡を誘う(時節柄、かの戦争を思い起こさずにはいられません)。
昨年7月のワールドカップ優勝の時に、なでしこに見た「大和魂」という記事を書きました。大和魂とは「折れない心と絆」であると。
今回もまったく同じように感じました。そして、昨日の記事の内容と結びつければ、「なでしこの雄々しさよ」ということになります。だから「なでしこは美しい」。
日本という国は、もともと男女の差別どころか区別の希薄な国であったと考えています。欧米の父性原理に対して日本の母性原理などと単純化して比較されることもありますけれども、実はもっと複雑、いやシンプルなのです。
もともと日本人には大陸的な価値観での「男らしさ」と「女らしさ」が、対抗せずに同居していました。だから、「ををし」と「めめし」は対義語というよりは、同列で語られるべきものだったのです。そこには優劣や良し悪しはありません。
厳しさと優しさのように、両方を持ちあわせて、時と場合によってそれぞれを正しく発動させるのが、それこそ「正しさ」であったと思います。
ちなみに「うつくし」は古語においては「美しい」という意味ではありませんね。皆さんも枕草子の「うつくしきもの」で勉強されたことでしょう。今の言葉でいうなら「カワイイ」ですよ。小さかったり、可憐だったりして、胸がキュンとする感じです。「いつくしみ」と同源ということです。母性がくすぐられるような感じ。
一方、安倍さんの言う「美しい国」の「美しい」は、バランスのよい整った美しさのことでしょう、そういう美しさのことを古い日本語では、「うるはし」と言いました。今の「麗しい」の元になった言葉です。
「うるはし」は「潤ふ」と関係があると思われます。ちょうどこの前、うるう秒…「閏」とはという記事を書きましたね。そこちらにも記したとおり、「うるふ」とは、水が溢れんばかりに満ちている状態を表します。豊穣、潤沢というイメージです。そして瑞々しい。まさに「瑞穂の国」にぴったりの言葉ですね。
ですから、なでしこのメンバーたち、あの雄々しさがあって、初めて「うるはしき女」となるわけです。今風に言えば「美しい人」。
体操の彼らなんかどうでしょう。あれほどのアスリート、マッチョにも関わらず、なんともフェミニンな感じがしませんか。
面白い時代になりましたね。近代の価値観からすると、男が男らしくないとか、女が女らしくなくなったとか、ついつい言いがちですけど、実は正しい方向に進化しているのかもしれません。
「雄々しさ」と「女々しさ」の両方のバランスを取るためには、まずは両者が存在していなければならないのです。男らしさと女らしさ、父性と母性、厳しさと優しさ、硬さと柔かさ…などなど、たとえば自然界がそうであるように、私たち人間もそれらを両具し、バランスを取って行かなければならないわけです。
そういう姿に感動するんでしょうね。そうそう、感動ではないけれども、現代流行っている「ギャップ萌え」の起源もそんなところにあると考えられますよ。お分かりになりますよね。
さて、「最後の花火」の主役である、フジファブリックの志村正彦くんですが、彼って、とってもフェミニンじゃないですか。私なんか、彼とコノハナサクヤヒメを重ねてしまうほどです。
彼の美しさ、麗しさというのは、実はそういう両性具有というか、両性を自然に同居させていたというか、そういうところに感じられるのではないかと思います。
失礼かもしれませんけれども、私が彼と会った時、ある意味ちっとも「男」を感じなかった。ロックをやる人間なのに「男」という感じがしなかった。けれども、今の意味での「女々しさ」はありませんでした。あえて言うなら、本来の意味の「雄々しさ」と「女々しさ」を感じたのです。うわっ、きれいだ…あの震える瞳に吸い込まれそうになったのを覚えています。
私もなでしこや志村くんのように「美しい」人間になりたいですね。彼ら彼女らに共通しているのは、「感謝」の気持ちと「覚悟」だと思います。そういう人が増えて、日本全体が「美しい国」「うるはしき国」になることを望みます。
日本人はたしかに進化している。苦難、国難を経て、きっと新しい世界が開けますよ。
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