『お米のなみだ』(NHK仙台放送局開局80周年記念ドラマ)
やっと今日観ることができました。観たかったんですよ。評判が良かったものですから。
「米」をテーマにした2008年制作の地方発ドラマ。「国際ドラマフェスティバル in TOKYO 2009 ~世界に見せたいドラマがある~」で「ローカルドラマ賞」を受賞したとのこと。
高度経済成長期の東京の団地で育った私は、正直農業とは全く関係ない半生を送ってきましたが、縁あって秋田のコメ農家の娘と結婚することになり、そうして初めてその実態(良いところも悪いところも)を知るところとなりました。
それもまさに「中山間地域」の農家の娘でした。そして、義父は農協の職員としても長年働いてきた方です。
実を言うと、最近家内の実家は、その中山間地域を去り、都市部に引っ越してしまいました。田んぼは地域の親戚にまかせ、実質的にはコメ農家もJAの仕事もやめてしまいました。
その決断の裏には、私の想像を超えた苦悩があったようです。このドラマでも表現されていた、国の農政の問題、借金や自殺の問題、そしてドラマでは描かれていませんでしたが、農協(JA)という巨大組織に伴う暗部…。
そこの長女として、今故郷を離れて農業とは関係のない生活をしているカミさんにとっては、それこそ他人事ではないドラマであったようです。
脚本の阿部美佳さんは山形の専業農家の娘さんだそうです。ウチのカミさんと同じ「アベ一族」ですな。阿部さんはこう語っています。
「縁あってこのドラマに参加しましたが、自分の中で一つ決め事を作って臨みました。それは、農家を美化しないこと。農家の娘だからこそ、その苦しさも歯がゆさも無知さも、そしてこの仕事の素晴らしさも、すべてが愛しい」
ここでも述べられている「無知さ」こそ、実は日本の農業問題の根本にあると感じます。もちろん私も無知も無知だったわけですが、一方で第三者的な立場から見ると、農家の皆さんのある種の「純粋さ」には危機感を感じざるを得ません。
ドラマの中でも「お人好し」という言葉が発せられています。「もっと賢くなってよ!」とも。
そこなんですよね。東北の純粋な農家の人たちを喰い物にしてきた目に見えない「権力」、私はそこが気になってしかたありません。ある意味戦後のGHQによる教育(洗脳)の成果とも言えるのです。もちろん、そこには古い自民党や、農協という組織も関わってきています。
そうそう、主演の奥田恵梨華さん、幼い頃に秋田の湯沢に住んでいたんですよね。多少は秋田のコメ農家の空気というのを感じて育ったのではないでしょうか。ちなみにウチのカミさんは湯沢から峠を二つ越えた山の中の生まれです。どんな所かはこちらからたどってみてください。
カミさんは、このドラマを観て、もっともっと現実的な農家の暗部を語ってくれました。もっと厳しい現実、秋田の山間部のドキュメンタリーとか作ったら、ちょっと衝撃的すぎますな。とても放送できません。
まず、実際のところ、鳴子のように「活気」のある農村はそんなにないとのこと。ドヨーンと暗いのがスタンダードだそうです。
近々また秋田の山村の農業関係者とじっくり話をする機会を作りたいと思います。私が今取り組んでいる壮大なテーマと「米」とは深い関係があるからです。
ドラマの結末が語ったとおり、「米」すなわち「自然」は単なる商品ではありません。あえて言うなら「神」そのものです。農家の方々が、そういう崇高なお仕事に誇りが持てるように、世の中が変わっていかねばなりません。
コメかカネか。まずは「カネ」の弱体化を図らねば。私の壮大な計画は着々と進んでいます。
お米のなみだ公式
| 固定リンク
「映画・テレビ」カテゴリの記事
- Style2030 賢者が映す未来〜竹倉史人 (BS-TBS)(2023.05.14)
- 追悼 のっぽさん(2023.05.11)
- 『オスカー・ピーターソン ジャズ界の革命児』 バリー・アヴリッチ監督作品(2023.05.07)
- バブル崩壊前夜…日興証券のCM(1990)「インベストメント・テクノロジー」(2023.05.05)
- 富田靖子 『思春期・前期』(2023.05.04)
