« LogMeIn | トップページ | 『世界の陰謀論を読み解く―ユダヤ・フリーメーソン・イルミナティ』 辻 隆太朗 (講談社現代新書) »

2012.07.04

筒美京平コレクション

23759 しぶりに我が歌謡曲バンドにオファーが来ました。いろいろな音楽活動をしておりますが、最も楽しいのはこれですね。具体的に言うと、老人福祉施設での歌謡曲演奏です。
 娘がジャズバンド部に入ってベースを始めましたので、いよいよ家族バンドの夢が実現しそうです。下の娘はアコーディオンでもやらせるかな。
 で、選曲のためにカミさんとYouTubeでいろいろチェックしていたんです。いろいろああでもないこうでもないと言いつつ、たまたま出てきた「東京ららばい」を久しぶりに聴いたら、あら〜これは良くできた曲だ、作曲は誰だろう、たぶん筒美京平だろう、なんてことになりまして、確認したらやっぱり彼の作品でした。
 さあ、そこから聴くわ聴くわ、スーパー筒美京平ナイトになってしまいました。横で娘が期末テストの勉強してるのに、親は昭和の歌謡曲からJ-POP総復習状態(笑)。
 今さらですけど、まあホントにすごいわ。最強ですね。で、ついついツイしてしまいました。

 世界の音楽史上最高の作曲家は、バッハでもショパンでもレノン&マッカートニーでもなく、筒美京平だな。カミさんと歌謡曲バンドの曲目を決めていたら、すっかり京平ワールドにはまってしまった。無尽蔵の名曲群…選べない…

 そうしたら、尊敬する知り合い21世紀の宮武外骨さんが、こんな返信をくださいました。

 真夏の出来事によろしく哀愁。京平さんは、伝統的な、邦楽や日本各地の民謡から見れば、明らかに洋楽だと思います。で、京平さんと、バッハやマッカートニーに、差異があるとすると、その「差異」こそが、「日本」なのだと、思います。

 全くそのとおりです。私が言おうとしていたことを上手にまとめてくださいました。筒美さんの楽曲はたしかに西洋音楽の伝統の上に立脚しています。しかし、なぜか日本そのものという感じがする。
 それを、和声の面、旋律の面から、音楽的に分析することも可能ですが、まあそんな理屈をこねるのは野暮というものでしょう。
 まあ簡単に言えば、これこそ「日本版ジャズ」なのですよ。思いっきり西洋の楽器や理論を駆使して、それまでの西洋音楽の歴史をひっくり返す、いやぶっ潰すのがジャズですから。
 それほど世界各国の民族(民俗)音楽、オリジンというのは強烈なのです。
 そのある種の攻撃性、破壊性のおかげでしょうか、彼の曲は驚きに満ちています。予想からはずれて展開することが多い。しかし、自然に耳に残る。これこそ天才的職人技です。
 そう、職人なんですよね。日本的職人。「匿名性をどこまで維持しながら、音楽活動を行なえるか」、これが筒美さんのポリシーです。なんと高尚で野蛮な理念でしょう。まさに芸術音楽への挑戦です。
 匿名性というのは、すなわち「その歌手らしい」ということでもあります。あるいは「その時代らしい」ということ。これらに関しては、筒美さんの曲は間違いなく世界一でしょう。
 いちおう歌に自信のあるウチのヴォーカリスト(カミさん)が、ため息混じりにこう言っていました。
 「う〜ん、難しいなあ。耳になじんだ歌いやすいところに行くまでの階段が変則的で上るのが難しい。そのあとの階段を下るのも…」
 なるほど。なんとなく分かります。全ての曲が「その歌手らしさ」「その時代らしさ」そして「その曲らしさ」を持っているんですから。
 そにれしても、「入り」のうまさは、本当に抜群ですね。彼に限らず昭和の職人的作曲家は、みんな最初の4小節で聞き手の心をつかんでしまいます。つかんだらもう離さない。めくるめくファンタジーの世界へ誘います。イマドキの(あるいは古典の)パターン化した楽曲とは一線を画します。
 全盛期にはひと月に45曲作ったとか。総売上枚数は7,600万枚。その姿なき巨人の名曲の一部を「筒美京平コレクション1〜10」でお聴きください。これは巨人のほんの一部ですが、その偉大さを想像するには充分な内容だと思います。

Amazon the popular music ~筒美京平トリビュート~

|

« LogMeIn | トップページ | 『世界の陰謀論を読み解く―ユダヤ・フリーメーソン・イルミナティ』 辻 隆太朗 (講談社現代新書) »

文化・芸術」カテゴリの記事

芸能・アイドル」カテゴリの記事

音楽」カテゴリの記事

コメント

コレクションの1~4の途中までと、10を視聴させていただきました。

私の生家は工場・卸商をしていましたので、若い男女が多く、彼らを通じて幼い頃から色々な音楽を知りました。具体的には、ラテンのティト・プエンテ、ベンチャーズ、城卓矢、畠山みどり、ロス・プリモスなんかがゴタマゼで押し寄せてくるわけです。そんな中でGSにはまったのが小学校1年でした。おそらく「バラ色の雲」が京平さんの、初体験だったんでしょう。

ユキジさんの「雨が止んだら」の発売が70年10月21日だったことには唸ってしまいました。私がこの曲を初めて知ったのは、その4日後。三島由紀夫の自決を伝えるカーラジオでのコマーシャルイムで繰り返し流された時です。車に同乗して、小売店への配達について行った時でした。

スリーディグリーズで好きなのは、「ソウルトレインのテーマ」、まさしくフィラデルフィアソウルです。「苦い涙」は、彼女達に歌謡曲を歌わせたということになりますが、魅力をきちんと活かしていますね。76年6月26日、猪木対アリ戦に先立った、国歌演奏で、アメリカ国歌を唄ったのは確か彼女達だと思います。

作詞家と作曲家が「セッション」だとすると、京平さんがおそらく無意識に、異なる対応をしたのが松本隆さんのような気がします。「はっぴいえんど」の解散があったからこそ、このコンビが成り立ったわけで、これが歴史的必然だとしたら、日本歌謡曲史自体が持った、「パワー」ということになるでしょう。

松本隆さんの詞に見える「五輪前後の東京」が、京平さんならではの引き立ち方をするんだな、と思いました。

私事ながら、予備校時代、数学を教えておりました。同じクラスの国語、英語の先生が誰なのかは、実に重要な問題でした。きつい「セッション」を強いられたことも、逆にいい思い出になっております。

ミズノマリさん「恋をする」詞もいいし素晴らしいメロディライン、ですね。

長々と済みません。ありがとうございました。

投稿: 小泉 悦次 | 2012.07.05 16:28

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/55913/55123941

この記事へのトラックバック一覧です: 筒美京平コレクション:

« LogMeIn | トップページ | 『世界の陰謀論を読み解く―ユダヤ・フリーメーソン・イルミナティ』 辻 隆太朗 (講談社現代新書) »