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2012.02.19

『電通 洗脳広告代理店』 苫米地英人 (サイゾー)

20120220_100543 GHQ(アメリカ)による「日本人愚民化洗脳政策」がここにも。

 『さまざまなことをしたたかに仕掛けてくる権力者たちのやり口に対して、一般市民はあまりにも無知なのだ。権力者にとって一般市民は無知で賢くないほうがいい。
 一般市民に賢くなられては、自分たちのやり口を見抜かれてしまう。ずっとお笑い番組を見続けて、何も考えずに大口を開けて笑い続けてもらうに限る。その合間にサブリミナル的にCMでも入れておけば、思考停止状態の一般市民は喜んで買い物をしてくれることだろう』

 昨日の記事にも実はつながるんですよね。農地改革に始まる農業政策、あるいは農家の愚民化もまたGHQの巧妙な作戦の一つでしたから。
 もちろん私の専門分野である「教育」分野においては言うまでもありません。最近では「国語教育」における「日本人骨抜き化」策に興味があります。いずれまとめあげようと思っています。
 占領政策、あるいは大衆の洗脳術としては、教育とメディアを押さえるのは基本中の基本ですよね。私も洗脳する立場だったら当然そうします。
 ただ、なんと言いますかね、農家の人に象徴されるように、日本人があまりに「お人好し」だったんですよね。それで70年近くアメリカの思い通りにやってきてしまった。巧妙と言えば巧妙ですが、ここまでのべ何億人もの大人がまんまと作戦にひっかかってきたというのは、なんだかなあという気持ちなのです。
 もちろん、全てが間違っていたということではありません。実際にこれだけの経済成長を遂げ、とりあえず70年間戦争に加担せず、核兵器もいちおう持たずにやってきたのは、ある意味ではアメリカのおかげです。
 しかし、一方で、現在の情けない政治状況や、震災や原発事故で露呈した問題点などに象徴されるように、「お人好し」や「深く考えない主義(?)」の行き過ぎは、さすがにいかんと思うのですね。
 つまり、そういう「骨抜き」になりはてた大衆をですね、一部のワルが利用して権力や富を得ていた、いや今も得ているという状況がどうにも許せないのです。
 それがまた、日本国内にとどまらず、いつのまにか外国にまでだまされたり、バカにされたり、カネをふんだくられたりしている。さすがに日本人として、「国家」という我が家の「国益」という食い扶持くらい守らねば。そう思うのが当然でしょう。
 しかし、愚民になりきってしまった身内自体が、ある意味強力な難敵ですよ。洗脳されてますから、ディプログラミングはそう簡単ではありません。
 また、洗脳を解くとなると、洗脳を施している側や、洗脳状態を意図的に利用している者、あるいは無意識的に洗脳状態から恩恵を得ている者から、強烈な攻撃を食らう可能性が出てきます。
 それに対する防衛本能が、それこそ無意識化して、この本で言う「バイオパワー」として世の中に蔓延してしまうと、もう洗脳は完成に近づきます。現在の日本はそういう状況ですね。
 教育界で言うと、我が山梨県の某教職員組合なんか、まさにそういう例です。言語では表せない日常の「空気」が支配していて、全く見事な膠着状態になっている。「中の人」はみんな「お人好し」でまじめ。空気をしっかり読む典型的な日本人です。しかし、結果としては、聖職にあるはずの人々が平気で法令違反をしてしまう。そして、どんどん「愚かな大衆」を作っていってしまう。
 私はどうにもそういうのが許せないのと同時に、どうしてこうもうまくそういうシステムが出来上がるのか、非常に興味があるのですね。そのプロセスを知らねば対抗策も思いつかない。ただ単に反発したり糾弾したりするだけではダメなのです。
 この本は、メディア界のスーパータブーである「電通」の見えざる実態に迫った労作です。苫米地さんとサイゾーというタッグでなくては、とてもこういう所に斬り込んでいけません。お見事です。
 普通に考えれば、東電批判をして干された芸能人と同様に、闇からの圧力によって今後メディアでの仕事の場が奪われるでしょう。
 しかし、今だからこそ、我々愚民も気づくチャンスはあると思いますし、電通の力がそれほど及ばないネットというニューメディア(それもまたアメリカが用意したものだというのはなんとも皮肉なことですが)を味方につけるという方法もあると判断したのでしょう。よくぞ書いてくれました、苫米地さん。
 私、おじがバリバリの電通マンでしたし、現在も同級生や教え子が電通の現場でバリバリに活躍していますので、その見える部分での内情については、けっこう詳しい方だと思っていました。ある部分では私にとって憧れの仕事、憧れの会社でもありましたね。
 しかし、その歴史に、このような「物語」があろうとは、おそらく電通社員の皆さんもあまり知らないのではないでしょうか。
 いや、実際にですね、電通の「中の人」も、我々教員と同じように、「お人好し」であり、ある意味では有能な人種だと思います。結局、我々、人の良いオトナ、賢いオトナが洗脳や思想統制の立派な「メディア」になっていたということですよ。
 そういう自覚や反省や客観視こそが、この異常な状況を打破するきっかけとなるはずです。そういう意味で、この本の価値は非常に高い。こういう無意識的被洗脳状態および無意識的洗脳加害状態は「電通」に限ったことではないからです。私たちの日常にそういう見えない力が働き続けていることを意識することは大変重要なことです。
 この「教育版」あるいはもう少し狭めて「国語教育版」を書きたいですね。そんなことしたら、私も抹殺されてしまうのでしょうか(苦笑)。いったい誰に?
 実はもうその洗脳という行為の主体さえも分からなくなっているのかもしれません。実はそれが一番恐ろしいことですね。

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コメント

興味深いですね。ぜひ読みたい本です。

投稿: よし@リーダシップ | 2012.08.17 02:50

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