「経済・政治・国際」カテゴリの記事
- Aladdin (アラジン) 『ポータブル カセットガスコンロ(2口)』(2023.05.21)
- 紙ストロー?(2023.05.20)
- バブル崩壊前夜…日興証券のCM(1990)「インベストメント・テクノロジー」(2023.05.05)
- 『ビューティフル・マインド』 ロン・ハワード監督作品(2023.05.02)
- テレ東BIZ「橋本幸治の理系通信【傑作選】」(2023.04.29)
「旅行・地域」カテゴリの記事
- 英語の語源が身につくラジオ(堀田隆一)(2023.05.17)
- 物件ファン(2023.05.16)
- ベイスターズ 劇的サヨナラ勝ち!(2023.04.27)
- 柳沢正文 vs 落合陽一 『睡眠の謎』(2023.04.26)
- 若者との対話 in 石和・甲府(2023.04.25)
「自然・科学」カテゴリの記事
- BossB 『全てのビジネスは”宇宙思考”に学べ』(2023.05.25)
- 『基礎科学としての情報〜エントロピーと生命、超次元複雑性と生成AIの未来と私達』 Dr.苫米地(2023.05.24)
- 木内鶴彦さんとナオキマンの対談(2023.05.22)
- 紙ストロー?(2023.05.20)
- Style2030 賢者が映す未来〜竹倉史人 (BS-TBS)(2023.05.14)
「歴史・宗教」カテゴリの記事
- 『基礎科学としての情報〜エントロピーと生命、超次元複雑性と生成AIの未来と私達』 Dr.苫米地(2023.05.24)
- 木内鶴彦さんとナオキマンの対談(2023.05.22)
- 英語の語源が身につくラジオ(堀田隆一)(2023.05.17)
- Style2030 賢者が映す未来〜竹倉史人 (BS-TBS)(2023.05.14)
- 『オスカー・ピーターソン ジャズ界の革命児』 バリー・アヴリッチ監督作品(2023.05.07)
コメント
こんばんは。ちょくちょく拝見しております。湯沢出身の大学生です。高校のときにメールさせていただいたこともあります・・・ってそれはどうでもよくて、
地元の話題として、コメントせずにはいられず。
わたしも湯沢出身で、畑と田んぼに囲まれて生きてきました。もちろん、その畑と田んぼを耕す人々にも囲まれて。
農協と農家の関係性や中山間地の人々、部落(私の地域では差別用語でなく普通に部落と使います)、本家と分家、理想と現実とか伝統とか「あたまのカタさ」とか、「当たり前」とか、そしてそんな地域が大好きな私とか、いろんなことを思い出しました。
このドラマ、身近なところがテーマになっていて
身近すぎる故に存在は知りつつもなんとなく未だに視聴しておりません。でもこの記事を読んで見ようと思いました。ありがとうございました!長々とすみません^^
投稿: shiba | 2012.02.20 01:30
この作品の中で、なぜ、主人公の父親が自殺したか?という理由が私の存在でした。私は、後見人の実の子供でない理由から、捨てられた孤児でした。孤児の私を引き取ってくれた方が、自殺をしたのです。私を育てる為に無理に農地を増やした事が一番の原因です。奥田恵梨華は、昔、自分と関わりあった事が理由でこの作品に参加してくださりました。私は、NHKの連続ドラマ小説に出演した俳優の血族という関係から産まれた作品でもあります。この作品の中で言いたいことは、中央の我儘な現状から起きた物語でもあります。米はドンドン安価になり、農家は減って来ています。宮城では、大半は、兼業農家ですから、コメ農家は今後どんどん減るでしょう。米は安い、農機具は高い。これが現状です。農家さんは、自分の食べる分だけ栽培をすれば、生きられます。困るのは都市部の方々です。なぜかというと、兼業農家だからです。農業以外で働いているので、困らないんです。都会は、外米を食っていれば良いという考えの農家さんもいます。東京にくる米は、大半は古米です。八月には、一昨年の米の売り上げ代金が入って来ているのが現状だからです。
投稿: 過去の人 | 2014.04.08 10:04