『国語教科書の中の「日本」』 石原千秋 (ちくま新書)
今日は国語部会で後輩たちにお話をしました。今まであまり言わなかったことも歯に衣着せず言わせてもらいました。
あまり時間がないので、簡単に記しますが、とにかく戦後国語教育がこのダメダメな日本を作った一因であること、国語科教員が無反省で極度に保守的、生徒を苦しめている張本人であること、ほとんどの国語のセンセイが大学入試問題を解けないことなど、まあ我々にとっては耳の痛い話ばかり(笑)。
これは(以前の)私や、ウチの教員に限ったことではありません。光村図書の世界で、大人(先生)の要求する答えを「考えつく感性」を持って、なんとなく「国語が得意だ」と思って、なんとなく国語の先生になってしまった人がほとんどなのですから。
私は幸運なことに、中学時代、かの国語教育の神様大村はま先生に習い、教員になってからは受験国語の神様出口汪先生と不思議なご縁があったりしまして、まあフツーの国語の先生よりは、フツーでない国語体験をさせていただきました。そのおかげで、今や、国語教育界では実に「うざい」存在になっています(笑)。
そう、基本的にですね、教員って自分が体験した授業しかできないんですよ。そこが非常に問題ですね。今日も話させてもらいましたっけ。教師になる理由「私はある国語の先生に出会い人生が変わりました。私もあの先生のような先生になって、あの先生のような授業をしたい」とか、「私は中学校時代のある数学の先生のおかげで数学が大好きになりました。私もそういう先生になって、子どもたちに数学の楽しさを伝えたいと思います」なんていうのは、本当にダメダメなんです。もし、採用試験でそういうこと言ったら、即刻不合格にするか、出直してこい!と言うべきですね。
教師の仕事ってそんな個人的な次元ではないんです。もっともっと総合的です。ある教科でのある生徒とある先生の関係だけをとって、教員になりたいなんて言ってもらいたくありません。しかし、自分も含めてですけれども、実はそういう理由で教師になる若者が多い…。
話を戻します。国語教育ですね。戦後の国語教育が実は「道徳教育」だったということについては、同じ石原さんの本「国語教科書の思想」の記事で、私も同意しています。
そうそう、先日県から「道徳読本」のようなものが送られてきたんですが、それがまるっきり「国語」の教科書でビックリしてしまった…いや、笑ってしまいました。非常に象徴的でしたね。あまりに面白かったので、それをすぐに利用させていただき、1年生で面白い授業をさせていただきました。めっちゃ盛り上がりました(笑)。まあ、その程度にしか使えません、国語としては。肝心なところに誤植があるし(苦笑)。
ええと、また話がそれた。私の授業のようだ(笑)。それで、私はですね、昔から文学鑑賞や道徳教育の「国語」は、それはそれで大切なので、芸術科目「文学」(音楽や美術と同次元)として独立させ、「国語」は日本語を使った論理的な思考とコミュニケーションを徹底的にやるべきだと主張しているわけです(もちろん演出的な極論ですが)。
いや、実は戦後の国語教育史を勉強するとですね、そういうことが盛んに言われた時期、そういう文学と言語の論争が行われた時期というのもあるんですよ。ある時期には(非常に短期間ですが)、国語の教科書が「言語編」と「文学編」に分かれていた時さえある。
ま、いずれにせよですね、その二派のうち文学派が勝ってしまい、あの光村図書の国語のような教科書が蔓延して、そうして日本人は「豊かな感性」「豊かな日本語」にどっぷり浸かって、いつのまにかグローバリズムの中でなめられる存在になってしまったわけです。なにしろ、議論も抗議もできない、外交上の言語的国防もできない国になってしまったわけですから。もちろんビジネスの世界でも負け組になってしまいました。
日本人の望む、あるいは幻想する「豊かな感性」「豊かな日本語」「豊かな文化」というのは、実は意識せずとも、あるいは妄想せずとも自然に備わっているモノです。コトさらコト葉で示さなくてもいいものです。それを変に強調するから極端に偏った国民になってしまった。
これってGHQによる日本人骨抜き化政策なのかと思ったら、逆なんですよね。アメリカは戦後、言語教育をやろうとした。実際そういう動きがあった。日本人の「根性」は怖いから、論理的に思考する安全な国民にしようとした。ところが、現場の保守的な教員から反発が起きた。「昔は良かった」的な発想ですね。
そこのところの矛盾は、国語のみならず教育界全体に見られます。たとえば、「子どもたちを戦場に送るな!」と言ってアホ日教組は国旗や国歌に反対するくせに、見てくださいよ、日本の学校は外国人から見るとまんまアーミーなんですよ。ランドセルは背嚢だし、体育や運動会はほとんど軍事教練そのままだし、リコーダーはナチスだし、甲子園とかラジオ体操についてもこのブログで書きましたね。その矛盾に気づかず、国旗や国歌(&国家)を目の敵にしているアホどもに対しては、もう憫笑するしかありません。
おっとまた話が逸れた。で、私は受験国語、大学入試の国語というのは悪くないと思っているのです。大学は「感性豊かな学生」がほしいのではありません。「論文を読んで論文を書ける学生」がほしいわけですから、ああいう論理的な問題を出して当然です。
しかし、現在の小中高の国語教育はそれとは反対のことをしているわけですね。「傍線部を説明しなさい」という外見は同じですから、生徒たちは混乱する。
だから、しっかりそこを分けてあげなさい、感性と論理をしっかり分けて教えてあげなさいという話を今日したわけです。答が無数に分散していくものと、答が一つに収斂していくものと、両方あるのだと。それが言語、日本語、国語の豊かさの実体であり、そしてそれをしっかり使い分けていくのが国語の勉強であるということを生徒にまず伝えてほしいと。
それをしない国語のセンセイが多すぎるんです。そして、たまたま勉強せずともそれができる生徒だけが国語が得意だと勘違いし、そして国語のセンセイになってしまったりする。そういう悪循環がこの日本をダメにしたということです。
ちょっと過激な書き方になってしまいましたが、こういうふうに言わないと、この硬直化した教育界は変わりません。
というわけで、やっと本題。この本は面白い(笑)。光村には動物ばかり出てくる…とか、たしかにそうだな。「古き良き日本」を伝承する「国語」はたしかに素晴らしい。しかし、それだけではダメだということです。石原先生、GJです。
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コメント
お前みたいな新興宗教の信者かダメにしたんだよ
偉そうに語るのだけが得意なカルト野郎がね
日本の癌たるお前らがとっとと消えれば済む話
お前ら自体がはじめからダメだったわけで
どうこうほざく資格なんざない事を自覚しておけ!
では
投稿: あ | 2012.03.24 10:39
おいおい
ついでに
いい歳こいて「GJ」はないだろ山口クン(笑)
本当に自覚が足りない恥ずかしい人間だね(失笑)
投稿: あ | 2012.03.24 10:46
おお、釣れた釣れた。
もっと書くべし。
投稿: 蘊恥庵庵主 | 2012.03.24 11:07