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2012.05.06

杖突峠を越える

 夜ネットである中古車を探していたら、それがなぜか全国に2台しかなく、その場所がまた長野県茅野市と駒ヶ根市だという不思議すぎる状況に出くわしました。
 茅野と駒ヶ根と言えば、諏訪大社のご神体である守屋山をはさんで東西に位置する街。これはぜひとも行かねばということで、急きょカミさんを誘ってドライブに行って参りました。
 守屋山を越えるのが国道152号線杖突街道、その峠が杖突峠です。
 この山を越えるということは、東日本と西日本を分ける糸魚川静岡構造線(フォッサマグナ西端)を越えるということですね。
 諏訪大社のご神体が、西日本から東日本を守る急峻な日本アルプスの一部であり、また深い大地溝帯であるというのは、実に象徴的であります。
 実際、今回初めて杖突峠を越えてみまして、まあ驚きました。茅野側のある急坂はまさに来る者(行く者)を拒む城壁のようでしたね。
 太古、比較的緩やかな高遠側から登ってきた西日本の人々は、杖突峠で愕然としたのではないでしょうか。登れないのではなく下りられないのです。
 そう、糸静線は大断層でもありますから大地震も起きますよ。300年ほど前には高遠・諏訪のラインがドドンと動きました。歴史的にも地学的にもダイナミックですね。
 上から諏訪や茅野を見下ろした風景を写真を撮ってくれば良かったのですが、運転に必死で(なにしろ車の調子が悪いので)無理でした。残念。
 いよいよ杖突峠にさしかかかると、桜が満開でした。きれいでしたねえ。標高1300メートルくらいですから、富士山の我が家より少し高いくらいです。空気もひんやりしていました。
 ここでは車を降りて写真をパチリ。最近、日本アルプスでの山の事故のニュースが多いので、守屋山の神様に安全を祈願してまいりました。

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 登山がレジャーやスポーツになって久しい。本来山はご神体ですから、ある一部の許された人々、すなわち山の神と交流できる人たちにのみ入ることができました。
 そういう人たちでさえ、実際に山に入る際には、何週間も山の神の許しを乞い、そして身を清めたのです。
 ちなみにその山(神)と里(人)との境界線が、ワタクシの苗字である「山口」でした。先日、訪れた教来石の「山口」には、諏訪神社とともに実際に関所(番所)が置かれていました。そのあたりのことについては、またよく調べて後日書こうと思っています。自分のルーツを辿る旅はまだ途中なので。
 さてさて、杖突峠を越えて高遠側に下りますと、そこは緩やかな傾斜地となります。この写真は帰りに撮影したものですが、それまでの雨がやみ、日がさしてとても美しい田園風景が広がっていました。明らかに東側とは違う空気です。植生も違いますね。

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 今回は何も考えず調べずの突然の旅でしたし、本来の目的が車を見に行くことだったので、途中どこにも寄らずに帰ってきてしまいました。知り合いの「諏訪学」の権威が、ツイッターで「御堂垣外に気づきましたか?」とメッセージを送って下さった時には、こちら側(生黄泉の国)に帰ってきてしまっておりました。ま、再来週また駒ヶ根の車屋さんに行くことになったので、その時には家族で寄ってみたいと思います。
 そう、西日本から見ると、杖突峠の東側は「黄泉」の世界だったのかもしれませんね。その南側の甲斐の国、特に富士山の北側である都留郡は東海道からの文化も入ってきていたので、半分黄泉の国、すなわち「なまよみ」だっと想像されます。そのへんのことについてももう少しちゃんと書かねば。「甲斐」の枕詞とされる「なまよみの」についての一般の説は絶対間違っているので。
 ちょうど教来石のあたりから、遠くに富士の山を望めるようになります。雨上がりの富士山は、御坂山系に残る雲の上に、それこそ神々しくそびえ立っていました。これを見て神を感じない人はいなかったでしょう。そして、あそこに行きたいと皆思ったはずです。
 車は甲府盆地を横切り(縦切り)そして右左口峠を越えて精進湖へ。そこに現れたのは、とても言葉では表現できない「モノ」。日本を、いや世界を統べる神の姿でした。

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コメント

山口先生 お久しぶりです!

長野方面に出かけて
精進湖バイパスまで戻って
精進湖越しの富士山を見ると
帰ってきた~って安心しますよね!

数日富士山を見ないと落ち着かないです。
日常的に天気を確認したり
方位を確認するのに
富士山見ますからね~。
素敵な写真ありがとうございました!

投稿: さお | 2012.05.15 00:19

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