房総沖に新発見の大断層?
ニュース等でご存知のとおり、29日の日本地理学会において発表があるようです。
ニュースとしてはM9の可能性という言葉にインパクトがあるので、皆さん恐怖や脅威を感じたことと思われます。
私は比較的冷静に「まあ、あるだろうな」「でも、ないだろうな」と思いました。
「あるだろうな」というのは、地理学的に調査や検証をしていけば、このレベルの「大断層」は世界中で無数に見つかると考えられます。地球全体のレベルで言えば、この程度のシワはあって当然だからです。
「ないだろうな」というのは、すぐにそこが発動してM9の地震が起きるということはないということです。
だいいち、この「未知の大断層」がいつどのように活動したのかさえ分からない、実際に地学的に、あるいは歴史学的には、そのような痕跡は見当たりません。
つまり、かなり古い時代、たとえば数万年、数十万年前に活動した可能性が高いということです。そして、それが今日明日再び活動する可能性はほとんどゼロに近いということです。
どちらかというと、その周辺にある比較的新しい断層、たとえば延宝の房総沖地震の再来の方が可能性はずっと高い。
もちろん、昨年の3.11の大地震はそういう意味では想定外でした。つまり、あの「大断層」は巨大地震を起こすほどのエネルギーはためていないだろうと考えられていたのです。別の言い方をすれば当分活動しないだろうと。
ですから、今回新発見の「大断層」も今日活動する可能性は皆無ではないわけですから、当然観測対象にはすべきでしょう。しかし、だからといって必要以上に恐怖することはありません。
とりあえずはこの新発見の大断層よりも喫緊の状況にある予想震源域はたくさんあります。そちらの前兆現象観察に力を入れるべきだということですね。
最近、ウチで観測している富士山のラドン濃度が非常に低い状況です。これは直接的に言えば、富士山付近の地殻のひずみ度が低くなっていることを表しています。つまり、富士山は平穏だということです。
ただ、その前に濃度の高くなった、いわゆるピークが存在しているので、その分の発震がどこかであってもおかしくありません。ただ、ツイッターでも報告したとおり、今回はそのピークがあまり高くなかったこと、そしてそこからの下り坂の期間にずいぶんとたくさんの中規模地震が発生し、分散的にエネルギーが解放されたようです。
もしかすると、このまま一時収束期に入るかもしれません。なんとなくそんな気がします。というのは、ちょうど昨年の3月から発症した私の五十肩がすっかり良くなったからです(笑)。もちろん、半分冗談ですが。
いずれにせよ、我々にとって地球スケールの大変動というのは、基本的に全てが想定外です。その空間スケール、時間スケールともに巨大すぎて見えないのです。
「木を見て森を見ず」は危険であって避けるべきことですが、「木を見て森を想像する」ことは可能であり有用であることを、私は忘れたくありません。
そういう意味では、今回の「大断層」を見て恐怖するのは「森を見て木を見ず」の状態なのかもしれません。
やはり、人間の想像力は大切ですね。そして、雛型(フラクタル)的な思考、さらに自然と戦うのではなく、自然に学ぶ謙虚さも常に持っていたいと思います。
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