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2012.02.02

アンデシュ・ダンマン 『オール・ユー・ニード〜クラヴサン組曲』

Anders Danman 『ALL YOU NEED-LIVRE DE CLAVECIN』
41ahgpqthxl_sl500_aa300_ みません、土曜日に一般入試である上に、再来年度へ向けての大仕事もあって、なかなか時間が取れません。よって、またまた音楽ネタ。YouTube頼みとなります。
 しかし、案外こういう時でないと、こういうものたちを紹介できなかったりするので、これはこれでいいのかもしれません。実際、ここ数日の記事は(一部のマニアの方に)なかなか好評です。
 さて、今日はまたすごいものを紹介しますよ。私、これ大好きなんですよ。素晴らしい。ある意味私の理想です。
 演奏者のアンデシュ・ダンマンはスウェーデン出身のチェンバリストでトン・コープマンの薫陶を受けた人です。古楽奏者として充分に実力を持った人で、彼のデュフリの録音を聴きましたが大変素晴らしい演奏でした。どうもフランスものが得意のようですね。
 そんな彼が、「クープランがビートルズを知っていたらこんな曲を書いただろう」という大胆な仮説をもとに編曲ではなくて「作曲」をし、そして演奏してしまったのがこのCDです(!)。
 その出来がですね、本当に素晴らしいのです。こういう企画というのはたいがい「痛い」ことになってしまい、だからこそ、昨日紹介した完全コピーの方がより好感をもって迎えられたりするわけです。
 ああ、そうそう、今から50年近く前に、このダンマンと同じような発想ですごいことをやらかした人がいましたね。今や古楽界の重鎮の一人となった感のあるジョシュア・リフキンの『バロック・ビートルズ・ブック』です。これにもたまげましたっけ。
 最近YouTubeに一部アップされたので、こちらから聴いてみてください。笑っちゃうほどすごいですよ。
 本題にもどります。バッハになりきったリフキンさんと同じくらいの才能をもって、ビートルズを知っているクープランになりきったのが、このダンマンさんです。この二人のような柔軟なスタンス好きだなあ。
 ダンマンさんも完璧にクープランの作曲技法をマスターしていますね。実に自然です。いや、自然じゃないはずなんですよね。なにしろ、ビートルズが素材ですから。しかし、自然に刺激的なのはなぜなのか。
 たしかにクープラン本人も異国趣味が強く、いろいろな外国の音楽に興味を持ち、刺激を受けて自作の中に取り込んでいますよね。だから、「イギリス」のこういう「俗謡」を聴いたら、たしかにこういう曲書いただろうなと思うんです。
 新発見の和音進行、豊かな旋律、前近代音楽的な音階、ブルーノート…それらのフランスバロックへの配合のさじ加減が絶妙なんですよ。本当にお見事。楽譜が出れば、日本の演奏家たちにとっても新しいレパートリーになると思いますよ。
 解説でダンマンさんが言っていることの中で面白かったのは、クープランは英語が分からなかっただろうし、興味もなかっただろうという話ですね(笑)。だから、歌詞のイメージと与えられた舞曲のイメージは全然重ならないのだとか。
 全曲をテキストで紹介してみましょう。これ読むだけで古楽ファン、ビートルズファンは身悶えしそう。私は両方なので悶死です。

組曲 第1番 ト長調
1. Honey Pie(プレリュード)
2. Hey Jude(アルマンド)
3. All You Need Is Love(クーラント)
4. With A Little Help From My Friends(サラバンド)
5. Ob-La-Di, Ob-La-Da(ジーグ)
6. Yellow Submarine ~ Michelle(ロンド)
7. Help!(メヌエット)
8. When I'm Sixty-Four(リゴードン)
9. Your Mother Should Know(カナリー)
10. Let It Be ~ Strawberry Fields Forever ~ Here Comes The Sun ~ Cry Baby Cry(ロンド)
11. I Want To Hold Your Hand(ルール)
12. Norwegian Wood (This Bird Has Flown) ~ The Fool On The Hill(ミュゼット)
13. Nowhere Man(タンブーラン)
14. Blackbird ~ Sexy Sadie ~ Yesterday(ロンド)
15. Revolution(エール)

組曲 第2番 ニ長調
16. Golden Slumbers(プレリュード)
17. Here, There And Everywhere(アルマンド)
18. Martha My Dear(クーラント)
19. Something(クーラント)
20. I Will(サラバンド)
21. The Continuing Story Of Bungalow Bill(ジーグ)
22. Yellow Submarine ~ Eleanor Rigby(ミュゼット)
23. I'm So Tired(エール)
24. Carry That Weight ~ And I Love Her ~ Mother Nature's Son ~ A Day In The Life(ロンド)
25. From Me To You(ブーレ)
26. All My Loving(ガヴォット)
27. A Hard Day's Night(メヌエット)
28. Strawberry Fields Forever(パスピエ)
29. Happiness Is A Warm Gun (シャコンヌ)

 これはもう聴いていただくしかありませんよね。まず冒頭のプレリュード(なんとハニー・パイ)をこちらでどうぞ。美しいし新しい!
 そして続くアルマンド(ヘイ・ジュード)はYouTubeにあったので、そちらでどうぞ。

 ちなみに使用楽器はクシェとタスカンのコピーです。A=392。調律は名称までは聴き分けられませんが、当然平均率ではなく古典調律です。

Amazon オール・ユー・ニード〜クラヴサン組曲

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