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2012.01.25

三路スイッチ・四路スイッチ…そして脱電力のお話

 日の技術の時間は「3路スイッチ(三路回路)」についてのお勉強。
 皆さんのお宅にもあるのではないでしょうか。階段の上と下で電気をつけたり消したりできるスイッチ。
 ウチの階段にもありますね。ウチのは四路です。つまり、三カ所でつけ消しができるタイプ。
 これっていったいどういう回路になってるんでしょうか。今日は技術の先生がそれを生徒に考えさせました。皆さんも考えてみてください。答えは下にあります。
 四路になるとちょっと難しいですよね。というか、四路スイッチを発明した人は偉い!誰なんだろうか。私は四路は考えてもわからず、答えを見てしまいました。
 技術の先生とも話したんですが、今どきの子どもたちは、たとえばこのようなスイッチがどういう仕組みになっているかなんて、ほとんど考えませんね。
 世の中の機械のほとんどがブラックボックス化していまして、そういう仕組みというものを考えなくても生活することができるようになりましたし、たとえ興味を持ったとしてもそれを確かめる術がないというのも事実です。
 私の子ども時代なんか、まあなんでもかんでも分解してましたからね。それって、つまり「中身はどうなってるんだろう?」とか「どういう仕組みでこうなるんだろう?」とか、そういう興味にかられて、居ても立ってもいられなくなっていたということですよね。
 そして、当時の機械はそれを許す作りでしたね。分解可能でした。今の機械は分解できないようにできていますね。つまり、作った側も修理するつもりがないということでしょう。壊れたら捨てて買い換えると。
 大人がそういう世の中を作ってしまったおかげで、今の子どもたちは「想像力」を失ってしまいました。ウチの学校では、いろいろな意味で「想像力」を育てたいと考えていますので、その一環としてのこの技術の授業です。というか、大人である(すなわち昔の子どもだった)私たち教師の「遊び」という意味合いも多分にありますが(笑)。
 「遊び」には危険も伴います。リスクがなければ「遊び」は成立しません。「遊び」の本質の一つは「危険への挑戦」「未知への挑戦」「想定外への対処」です。そのための最大の武器が「想像力」なのだと思います。
 そうそう、その技術の時間では、「短絡」や「感電」も経験させていましたよ。
 まあそういう「危険」に伴う責任が製造者側に課せられるようになっていますしね、どうしても作る側もそういうリスクを避ける方向に行っちゃいますよね。
 今、いろいろな意味で、「電気」が注目されていますが、考えてみると「電気」自体が得体の知れないものになってしまっています。いや、本来得たいの知れない「モノ」であるはずなのに、ブラックボックスの中でしっかりコントロールできている「コト」であると、我々は勘違いしているのです。
 原発事故なんか、まさにその結末であり、ある意味「もののけ」たる電気、あるいは原子力(核力)、つまり自然の反乱、反撃とも言えなくもありません。
 だいたいですね、この電力社会というのが幻想の産物なんですよ。私も含めて、そこのところに想像力が及ばず、こういう社会に依存して安住してしまった。
 この期に及んで、電気自動車やオール電化とか言っている私たちって…。世の中の自動車が全部電気自動車になったら、いったいどれだけ電力使用量が増えるか。そんなことすら想像できない私たちって(ちなみに原発を新設せずに電気自動車に要する電力を全て火力発電所で補うとすると、肝心の温暖化の問題、化石燃料枯渇の問題も単純には解決しなくなる)。
 今の私たちの使用電力量を半分にするとなると、なにか大変な、ある種原始的な生活に戻るような気がしてしまいますが、実際には1970年代に戻るだけです。あの高度経済成長期の「電力生活」に戻るだけです。
 いや、今では省電力化の技術が進んでいますから、あの頃よりもずっとぜいたくな「電力生活」ができるでしょう。
 そういう意味では、今必要なのは「脱原発」ではなくて、もっと根本的な「脱電力」なんですよね。いや、「脱電力」というよりも「脱過剰電力使用社会」と言った方が正確かな。
 もちろん、一つには私たちの省電力生活化も大事ですけれども、今の電気の垂れ流し状態からの転換を図るために、私のいつも言っている「蓄電」技術の進歩も大切です。大型キャパシタの研究開発に期待します。日本の工業界、逆転の最後の切り札は「蓄電」にあります!
 さて、話がだいぶ逸れたので、最初の問いに戻りましょう。三路スイッチの回路図できましたか?四路をゼロから考えられたとしたら、あなたは天才です!
 では、答えです。

三路スイッチ回路図。

3swlight1

四路スイッチ回路図。

3ro_sw


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