獨協医大・永井伸一名誉教授「子供をダメにする」親の研究
今日は、私が普段強く感じていることを書いてくれている文章を紹介します。週刊現代のこの記事。
獨協医大・永井伸一名誉教授「子供をダメにする」親の研究 3000人の親子を聞き取り調査して分かったこと
私も仕事柄、生徒だけでなく親とじっくり話をする機会がたくさんあります。ある意味では親との対応が本業とも言えます。「対応」の中には、当然「教育」「指導」「カウンセリング」なども含まれています。
高校での仕事がメインだった時にはそれほど感じなかったのですが、中学を担当するようになって、特に親の存在の大きさを痛感するようになりました。
私も親であり、私よりも子育てに関してはずっと立派な保護者の方が多い中、偉そうなことは言えないのですが、たしかにこの獨協医大の永井伸一名誉教授の言葉と同様のことを感じたり、話したりすることが多くあります。
それにしてもいきなりの「『両親とも教師』の家庭は危ない」には思わず苦笑してしまいましたね。ウチはまんま「両親とも教師」ですので(笑)。
ま、我が夫婦をご存知の方々はお分かりでしょうが、ウチは二人ともかな〜り破格な教師ですからね、逆の意味で心配があるのではないでしょうか(笑)。実際ウチの娘たちときたら…。
現場で特に感じるのは、母子の関係、そして父親の存在ですね。関係は母親、存在は父親です。それも幼少期から反抗期前までの関係と存在。これが本来の形、あるいは旧来のあり方であれば、ほとんど問題ありません。
昨日までの戦後洗脳政策の話で言えばですね、私も含めて今の40代の親は、みんな日本的な価値観よりもアメリカ的な価値観を重視して育てられてきましたから、ある意味古来の家庭や家族のスタイルを捨ててきた世代です。
それがその子どもたちにある種の歪みとして現れている感じはしますね。今の親は自己愛が強い。子どもへの愛と思っているものも、実は自己愛であったり、自己実現欲求であったりすることが多々あります。
これは「子どもこそ親の喜び、子どもが私の人生」というような感覚をも作り出します。これは実は子どもにとっては大きなお世話なんですよね。
本来の日本社会では、子どもへの愛情よりも表面的には優先される愛がありました。それは国家への愛であったり、主君への愛であったり、会社への愛であったり、地域への愛であったり。
そう、子どもへの愛情なんていうのは、これは動物的な本能であり、別に立派なことでも正しいことでもないとも言えるのです。そこに満足している、あるいはそこに生きがいを見ているようではいけないのです。
親子の愛情は、本当なら自然にそこにあって揺らがないものであるべきです。しかし、戦後世代の親は、そこを意識化、あるいは美化してしまったために、逆に不自然な形の愛情を注ぎ続けてしまいました。その結果が最近の若者のいろいろな問題行動や精神的な疾患なのではないかと思います。
絶対的な、本能的な愛の存在を信じ、それをベースにつきあっていれば、親子関係はどんな時も盤石です。どんなに怒っても、喧嘩しても、場合によっては体罰を加えても、ぜったいに自然に修復します。それは本来親子だけに与えられたある種の能力です。
そこで「修復」「自然治癒」の体験をした子どもは、他者に対してもそれを期待しますし、実際に自分がそれを具現化することもできます。それを体験して来ないと、他人との関係の修復ができず、あるいはできないと思い込み、社会不適応になってしまったりする。
異様に「空気を読む」、すなわち人間関係を崩さないように、軋轢が生じないようにふるまって疲れてしまう若者が多いのもなんとなく分かりますね。彼らは親と仲良くやりすぎたのかもしれません。
そういう意味で反抗期というのはとても大切です。毎日中学生を見ながらそういうことを強く感じています。
ま、「偉そうなこと言う前に、まずは自分がまともな親、先生、大人、人間になれよ!」という声が聞こえてきそうですがね(苦笑)。
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