志村正彦展〜路地裏の僕たち
素晴らしい催しでした。そして感動よりも、やはり「切なさ」が残りました。
お世辞抜きに世界に誇る音楽家であり詩人であった志村正彦。彼が亡くなって今日でちょうど2年。今日は三回忌の日です。
この日にこうして、彼の友人たちが世界中のファンのために、また、彼のことを(悔しいほどに)知らない地元の人たちのために、そして、もちろん彼自身と彼のご家族のために開催されたということは、本当に素晴らしいことです。
実際各地からたくさんのファンの方がいらっしゃり(地元の方もたくさんいらっしゃいました)、会場に入るのに数時間を要するほどの盛況ぶりでした。
私も2時間近く並びましたが、その価値が充分にある展示内容であったと思います。友人たちの手によるということで、公的な、世界に開かれたアーティストの一面というよりも、本当に地元富士吉田に根ざした、私的な、人間志村正彦を感じることができるものでした。
そこに実に大きな価値があると思います。よそゆきの彼のクロニクルに終始してしまえば、そこには彼自身を歴史にしてしまう残酷さが生まれてしまうと思うのです。
しかし、こうして、ある意味普通の少年、つまり、お調子者でちょっと情けない、でも一方ではわがままで、夢見がちな少年像をリアルに紹介してくれることで、来場された方々にとっては、彼自身と彼の作品の新しい魅力を発見する機会となったのではないでしょうか。
また、家族を愛し、友人を愛し、学校を愛し、富士吉田を愛し、ファンを愛した志村くんへ、それぞれが愛をお返しする場にもなったと感じました。彼は愛の総量がものすごく豊富だったんです。そして、それは彼が愛に飢えていたことの裏返しでもあります。
彼の尊敬していたジョン・レノンの言うとおりです。志村くん自身も歌っているじゃないですか。Love is wanting to bo loved.
この2年、ものすごく早く、そして密度の濃い時間の蓄積でした。
この時間を過ごす間、彼の存在が薄まることはなく、逆にどんどん確かなものになっていくような気がしました。
それこそが私にとっては「切なさ」なのです。
私のモノ・コト論で言うならば、生きたモノであった彼と彼の言葉、音楽が、彼の死によってコトになっていってしまう、つまり、私たちの脳内の記憶や、残された情報としての「確か」なものになっていってしまうということなのです。
それは実は志村くん自身が最も敏感に捉え、そして恐れていたことなのでした。「もののあはれ」ですね。
それが、ここ「市民会館」で行われている…その事実に気づいた時、私は涙をこらえることができなくなってしまいました。彼がここにこういう形で帰ってきたんだなと。
あの日、この市民会館が、私にとってのリアルな志村正彦くんとの出会いの場でした。そして別れの場ともなってしまいました。
市民会館もリニューアルされました。あの楽屋はもうありません。そして三回忌にこうして帰ってきてくれたけれども、もう彼の時は止まってしまっているのでした。
そう、今日は月江寺駅にあの日と同じ横断幕がかかっていましたね。あれって、あの当時私のクラスにいた女の子のお父さんが考えて作ったものなんですよ。当時の富士吉田駅の駅長さんです(うどんマイスターでもあります)。
志村くん自身の時は止まってしまっても、彼の遺した作品たちは生き続けます。そして、私たちはそれを活かし続けなければなりません。
私自身も彼から学んだこと、彼に勇気づけられたこと、本当にたくさんの恩があります。少しでも彼のことをたくさんの人に知ってもらえるよう、こうして私が生きていることを許されている限りは努めていきたいと思っています。
ちょうど今日も、行列に並んでいる時、偶然ある方々にお会いし、この前突然降って湧いた「フジファブリック学」講座の件が一歩前進しました。また確実になったら告知します。これは私のお役目なのでしょう。頑張らせていただきます。
志村くんのご家族、友人の皆さま、本当に素晴らしい会をありがとうございました。お疲れさまでした。
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コメント
