吉田の火祭りイヴ(宵祭り前夜)
明日は吉田の火祭りです。今年春、国の重要無形民俗文化財に指定されて初めての祭。
あの祭自体には特別な魅力があるのですが、一方でいろいろ問題もあるのも事実です。歴史的にも民俗的にも、もちろん宗教的にも。そして、今年もまた半神半人による屋台出店が自粛、いや制限されるのでしょうね。それでは祭の魅力、そして効果、価値が半減です。
そういう意味で、明日の本番には行かないかもしれません。今年はあえてイヴに行ってみよう(正式には27日が本祭なので、26日の火祭り自体がイヴの宵祭りということなんですけどね。まあ、いいや。イヴということにしておこう)。
そう思ったきっかけは、「クレイマー、クレイマー」でした。今日たまたま冨士浅間神社の近くで野外映画上映会があったのです。私も立ち上げに少し関わらせていただいた University of Mt.Fuji 主催による「クレイマー、クレイマー」上映会です。
いやあ、良かったなあ。私この映画観るの数十年ぶりです。結婚し親になってみて観るこの映画はまた格別な意味を突きつけてきましたね。この機会にこの映画を再び観ることができ、本当に良かったと思います。
「クレイマー、クレイマー」と言えばヴィヴァルディのマンドリン協奏曲というイメージですが、実はパーセルの楽曲が重要な意味を持つということが分かりました。ふむ、年をとるということ、経験を積むということはいいことだな。
それにしても、いいものですねえ。野外で映画を観るというのは。月と富士山。そこに挟まれてさそり座が見える。上映中にはスクリーンの向こうに明るいオレンジの流星が。少し寒かったけれども、それもまた「体感」としての映画にはプラスに働いたかも。体験、特に芸術的な体験にとって「場」というのは重要ですね。
企画運営された方々に感謝します。
さて、映画が終了して、私は会場のすぐ隣にある冨士浅間神社(上浅間)に向かいました。ふと思いついたというか、呼び寄せられるように、ですね。
皆さん、イヴはいいですよ!本当に素晴らしい体験ができました。
あの広い境内には誰もいませんでした。途中カップルらしき二人連れの影が見えましたが、私を見て暗闇に消えて行きました(笑)。
正直、神様を独占状態でしたよ。まず、鳥居の手前から本殿を仰いだら、ちょうどど真ん中にお月様が!
そう、コノハナサクヤヒメというのは実は「赫夜姫(かぐやひめ)」です。これはまさしくかぐや姫のご降臨だと感じました(というか、そう感じない人はいない状況です)。
火祭りは「浅間神社」のお祭りだと思っていらっしゃる方がほとんどでしょうけれども、実はちょっと違うというか、事情が複雑なんですよね。
詳細については専門家の方に譲りますが、とにかくこの火祭りはもともとは「諏訪神社」のお祭りだったのです。
冨士浅間神社の境内に諏訪神社があることからも、あるいはあのあたりを「諏訪ノ森」と呼ぶことなどからも分かりますが、浅間神社はある時代の流行を受けて勧請されたものです。本体は諏訪神社なのです(もちろん諏訪神社自体も勧請ですが。上の写真は浅間神社の拝殿です。ちなみに私たち夫婦はここで結婚式を挙げました)。
富士山に諏訪の神様(建御名方命)をお迎えする際、人々が松明を持って歓迎したのが火祭りの起源ともされています。
その証拠というべきか、祭の最初に、浅間神社の神様(木花咲耶姫=かぐや姫)が諏訪神社に遷されます。そこから諏訪の神様と一緒に高天原に出かけるという手順を踏みます。そして必ず明神神輿が先を行く。御山は諏訪の神様を追い越してはいけません。
その諏訪神社には、すでに御山神輿と明神神輿が定位置に据えられていました(ここでは御山が前です)。
そして、そこにはすでに諏訪の神様がいらっしゃる!変な話ですが、私は二人きり(?)で対面したのでよく分かるんですよ(笑)。もうすでに明神神輿のすぐ前におられて祭を今か今かと待っている。かぐや姫との再会を楽しみにしている。そんな感じでした。
お月様と富士山と諏訪神社…何かよく分かりませんが、私は「なるほど!」と一人合点してしまいました。言語化できないけれども、「あっ分かった!」という感覚でした。
本当に神様と交流できた瞬間でした。なんのことやら…と思われてもしかたありません。私はそういう人間なので。
楽しいんですよ。そういう瞬間は。日常生活の楽しさとは明らかに違う「楽しさ」なんです。こればっかりは譲れません(笑)。
さて、明日の本番に行くかどうか。これは分かりません。神様に聞いてみます。
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