幸せになる唯一の方法
4月8日はお釈迦様の誕生日。降誕会です。
本校は毎年この日に入学式を行います。ですから今年は日曜日に入学式ということになりました。そのおかげか、ご両親でいらっしゃる家庭が多く、いつにも増して盛大に式が執り行われました。
私事ではありますが、今年はウチの上の娘が入学してきました。これから6年間毎日一緒に通い、一緒に勉強し、一緒に帰宅することになります。しかし、お互いそんなに不自然でもなく、どちらかというと楽しみにしている感じです。ま、これから難しいお年頃、どうなるか分かりませんがね(笑)。
本校は仏教(禅宗)系の学校ですので、多少そういう系の話をする機会が多くなります。まあ、そんなに抹香臭くはないのですが。私の趣味もあって、仏様の教えについて語ることは時々あります。
しかし、皆さんもご存知のとおり、お釈迦様の教えはとても難しい。ちゃんと究めようとすると、どんどん難しい世界に突入していくことになります。哲学というか、科学というか。
私も私なりにいろいろ勉強しましたが、それを中学生に語ってもチンプンカンプンですよね。自分さえよく分かっていないのだから。
でも、なんとなく伝えたい。難しいけれど絶対に正しいという実感だけはあるので、その実感だけは共有したい。そういう気持ちはあります。
そこで最近よく使う表現が「お釈迦様は幸せになる唯一の方法を発見してそれを説いた」という言葉です。
日本で仏教と言うと、因果応報とか縁起とか諸行無常とか無とか空とか、そういう言葉で表現されることが多いですね。その一つ一つを説明するのも実はとても難しい。
しかし、それを統合的にとらえないと、お釈迦様の気づかれたことの本質は分かってきません。各論に終始すると哲学や科学、すなわち学問になってしまうんですよね。智慧になりえない。
そこで、私は思い切って(ある意味乱暴に)全体像を実生活的に捉え直してみたわけです。
その結論が「自分が幸せになる唯一の方法は、他者を幸せにすることである」です。
自分への執着を捨て、利他や布施に徹していると、それが巡り巡って自分に返ってくる。自分は他者のおかげによって存在しているわけだから、自分だけが幸せになれるはずはない。そんな、当たり前で単純でありながら、我々人間が忘れがちな「真理」を、お釈迦様は説いたのではないかと。
私はこの教え(気づき)こそ、学校で教えるべきことだと考えています。「自分の夢の実現のために頑張れ」という、一般的な学校での指導だけでは足りないと思っています。いや、以前「将来の夢」という記事にも書いたとおり、自分の夢の内容をより拡張してやらなければならないと考えています。「自分はこうなりたい」「こういう職業につきたい」ではなく、「こういう世の中を作りたい」「幸せな世界を作りたい」というように。
私自身もお釈迦様の教えから「気づき」をいただき、その「まこと」を実感していますから、自信をもって生徒たちに語りかけることができるつもりです。
今日入学してきた子どもたちに、6年間通じてそういう「真理」を教えて、いや伝えていきたいと思っています。責任を感じるとともに、楽しみでもあります。
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コメント
最近mixiを通じて拝見させていただいておりますが、教えて頂くことばかりで、大変ありがたく思っております。
「自分が幸せになる唯一の方法は、他者を幸せにすることである」ということ、
Love is fail, but courtesy will prevail ということの感性の差をどう伝えていくか。
仏教的に考えれば同じようなことと思いますが、そのあたりの伝え方のむずかしさについて感じます。
もう一点は、別の切り口で見ていくと、最近の社会では「自分を大切にしていくこと」ということがとても難しくなっていると感じます。
このあたりについては、如何が考えていけばよいのでしょうか。 山
投稿: 山 | 2012.04.10 10:13
山さん、コメントありがとうございます。
難しいですよね。こちらが参考になるでしょうか。
『愛は負けても親切は勝つ』
http://fuji-san.txt-nifty.com/osusume/2007/12/post_c52d.html
投稿: 蘊恥庵庵主 | 2012.04.10 10:39