すごい良かったですよね、志村正彦展。
僕は一日目のオープン十分前ぐらいから行ったのですが、すごい人がいてビックリでした。
オープン前に裏でスタッフの方全員が歌った「大地讃頌」にはとても感動でした。
一番初めに(オープン前日にw)この展覧会を見れてとても幸せでした。1フジファブリックファンとしてこんな幸せは無いと思います。お父さんやスタッフの皆さんに顔を覚えられたのも嬉しかったです。
じっくり展示を見て泣きそうになったその足で「いつもの丘」や下浅間神社にも行ってきました。
どう見てもフジのファンだなって人が何人もいて地元民から見てとても面白かったし、感動しました。
地元の中学生なのに一人ヘッドホンでフジファブリックをながしながら地元巡り、、、痛いですねwwwww
こんな感じで志村さんの三回忌イヴ(不謹慎ですね・・・すいません・・・・)を過ごしました。
志村さんと同じ町に生まれた者として、これからも富士吉田を愛していきたいと思います。
乱文長文、失礼しました。
投稿: 厨弐病少年(レポ&懺悔) | 2011.12.25 12:19
志村正彦展、ブログで少しでも知ることができて嬉しいです。ありがとうございます。
フジのライブに行って、志村君はあのメンバーとフジを作ってきて幸せ者だったんだなぁと改めて感じました。ダイちゃんも総君も、かとをさんも刃田君も、志村君を尊敬しているからこそ前を向いて頑張ってるんだというような大きなエネルギーをもらいました。
永遠にリスペクトしています。志村君。
投稿: まっつん | 2011.12.25 20:15
23日に行くことができました。
本当にプライベートな物まで展示されていて
特に志村くんが成長していく過程は 母でもある私は非常に感慨深い想いと 切ない想いで拝見させていただきました。
先生にも お会いできるかもとキョロキョロしていましたが24日に行かれたのですね。
2年…
早いですね…。
毎日聞いてきた志村くんの歌声。
これからも 志村くんの歌声を聴き続けるでのでしょう。
ご両親 お友達 地元の方々に感謝いたします。
投稿: さお | 2011.12.26 14:31
久しぶりにコメントさせていただきます!
ぼくは、2日間共、行きました!
あの会場は主催者の方たちと来た人たちで愛にあふれた
場所だったと思いました…
あの場所から離れたくなかったです…
投稿: イシハル | 2011.12.26 21:50
こんばんは。志村正彦展、行きました。24日に。
市民会館の前から、富士山が見えるんですね。
あんなに大きく、綺麗な富士山を見たのは初めてです。
9時過ぎには並び始めましたが、沢山の方があっという間に行列をつくって、驚きました。
素晴らしい展示会で、関係者の方々には感謝の一言です。
私が志村正彦さんを知ったのは、今年の9月です。遅すぎますよね。
生前の志村さんに会いたかったという気持ちはありますが、あまり後悔はありません。
遺された音楽で志村さんを感じられて、私は幸せだなと思います。
でも、ただ悲しいんです。何故だか涙が出てくるのです。
志村さんの音楽をとめることができず、涙が溢れてきます。今やるべき事をやらなければならないと分かっているのに。
私は洋楽一本でした。しかし、フジファブリックの音楽を聴いて、日本のミュージシャンで初めて素晴らしい!と思いました。今まで生きてきた22年間で、こんなにどっぷりはまったのは初めてです!彼の音楽にはまったからには、もうそこから出られないのでしょうね。
幸せなことです。
志村正彦いう人が居た と知ることが出来た事に対するものすごい嬉しさと、同時にものすごい悲しみがあります。
私は今まで大切な人を亡くしたことがありませんでした。
どうしたら良いのか?ただただ涙が溢れてきます。
唐突で不躾だとは思いますが、
志村さんが生きる上で心がけていたこと、遺志、何かご存じではないですか?
自分、周りの人、ファンに、どうあってほしかったか、どう生きようと思っていたのか。
それらが書かれている書籍など、何でも良いです。
御返事がいただければ幸いです。
長文 乱文、失礼致しました。
投稿: 裏道に咲く花 | 2011.12.29 22:59