「o'clock」の「o'」って?
今日は豆知識を。
と言いますか、私、今日まで知りませんでした(笑)。教わった記憶ないよなあ。
「o'clock」の「o'」って「of the」なんですね!
由緒ある辞書たちによりますと、「of the clock」は「時計では」「時計によると」というニュアンスだそうです。
しかし、ご存知のとおり、「時計によると6時15分です」というのを「It's 6:15 o'clock」とは言いません。「o'clock」は〜時ぴったり、すなわち正時にしか使いません。
これはどうしてなのか、ちょっと考えてみました。
今私たちが想像するクロックとは、あの長針と短針のある置き時計とか柱時計とかですよね。
しかし、歴史的に見ると、ああいう時計というのは案外新しいものなんですよね。近代の産物です。
英語のclockは、ラテン語で鐘を意味するcloccaを語源としています。つまり、クロックというのはもともと「鐘の音」を表す擬音なんですよね。言われてみるとそんな気がしてきます。
昔は、たとえば教会の鐘なんか毎正時に鳴らしていたじゃないですか。それでみんな「あっ今〜時か」と思った。鐘が5回鳴ったから紅茶を飲もうとかね(five o'clock tea = 午後の紅茶)。
昔の人たちは、今の私たちのようにセコセコそわそわしていなかったのでしょう。何時何分(何秒)なんていうことは気にせず、ある意味のんびり生きていたわけです。
ですから、「今何時?」というのは、まさに「何時」だけを聞いていたわけでして、つまりは「さっき鐘が何回鳴った?」とか「次の鐘は何回鳴るかね?」というニュアンスだったのだと思います。
その証拠に、古い英語では「What time is it now?」とは言わず、「What o'clock is it now?」と表現していたそうです。
最近はデジタル時計や、ケータイの時計表示を見ることが多い我々。どんどん本来の「o'clock」的感覚を失っていると思います。
あの、鐘を指折り数えるような体験はもうないのでしょうか。家の中で壁掛け時計が正時を打つこともないですよね。ほら、夜中目が覚めたら時計が時を打って、それを心の中で数えて、「あっ、まだ3時か…」とか、そういう感覚です。
「o'clock」はノスタルジーの世界に追いやられていくのでしょうか。なんとなく寂しいような気もします。時に追われて生きるのではなく、時を忘れて、そして時々鐘の音で思い出すような、そんな一日を送ってみたいような気もします。
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