追悼 新藤兼人
また寂しい追悼記事を書かねばなりません。今年は多いなあ。大きな影響を受けた方が亡くなる。
つまり、私は若い時、この世代の方々の生き方や創りだしたものに憧れ、多くを学び取っていたのでしょう。
いよいよ、自分も当時の彼らと同じような歳になろうとしています。はたして、そういう先輩、先達になれるのでしょうか。はなはだ心もとない。
新藤兼人さん、彼の昭和の作品は、脚本を担当した作品も含めてほとんど観ていると思います。個人的には「悪党」、「竹山ひとり旅」、「北斎漫画」などがお気に入りでした。
しかし、やはり「裸の島」の衝撃は格別でしたね。新しい無声映画時代の幕開けだと感じました。喧騒の時代にあえて臨んだ無言の世界は、現代的「禅」そのものでした。
しかし、無言は沈黙とは違います。
そう、では林光の音楽は?という問いかけにも、私たちは答えなければなりません。映画鑑賞者でありながら、我々は観る者ではなく「聴く者」になっているんですね。
それほど、林光の音楽は、ある意味で饒舌だったわけです。その無意味の意味に私たちの脳ミソは混乱します。音楽はやはり言語なのか?では、自然音は?
そうしているうちに、私たちの目の前で繰り広げられる「映画」という視覚情報…ただし乱暴なまでに日常的な営みの描写…の存在を再認識するんですよね。あっそうだ、これは「映画」だったと。観なきゃ、映像の意味を、ストーリーを追わなきゃと。
そうして、本来的な映画の構造をぶち壊して我々を混乱させることこそ、インディペンデントの革命精神そのものでありましょう。
こちらで全編観る(聴く)こと、いや体験することができますのでぜひ。私も改めて体験してみます。
インディーズはいつかメジャーになり、100歳にして巨匠と呼ばれるようになりました。歴史はそうして動いていくのですね。
ああ、そうそう、新藤兼人さんのお孫さんって、今やインディーからメジャーになりつつある、あの文化系プロレス団体DDTのリンクアナウンサーなんですよね。なんかとても象徴的ですね。
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コメント
前略 薀恥庵御亭主 様
「空撮」が鍵となる
映画ですね。
監督の一番の代表作だと
考察しております。
愚僧は昔から・・・
「殿山泰司」は
天才だと感じていました。
あの雰囲気は常人には
無理です。笑
監督の「苦労の結集」が
「裸の島」として大きな実を
結んだのでありましょう。
心より御冥福を御祈り
申し上げます。 合掌
投稿: 合唱おじさん | 2012.06.01 06:48