TPPに思う…その2
昨日の記事を書いてから2時間ほどして、野田総理の会見がありました。TPPについて「交渉参加に向けて関係国との協議に入る」とのことです。
これまたうまい言葉を使いましたね。この言葉を捻出するための1日延ばしだったのでしょうか。
言葉の実質的な意味は「交渉に参加する」ということですが、党内の慎重派や反対派に対しては、離党をとどまる鶴の(神の)一声効果があります。こういうところが輿石東のうまいところでしょう。彼の調整力は山教組の頃からある意味高く評価されていましたから。
こうして平成の不平等条約を受け入れる準備ができた今年は、皮肉にも幕末の不平等条約を自力で解消してからちょうど100年の年になります。
1858年の日米修好通商条約などの不平等条約によって経済的な「開国」させられてから50年ほどかかって、1911年に日米通商航海条約を締結して、ようやく関税自主権を取り戻しました。それから100年で再び関税自主権を失うことになるわけです。
私は日米修好通商条約とTPPは本質的に似て非なる部分があると思っていますから、まあこの物語は憂国の演出の一つにすぎないと受け取っていますが、ただそういう節目の年であって、それなりの記念祝事などが行われたのは事実ですから、なんとも皮肉は皮肉であります。
そんな歴史を振り返り、私が注目するのは、そうして「開国」によって「売国」された「日本」を、新しい形で「買い戻した」エネルギーです。幕府(井伊直弼)によって売却された「日本」に対する「憂国」の気運は、その後明治維新を実現させ、そして「日本」を国際社会の第一線にまで押し上げました。たった50年でです。
江戸時代の鎖国日本は、それはそれで安定した社会とも言えるし、そのままの状態を続けられるのなら、現在でも我々はちょんまげを結っていたかもしれません。しかし、世界という外圧はそれを許しませんでした。もともと地球上における国家というものは相対的なものであって、たとえば鎖国でさえも他国との関係性の中での、国家存続の戦略に過ぎません.
これだけ世界中に物や人や情報や砲弾が自由に行き交う現代においては、もちろん鎖国なんていうことはできませんし、安全保障抜きで国家を考えることなど不可能です。
今回のTPPにもこうした視点をもって臨むべきでしょうね。まずは安全保障上の問題を最優先し、あとはピンチをチャンスに変えるだけの大きな志を持てるかどうかということです。まずは政治家が維新の志士となれるか。
私は「売国」という言葉があまり好きではありません。その行為自体にももちろん抵抗がありますが、言葉としてはもっと嫌いです。国を売るという言葉が生まれるということは、その言葉を作った(使った)人間に、そういう概念があるということです。
このたびの反対派、特に保守の方々が、推進派をして「売国奴」(ある人はBKD48とか言ってましたね…笑)と呼ぶのは自由ですけれども、そういう言葉自体を口にして気持ち悪くないのか、国とはそうしてバイバイ…いや売買可能なものだと思っているのでしょうか。アメリカ化で魂まで抜かれてしまうほど日本はやわではないと思いますがね。
まあ、売らなきゃ買い戻せないのも事実ですがね。どちらかというと「奪われた国の一部」を「取り返す」と言った方がいいでしょうか。いずれにせよ、たとえTPPがアメリカの策略であろうと陰謀であろうと、昨日書いたように「日本」を取り戻す「チャンス」となる「ピンチ」が世界を覆うことになりそうです。
ああそうそう、昨日の記事に関して、リチャード・コシミズさんから「頭を冷やせ!」と言われました(笑)。私は彼をよく知っていますが、彼はとっても面白いいい人です。
最後に今日のツイートを転載します。
天龍源一郎プロレス35周年記念興行の録画を観た。プロレスはプロ野球とともにアメリカ化の道具として輸入されたが、両者とも結局立派な日本文化となり、逆輸出されるまでになった。歴史的に見ればTPPレベルのことはいくつもあったのだった。
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