フユユスリカ(的人生?)
このクソ寒いのに(朝はマイナス10度)学校の庭に虫が大量発生しているというので見に行ったら、たしかに蚊のような虫が群れをなして飛んでいました。
夏の河川敷などでは時々見られる、いわゆる「蚊柱」です。
さすがにこの季節にこれはおかしいだろ、もしかして地震でも起きるのでは…なんて思いまして、さっそく調べてみたら、まあビックリ。別に異常なことではなかった。いや、ある意味これは普通じゃない虫だった…。
この「蚊」はいわゆる「ユスリカ(揺蚊)」の一種であり、それも冬に発生する「フユユスリカ」だそうです。まあ、なんで好んでこの季節に出てくるかな…。
まず、今まであまり見たことのない冬の蚊柱という現象が起きたのかですが、これはどうも昨年の3.11の大地震が影響しているようです。
このユスリカはきれいな水が豊富にあるところに大量発生するんだそうです。そう、水と言えば、本校の母体になっているお寺の山号が「水上山」であることからも分かるとおり、学校のすぐ横に大きな池があるんですね。
フジファブリックの志村正彦くんがよく遊んだ池、太宰治の作品にも登場するあの池です。
この池は、いわゆる富士山の湧水です。池の横の坂は、つまり富士山から流れ出た溶岩流の先端部分でして、そこから地下水が湧き出しているというわけです。
いつごろからでしょうかね、20年くらい前からだと思いますが、どういうわけかその湧水量が減ってしまっていました。富士山地下のことですから、何が起きているのか分かりませんが、私たちの見えない所で動きがあったのです。
そのため、しばらくは枯れ池になってしまっていたのを、水道から水を流し込んで、なんとか往時の風情をとどめようとしていたわけですが、残念ながらあまり池水はきれいではなくなっていました。
そこにあの大地震です。生徒曰く、池で津波が起きていたそうです。たしかにありえますね。そう言えば西湖でも津波が起きていましたよね。
で、その後、富士山での地震などもあって、また目に見えない所で大きな地殻変動が起きたのでしょう、急に湧水量が増えたのです。富士宮など南麓の湧水も、被害が出るほど増えましたよね。実は北麓でもそうだったのです。
その結果久しぶりに池の水が適度にきれいになりました。そして、ユスリカが帰ってきたということですね。
このフユユスリカについて調べてみたら、ちょっと感動しちゃいましたよ。
あの蚊柱ですけど、あの中にはメスは1匹しかいないんだそうです。あとは全部オス。つまり一人の女を巡っての戦いが繰り広げられてるんですね。知らなかった。
そしてそして、ユスリカたちは成虫になると1日で死んでしまうんだそうです。つまり、ああやって交尾の機会をうかがい、運良く叶えられると、いや叶えられなくても死んでしまう。メスも産卵するとすぐ死んでしまうらしい。
だから成虫はものを食べる必要がないため、口や消化器官は退化してしまっているそうです。すごい…。
というわけで、「フユユスリカ(的人生)」というタイトルで書き始めたんですけど、これをどうやって人間の人生にあてはめるか…なんだかちょっと無理があるし、考えたくないような気が…(笑)。
まあ、なんというか、そうやって種を保存継続してきたわけで、それはそれでおそらくものすごく充実した人生なのではないか…妙にまどろっこしく、またある意味無駄な時間もたくさんあり、何を食べようか迷っているような人間こそ、自然界では変な生き物なのでしょうね。
それにしても、なんでこの「フユ」を選んだのかなあ。なんでも冬眠ならぬ「夏眠」をするそうです。ううむ、自然界は奥深い。人間の常識でははかれないなあ。
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