野田首相領土問題で会見
まあ、かしましいですね。韓国も中国も、そして日本も。あっそうだ、竹島が自国の領土だと主張しているのは日韓両国だけでなく、北朝鮮もなんですよね。なんだか蚊帳の外で可哀想なような気さえします。いっそのこと…いやいや、これは言ってはいけないな。
「かしましい」を漢字で書くと「姦しい」です。つまり…いやいや、これも言ってはいけないな。
私には、イ・ミョンバクも野田もポピュリズムに訴えているようにしか見えません。お互いに支持率が低下した中、選挙の季節を迎えるにあたって、突然(しかし古典的な)敵国を想起させ、吠えたり、あるいは冷静さを装ったりして、結局自らの勇敢さをコレミヨガシに演出しているようにしか感じられないのです。
もちろん中国も台湾もそうです。内憂をごまかすために外患に国民の目を向けるというのは、ポピュリズムの一技術にすぎません。
勧善懲悪という幻想を現実に持ち込むこと、善悪の二元論によって、世の中を分かりやすく塗り分けることは、古来行われてきた低劣な政治的技法です。
低劣と言うのは、そのような技法が結局その場しのぎに過ぎず、決して恒常的な平和や豊かさを招くことはないからです。
本来の「マツリゴト」は、白黒をはっきりさせるものではなく、どちらかと言うと、玉虫色であったり、グレーのグラデーションであったり、つまりデジタル的な解決ではなく、アナログ的な調整をする機能であったはずです。
我々一般市民は群れると愚民化します。もともと大したものではない上に、たとえばマスコミの恣意的な、いや意図的な情報に触れてそこに群がると冷静な判断力を失ってしまいます。まるで砂糖に群がる蟻のように。
欧米や中東では宗教対立の方が一般的でしょうが、宗教の希薄なアジアでは領土問題は一番分かりやすい砂糖ですね。
本当なら、政治家というのは、そういう砂糖を国民に見せないで、秘密裏に解決するべきです。あるいは、そういうことに振り回されないように指導する役を担うべきなんですね。
しかし、残念ながら現代においては、なかなかそういう政治家は現れません。結局、集団心理以下の集団気分に訴えるような手法しか持たないレベルの低い政治家しかいない。
人々の購買意欲をかきたて目先の利益を追求する(資本主義市場)経済の原理が政治の原理を凌駕してしまっているのです。そういう状態を現代日本では「ポピュリズム」と呼んでいます。
政治学上の正式なポピュリズムの意味とは違います。本来のポピュリズムは一部の保守的利権者としての エリートに対抗する手段としての「大衆主義」であって、「衆愚政治」ではありません。
しかし現状は、まさに「大衆の大衆による大衆のための政治」ですよね。民主党や維新の会なんか、まあ気持ちが悪いほどに砂糖をばらまいています。
もちろん私自身もそういうものに振り回され、感情的になっている一人だと自覚していますけれども、まあ多少の自覚がある分だけ、まだましかなとも思っています。
国際政治までがそういうレベルでの茶番になっていくのは恐ろしいことです。しかし、先ほど書いたように、そうした小手先の技術はすぐに化けの皮がはがれますし、それどころか、手痛いしっぺ返しを招くことになるのもまた歴史の証言するところです。
実は、この流れさえも大きなシナリオの一部だと私は感じています。大きな変革のドラマの中の茶番というか、中入り狂言というか、そんな意味のあるものだと思います。本体はすぐそこに控えています。
やっと本来の「政治」が復活する日が来るのでしょう。私はそう信じています。茶番狂言にばかり終始している国は自滅します。間違いありません。予言しておきます。
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コメント
>「大衆の大衆による大衆のための政治」
それこそ在るべき、そして取り戻すべき政治ではないのですか?
反原発だ!と群がるのは愚民だからですか?
増税の前にやることあるだろ!ってのは愚かな声ですか?
あと、肝心のロシアをお忘れのようで、何が姦しいのやら...。
投稿: LUKE | 2012.08.27 02:36