首都直下地震震度7のおそれ…東京の防災について
3.11から1年になろうとしています。しばらく防災に関する記事が続くかと思います。今日は東京の話。
ここ数カ月はほぼ毎週のように週末になると東京に出かけていました。
東京は狭いと言っても都心から山深い西部まで様々な様相があります。車で走っていても、電車に乗っていても、街を歩いていても、いずれにせよ「今、大地震が来たらヤバイな」と常に緊張を強いられていたのは、やはり都心部です。
地震の発生確率と、構造物や人間の密度を考えると、ここはたしかに世界で最も危険な地区であると言えそうです。
そこに国家の政治、経済、防衛の中心が集中し、さらに天皇がいるとなると、実はもうその事実自体が異常に危険な状態なのです。
関東大震災と東京大空襲によって焼け野原になり、ある意味では計画的都市再開発のチャンスがあったにもかかわらず、残念ながら現在の東京は、よくぞここまでというほどの無計画さ、無秩序さを誇っています。
さらに、直近の再開発事業であったはずの東京オリンピックの際に突貫で造られた構造物、たとえば首都高速道路の主要部分などが、ちょうど私と同い年なわけですから、私にガタが来ているのと同様、かなり老朽化が進んでいます。
その後の高度経済成長期には無秩序に住宅が建てられました。いわゆる木密地域と言われる環状7号線や8号線を囲むような、比較的古い木造建築物が密集する地域、そして、その中にひしめく古い江戸の街並みを継ぐ地域…そこには、車も入れないような路地が張り巡らされている…これらが火災の際、どのような惨状を生むかは、90年前の関東大震災を想像するまでもなく明らかだと思います。
今日、ちょうど「首都直下地震、震度7のおそれ」というニュースが流れましたね。この発表以前の国や東京都の試算によると、震度6強の東京湾北部震源地震が起きた場合、死者は阪神淡路大震災とほぼ同数の6400人ということでした。震度7になることによって当然その数は増えると思いますが、それ以前に、震度6強でも、さすがにこの数字はないでしょう。ケタが違うと思います。関東大震災で10万人ですからね。
東日本大震災後、東京都はかなり積極的に防災事業に取り組んでいます。今日ちょうどプライムニュースで猪瀬副知事出演のもと、東京の防災についての特集が放送されました。10日間はハイライトムービーが見られますから、ぜひこちらからどうぞ。
たしかに東京都はかなり積極的に防災に取り組んでいると言えるでしょう。しかし、それが現実的な危険に追いついているかというと、正直焼け石に水と言った感じがしないでもありません。もちろん、焼け石に水をかけることも大切なのですが…。
少し前に首都直下地震の確率が4年以内に70%と発表されましたね。これはたしかにかなり高い確率だと言えます。東京にお住まいの方々は、ある意味初めて自分が体験するのだと実感したのではないでしょうか。
その後その確率は50%に下げられましたが、震度が高まったこともあって、とても安心してはいられない、ある程度覚悟が必要だというのには変わりがないのではないでしょうか。
今日の番組でも説明されていましたとおり、「首都直下地震」と「首都圏直下地震」は違います。前者は震源が東京都の直下、後者は神奈川や茨城など関東一円を含む地域が震源になるということです。
これに加えて、房総沖のいくつかの地震なども首都にダメージを与えます。さらに去年の3.11の最大余震もまだ起きていません。その震域が南に寄ると再び東京を震度5以上が襲う可能性もあります。そこまで広げると、今、東京を脅かす地震が発生する確率は相当高いものと考えねばなりません。感覚としては、4年で90%と言ってしまっていいと、私は考えます。
こうなると、もう私たちは出来る限りのことをして、「減災」に努めるしかないということになるでしょう。プライムニュースで山村さんがおっしゃっていたように、「自助・共助」そして「近助」を、その場でしていくしかないでしょうね。そこにはマニュアルは存在しないというのが現実です。
あとは、やはり国家として、首都機能の移転や分散を早急に進めないといけませんね。これは表向きだけではなく裏側でも。
東京の機能がマヒするということは、日本が脳死状態になることを意味します。そして、世界の、特に経済に与える衝撃は相当に大きいものと思われます。
そういう意味では、今、東京の防災・減災は世界に注目されているのです。
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