『悩む力と我々の生き方 夏目漱石の予言とは…』(BSフジLIVEプライムニース)
今日は疲れました。ぐったりです。心地良い疲れとも言えますけど、悩ましいほどに精神がすり減ったとも言えます。
ドヴォルザークの本番があったのですが、まあ大変でした。単に個人的な練習不足という面もあります。そして、そこにプラスして全体の合奏練習も不足ということで、あの複雑なロマン派の作品がまるで現代音楽のように崩壊しそうでした(苦笑)。
おかげで一つ大切なことに気づきましたよ。たとえばバロックや古典派の作品が空中分解しても、いわゆる現代音楽やジャズは生まれなかったなと。そう、ロマン派が自己崩壊して近現代の音楽につながっていったことが体感的に分かりました。やっぱり時代の必然だったのか。
そんな屁理屈で自分を慰めないで反省しろ!という声が聞こえてきそうですね。たしかにそうですが、失敗から学ぶこともたくさんあります。
今日はそんな話を、私なんかよりずっと立派で、かつ悩みや苦しみをたくさん味わってきた方に語ってもらいましょう。
先週の金曜日のプライムニュースは、姜尚中さんと島田裕巳さんをゲストに招き、『悩む力と我々の生き方 夏目漱石の予言とは…』というテーマでのお話でした。
たしかに漱石は予言していますね。おとといのニーチェもそうですけど、やっぱり偉人というのは、時代を超えた発想をし発言をするものです。普遍的なんですよね、言葉が。だから結果として予言になる。
彼ら含め予言者というのは、決して未来を見る超能力を持っているわけではありません。世界の本質、人間の本質を見極める「超能力」を持っているのです。だから、彼らの思想や言説は、未来だけでなく過去にも敷衍することができるのです。
で、そういう「超能力」を身に付けるにはどうすればいいかというとですね、つまり「悩む」しかないのです。私の知っている限り、歴史に名を残す聖人君子は、皆一様に「超悩力」を持っている。超能力じゃなくて超「悩」力ですよ(笑)。
これが姜さんや島田さん言う「悩む力」なのです。世の中の真理や摂理を感得する超能力を得るための唯一の方法。
私自身は悩みのないおめでたい人間でして、そういう意味では全く「超悩力」のない人間でして、ある意味そこが悩みなのですが、学校では自分のことは棚に上げて(ちなみに教師とは自分のことを棚に上げるプロです)、悩み、苦しみ、葛藤、衝突、反抗のみが成長の種だ、みたいなことを言います。
でも、それだけは確かですよね。だから、私は学校とは「安心して、悩み、苦しみ、葛藤し、衝突し、反抗できる場所」であるべきだと主張しているのです。
お釈迦様が語ったのも「超悩力」だと思います。彼の言う「苦」とは思い通りにならないことに対する「悩み」ということですね。それを乗り越えろと。それが「苦諦」ということです。苦諦については、以前こちらに書きましたっけ。
さて、話を戻しましょう。今回の放送はいつもの通り、こちらでしばらく見ることができます。動画の公開が終わるとテキストになりますから、それを読むのもよいでしょう。
今回の姜さんの話は、以前紹介した彼のベストセラー「悩む力」と、その続編である「続・悩む力」の内容をベースにしたものです。
フランクルの言う人間の価値「創造・経験・態度」の解釈は面白かったな。そこからもいろいろと妄想しましたが、それはまたいつか。
皆さんもぜひ視聴してみてください。そして「超悩力」を身につけるべくお互い存分悩みましょう。「運命は受け入れよ。人為は乗り越えよ(姜)」「ピンチがチャンス(島田)」。
Amazon 続・悩む力
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