生きる力=死なない力
今日は東京で歌会&「望年会」。仕事を終えてすぐに中央道に乗りました。車中、久しぶりにNHKのラジオ第一を(らじる★らじるで)聴いていました。
その中で防災教育のスペシャリスト、群馬大学の片田敏孝教授の非常に興味深い話を聴くことができました。
片田先生の指導のおかげで、岩手県釜石市では3000人近くの小中学生の命が救われました。生存率99.8%。救われたというのは正しくないかもしれません。子どもたちが自らの命を守ったということですね。
とにかく逃げる。一人でも逃げる。まずは自分の命を守る。「想定」を信じない。瞬間の判断で最善のことをする。ここまで登れば安全…ではなく、まだ登れるならまだ登る。家族も逃げていると信じる。一番最初に逃げる人になる。その場に逃げる空気を促す。自然の豊かな恵みを享受するのと同時に、時々起こる災いを上手にやりすごす「作法」を身につける…。
釜石市を襲った津波はまさに「想定外」でした。ハザードマップは全くあてにならないものでした。しかし、ほとんど全ての児童生徒が助かったのは、片田さんを中心とした日頃の防災教育と訓練が徹底していたからです。
そうした教育がなされていないと、子どもはまず親に会おうとします。親も子どもに会おうとします。会えずとも連絡を取ろうとします。しかし、それはほとんどの場合、お互いの命を危険にさらす結果を招きます。
実際、他の地域ではそのような形になってしまったケースが多かったのではないでしょうか。
皆さんもぜひ、こちら(小中学生の生存率99.8%は奇跡じゃない 「想定外」を生き抜く力)をお読みください。今日の放送の内容とも重なる部分がたくさんあります。
文科省はここのところ盛んに「生きる力」ということを言います。今日もたまたま文科省の「生きる力」パンフレットが学校に送られてきました。どうぞご覧下さい。先ほどの片田さんの文章と文科省の文章、比べてみてください。どうですか。
どちらが本当の意味での「生きる力」でしょう。
語弊があるのを承知であえて言うなら、私の考える「生きる力」は「死なない力」です。
この世の中は私たちがなるべく「死なない」ように発達してきました。自然科学も社会科学も人文科学も、およそ学問というのものはそのために生まれてきた、そして発展してきたと言ってよいでしょう。
しかし、今やその学問は形骸化し、断片化し、単なる知識の詰め込みとなり、「死なない力」の育成にはまるでなっていない状況です。そうした学校に向けて「生きる力を!」といくらお題目を唱えても、あるいは単なる流行りにすぎない「PISA型」なる学力観を叫んでも、はっきり言って根本は何も変わらないでしょう。
我が校でも本当の意味での「生きる力(死なない力)」の育成は大きな課題です。そして、さらにそれを個人のレベルだけでなく、まずはクラス、そして学校、社会、さらに世界に広げるところまで考えています。
まずは「体験」すること。そして「失敗」しておくこと。「想定内」も「想定外」も「想定」しておくこと。「勘」や「想像力」を養うこと。それらをどう教育の現場で適度に安全に行なうか。そして、もちろん必要な知識も身につけねばなりません。これは大変ですが、やりがいのある仕事です。
追記 アントニオ猪木さんの説法もぜひお読みください。これもまた「生きる力」です!
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