『スティーブ・ジョブズの子どもたち ~ハングリーであれ 愚かであれ~』 (NHKドキュメンタリーWAVE)
今年の年賀状はiPhone5でした。
もちろんスティーブ・ジョブズへの哀悼の意も込められていますし、今年の私のテーマが「バージョンアップ」であるという気持ちも込められています。
そして「Stay hungry. Stay foolish」もまた、これからの私や家族のテーマでもあります。
その言葉が発せられたのが、あのスタンフォード大学でも講演でした。その講演を現場で聴いていた同大の卒業生たちのその後を追ったドキュメンタリーを観ました。
スティーブ・ジョブズは「アメリカン・ドリーム」の象徴のように言われますが、実際には、ある意味「アメリカン・ドリーム」を実現した若者たちに、それが単なる「ドリーム」であったことを教え、そして「本当の幸せとは何か」という究極的な問答の世界に引き込んでいた…。
たしかにジョブズは夢を実現しましたし、それなりの「金持ち」にはなりました。しかし、彼の偉業の本質は「カネ(マネー)」では計れないものでした。
ちょうど昨日「利益(りやく・りえき)」の話を書きましたよね。彼が「りえき」を上げたのも事実ですけれども、それよりも「りやく」を我々に恵み与えたという点に注目すべきです。
彼はテクノロジーをもって、世界の「点と点をつなぎ」、真に平和で豊かな世の中を実現すべく行動しました。
もちろん、それが本当に正しいやり方なのかは、まだ歴史が証明するに至っていません。しかし、そういうレベルでの「夢」を実現するために、創造力を発揮して行動したことはたしかです。
番組中、何人かの若者が投資銀行を辞めるに至ったいきさつが語られました。「他人の仕事をするな」というジョブズの言葉に刺激を受けたものです。
誰もが「今の仕事は本当に自分の仕事なのだろうか」と考えますよね。しかし、それは、この仕事は自分に向いているのか、自分の能力が活かされているのか、というようなレベルのことですよね。
ジョブズはもっと高い次元でこの言葉を使っていると思います。つまり、「理想の世の中を創るために、自分の役割は何なのか」というレベルです。
おそらくジョブズの言葉を思い出して投資銀行を辞めた若者たちは、それに気づいたのでしょう。ただお金を得るだけであれば(つまり「りえき」を得るだけであれば)、投資銀行で1年目から年収1千万円以上もらえるという事実は、ある種の「アメリカン・ドリーム」の実現です。
しかし、昨日も書いたとおり、自らが「りえき」を得るということは、他者に「りやく」を施すどころか、誰かに損をさせ、誰かを不幸に陥れることなのです。そこに想像力が及ばない状態こそが、「りやく」とは正反対の、悪魔に魅入られた、洗脳された状態だと言えるでしょう。
ジョブズは「禅」を学んでいました。彼の生き方、言葉の使い方、製品のデザインやコンセプトには、曹洞禅の影響が色濃く見られます。
おそらく私が彼や彼の作品に共感するのも、そういう部分があるからだと思います。
一昨日のあの座禅アプリ「雲堂」を、ジョブズはどのように評価したのでしょうか。おそらく知っていたと思いますよ。
「点と点をつなぐ」…これは「縁起」を積極的に生み出す行為です。我々の間にあった様々な障壁を、彼はテクノロジーで取っ払おうとしました。それはある程度実現していると感じます。
ただ、まあ理想論は別としまして、日本よりもアメリカの高学歴就職難はひどいですね。アメリカ自身が、旧来の「アメリカン・ドリーム」がフィクションであったと気づき始めています。
いよいよ世界のバージョンアップの時が来ているのでしょうか。あるいは、ジョブズのような「宗教者」が亡くなって、ますます世界は弱肉朝食の獣のような世界になっていくのでしょうか。
ところで、番組を観ながら(英語を聴きながら)hire と fire が反対語だということに気づきました。
再放送が13日(金)18:00からありますので、ぜひご覧下さい。
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