『いたこニーチェ』 適菜収 (朝日文庫)
今日の産経ニュースに適菜収さんの文章が載っていました。こちら「民意に従え」は政治の自殺です。首が疲れるほど(笑)その内容にうなずきました。
適菜さんは山梨県出身の若手哲学者。ユーモアを交えながら、ニーチェやゲーテを通じて現代を痛烈に批判する方です。私はなんとなくそのライトでヘビーな語り口が好きで(自分もそうありたいと思っているのか)、著書はほとんど全て読んできました。
もちろん、私の考えとは相容れない部分もありますけれど、難解を装う哲学(の日本的翻訳?)の化けの皮をはがし、その面白さ、先鋭さを大衆に紹介していく姿勢には大いに共感します。
このブログでは最初のヒット作『キリスト教は邪教です!(現代語訳アンチクリスト)』を紹介しましたね。
そこに適菜さんご本人がコメントしてくれて紹介してくれたのが、この「小説」。そして、私が、彼の著作の中で特に皆さんに読んでもらいたいと思うのがこの「小説」。
そう、これは彼自身による「小説」です。その「小説」の体裁としても大変楽しめる良質のエンターテインメントになっている上に、内容はまさにニーチェそのもの、つまり現代(キリスト教文明)批判になっていて痛快です。
ニーチェと言うと本当に「難解」というイメージで最初から放り投げられてしまいそうな存在ですが、適菜さんの手にかかれば、こんなにシンプルで分かりやすく、そして爽快なものであったのかということが、驚きを伴って明確になります。
まあ、現代=キリスト教文明=諸悪の根源なんていう単純化された公式は、それこそ昨日の陰謀論に近い「物語」です。しかし、その物語が実は大衆にも大きな影響を与えているし、さらに言えば、「神」という概念自体が「物語」です。
これも昨日の記事に重ねて言うなら、陰謀論に対置される「神話」「聖書」なども、反対から見れば(たとえはコーランから見れば)全くとんでもない陰謀論でしょうし、結局そうした原理主義的(デジタル的)な思考こそが現代であり、世界であり、人間であるとも言えるわけです。
その辺を物語ってくれたのがニーチェであって、そういう意味ではまさに「モノをカタる」人=「いたこ」であったということでしょうか。
それをまた現代の日本語で物語ってくれたのが適菜収さんであり、彼もまた立派な「いたこ」であると言えそうですね。
政治家も哲学者も「いたこ」であるべきなのです。民意に従うということは、何も物語らないということですから。
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コメント
>「民意に従え」は政治の自殺です
最早タレントと化した杉村大蔵氏も同じようなことを言ってましたね。単なる選民意識の表れとしか思えない発言です。何様なんでしょうね、政治家って。民意に従わずして民主政治は成り立ちませんよ。
愚民どもめと大衆を見下す前に、その愚民共が何を考え、求めているのかを、キッチリくみ取る努力をしなさいよと。
国民の大部分が増税に反対しているとして、それが愚かなことですかね?
投稿: LUKE | 2012.07.07 18:31
知り合いから勧められた本です。興味深いですね。
投稿: よし@コミュニケーションスキル | 2012.07.10 23:12