富士山河口湖ジャズバー
(更新遅くなりました)
学期末の仕事を終えて河口湖ステラシアターへ。
我が富士学苑中学・高等学校のジャズバンド部と昭和音楽大学のビッグバンドの共演です。
本当なら梅雨明けの炎天下、ジャズにビールという組み合わせの「バー」だったはずなのですが、なにしろここのところの富士北麓は寒い!残念ながらビールはほとんど売れていませんでした。皆さんが飲んでいたら私も…と思ってたのに。
しかし、演奏の方はそんな寒さを吹っ飛ばす素晴らしい熱さがあり、ノンアルコールビールでもすっかりいい気分にさせてくれました。
我が校の演奏はいつもどおり中高生らしく楽しく新鮮でした。今のメンバーも順調に技術を向上させているのがよく分かりました。こうした成長を追えるのも学生バンドを聴く楽しみの一つですね。
そして、相変わらずMCがうまい(笑)。これも上質のエンターテインメントには欠くべからざる要素ですからね。歴代のMCの中でも彼はダントツです。
さて、今回、非常に期待しており、そしてその期待にたがわず素晴らしい演奏を聞かせてくれたのが、昭和音楽大学のビッグバンド「S.M.S.Lab.BAND」でした。
彼らは、2009年に同大学に創設されジャズコースのアンサンブル履修者から選抜されたメンバーによって今年生まれたばかりのビッグバンドです。
いやあ、本当にいい音、いい音楽でしたよ。予想以上、期待以上。なにが良かったって…最近大学生のビッグバンドにうんざりしていたので(失礼)、ホッとしたというか、やっぱりプロにしっかり指導されていると違うな、ジャズの本質、音楽の本質を見失わないでいると、こういうサウンドになるんだなと実感したんですね。
そう、その逆、「うんざり」の理由は第8回 富士山の森 ジャズフェスタの記事をご覧ください。ずいぶん嫌味なこと書いていますが、あえて書いて良かったと思います。なぜなら、ちゃんとそこをクリアーしている大学生バンドがあったからです。そういう意味では(エセ)批評家としても安心させてもらいました。ありがとう。
いや、ウチの卒業生がメンバーの中に3人いるからとか、そういうひいき目ではないですよ。実際、この前の富士山の森にも来ていた方数人と話しましたが、みんな私と同じ感想でしたから。昭和音大いいねえ!と。客観的な感想です。というか、普通の感性ならみんなそう思いますよ。
まず、自分たちが音楽を心から楽しんでいるのが良かった。どこかのように頭でっかちに自己満足になっていない。楽しさ、幸福感を共有しようという姿勢こそ、音楽家の基本ですからね。後半ソロや指揮をなさった彼らの先生の一人トランペット奏者の小林正弘さんもステージでそうおっしゃってましたね。
細かい技術的なことで言えば、たとえば金管のアンサンブルが絶妙でした。しっかりした音程の弱音で美しい和音を奏でるところなど、ちょっと鳥肌モノでした。よく訓練されているなあと。リズム隊の安定感、一体感も良かったし、サックスの技術も文句なしでした。
それにしても、トロンボーンの先生、片岡雄三さんの演奏はすごかったなあ…。トロンボーンってすごい楽器だなあと再確認しました。いや、楽器というより、ホンモノのミュージシャンの表現の広大さというか、なんか「自然」なんですよね。不自然と自然の自然ではなくて、富士山とか湖とかの「自然」。風景が目に浮かぶというやつです。
それから、ボーカルの先生、Minako"Mooki"Obataさんをフィーチャーしたチック・コリアの「Spain」が良かった!かっこよすぎ。アレンジも見事。
先生たちの「自然」的な演奏を目の当たりにし、それにインスパイアされて「自然」を開拓していく感じの学生たちの音、という幸福な関係も良かったなあ。師弟とはこうあるべきだなあと、教育者のはしくれとして感じました。一緒にやってみせて伝える…これが理想ですね。
ということで、まだまだ活動を始めたばかりの彼らですが、やや硬直化した感のある大学生ビッグバンド、大学生ジャスの世界に大きな衝撃を与えることでしょう。
そして、彼らの中から、日本のジャズ界、あるいは世界のジャズ界にムーブメントを起こしていく人材が生まれるのかもしれません。期待しています。
中高生にとってもとても良い刺激となったに違いありません。先輩たちの成長した姿にも触れられましたしね。先輩後輩、師弟…こうしてつながっていくのも音楽の素晴らしさです。
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