相変わらず選択肢の日本語に難あり。(2012 センター試験 国語…評論)
なんだか忙しくて(人と会って話をする機会が多くて)、今年はとっても遅いレビューになってしまいました。
センター試験と私の距離も、以前に比べると少し遠くなったような気がします。ですから、正直センターを解くことが優先事項とはなりません。まあ、中学の仕事が中心ですから仕方ありませんね。なんとなく寂しいような気もします。
しかし!昨年もこんなふうにに吠えまくっていますからね、今年も期待されてこちらを訪問してくださった方が多数いらっしゃるようです。何か少しは書かねば。
そうそう、昨年の記事には実にありがたいコメントがたくさん付いたのですが、あの最後の「某」さん、お元気でしょうか?まあ「二度とここを覗くことはない。読む価値なし!」と断言していますから、ご挨拶しても意味ありませんが(笑)。
ということで、今日は評論について(問題はこちら)。う〜む、今年はあんまり噛みつき所がないなあ。つまり、まあまあ良問だったということです。丁寧に読み込み、抽象的な言葉を感覚に落とし込んでいけば満点取れるでしょう。
本文は人間の自己意識、「私」の特異性に関する内容。これは、まんま私の「モノ・コト論」なので理解しやすかった。そう、この「モノ・コト論」を身につけてしまうと、いろいろな文章や世の中の面倒な仕組みなどが理解しやすくなりますよ。
つまり、自己意識=コトであり、その他全てがモノだという考え方です。前半で言えば、「個体」がコトで「環境」がモノ。
で、お釈迦様のように真理をつきつめていくと、その「コト」がですね、筆者の木村さんがおっしゃるとおり、内部(領域)を失っていって、しまいには「点」になってしまう。そうすると点自身が境界線になるとも言えるし、境界線がなくなるとも言える。それが自他不二ですね。
ま、これを読みながらこんなことを考えているのは「モノ・コト教」の教組、私だけでしょうが(笑)。いや、この本文のように小難しい言葉で表現されている「コト」は実はとってもシンプルな「モノ」なんですよね。
まあ、それはいいとして、一つ苦言を呈するとすれば、昨年と同様に、選択肢の日本語がへんちくりんで混乱するというのがありましたね。
たとえばこのブログなんか、まあ全く推敲せず(再読すらせず)に書き散らしていますから、それこそ誤字脱字やら論理的なねじれとか当たり前にありますけどね、しかし、こっちは何十万人もの人生がかかっているセンター試験ですからね。
問2の選択肢全体のことです。五つの選択肢全てが、「ある個体にとって、〜に加え、〜もまた環境の一部となること」という形になってますね。
この問題は筆者独自の考え「(自然など一般的な環境だけでなく)他の個体も環境の一部」を把握させる意図があるわけですが、選択肢の「〜に加え」が多義的であるために、ちょっと最初勘違いをしてしまいました。
つまり、私は最初「〜に加え」を単純に「答=○+△」の「+」だと思ってしまったわけです。お分かりになりますか?だから、○の部分に「自然」が出てくる選択肢4と5をはじめ排除してしまったわけです。だって、正答の根本的な条件に反しているから。
しかし、他の選択肢があまりにも変だったので昨年の記憶が蘇ったのでしょうね。待てよ、この「〜に加え」は「(○だけでなく)」、あるいは「(○なみならず)」という意味であり、傍線部Aの中には直接含まれない成分なのか、傍線部Aの言外、すなわち傍線部以前に述べられていた内容を受けているのか、とやっと気づきました。それまでに数分かかったのでは。
昨年も結局、あの選択肢の日本語が曖昧であって、いろいろ解釈ができてしまう文だったわけですよね。結果として分かればいいじゃん!とも言えましょうが、やはり大規模な客観テストなんですから、あらゆる読者(受験者)の視点で文を推敲、校正するべきでありましょう。
相変わらずこんな日本語を読まされる受験生は大変であります。木村さんの文も、もう少し分かりやすく書けるのでは。書き直してみようかな。
明日は小説などについて。
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