ジャクリーヌ・デュ・プレ 『ドヴォルザーク チェロ協奏曲』
昨日のジャズから打って変わり、ロマン派の音楽を堪能。
いや、堪能なんていうレベルではありませんでした。私は古楽(バロック音楽)が専門ですから、いきなりロマン派を弾くのはきついのですよ。あまりにジャンル違いでして(笑)。
しかし、やっぱり経験というのは貴重ですね。ほら、今年生まれて初めてロマン派を人前で弾いたじゃないですか。そう、リストのキリストでした。
あの経験が生きてますねえ。シャープが五つくらいついても驚きませんよ(笑)。いや、そういう意味じゃなくて、音楽として受容する耳と心と、まあ目もかな、それらがあったので最悪の事態は避けられました。
来月、地元でドヴォルザークのチェロ協奏曲と弦楽セレナーデをやるんです。その練習に初めて参加しました。
チェロの独奏の方、いやあ、素晴らしかった。生でこの曲を聴くのは実は初めてです。それがこういう形で目前でこちらに向いて弾いてくださっているわけですから、ついつい見惚れる、いやいや聞き惚れてしまいますよね。モダン・チェロのフル・スロットルを目の前で聴くのは、もしかして高校時代の堤剛さん以来かもしれない。
ドボコンは嫌いではない作品でした。昔先輩に借りて聴いたデュ・プレのレコードのことを思い出しましたね。あれは衝撃的でした。
女の情念というか怨念(?)というか、異様な妖気が、ドヴォルザークの(エセ)ソバージュな感じと見事にマッチして、そら恐ろしい感じがしたのを思い出します。これは生霊が演奏している!
私が聴いたのは有名なバレンボイム指揮シカゴ交響楽団との演奏でしたが、今日YouTubeで探していたら、1967年のライヴ録音があったので聴いてみました。これまた鬼気迫る怪演ですね。ぜひ聴いてみてください。
ヨーヨー・マやロストロポーヴィチもいいと思いますけどね、やっぱり女性がこの曲をこういうふうに弾いているという事実には勝てません。これは理屈ではなく、趣味の問題かもしれませんが。
今日はジャズ・ピアニストの方ともお会いしました。昨日のジャズ・フェスの話をしたら、「ああ、それは目で演奏してるんだね。日本の音楽家はみんなそう。日本はまだ音楽の啓蒙時代だから」とおっしゃってました。なるほど、まずは「目を開く」ところから始めて、そして次の段階へということか。
その点、このデュ・プレの演奏には「目」がありませんね。すごい。ちなみに今日の私は100%目で演奏していました。なにしろ初見だったので(苦笑)。本番までにどれだけ目を殺せるか…。
Amazon デュ・プレ ドヴォルザークチェロ協奏曲
| 固定リンク
「音楽」カテゴリの記事
- Awich, NENE, LANA, MaRI, AI & YURIYAN RETRIEVER - Bad B*tch 美学 Remix(2025.03.14)
- YMOと仲小路彰(2025.03.13)
- オスカー・ピーターソン・トリオ・イン・トーキョー、1964(再び)(2025.03.03)
- 『猫と私と、もう1人のネコ』 祝大輔 監督作品(2025.02.28)
- マリオ・ブルネロ 『(チェロ・ピッコロによる)バッハ ヴァイオリン・ソナタ集』(2025.02.27)
コメント