Perfume 『スパイス』
今、2年生の教室ではフジファブリックの「若者のすべて」が響きまくっています。再来週の文化祭の発表に向けて練習しているのです。
歌ってみるととても難しい曲であることが分かりますね。Twitterでも思わずつぶやいちゃいましたが、たとえばサビの最初の音は、コードをGとするなら、歌はF#とAになります。
これはまあバークリー・メソッドで言えばGmaj9ということになるでしょうけど、中学生の音楽レベル(すなわち古典的和声の世界)で言えば、かなり過激な不協和音であり、特に歌では音程がとりにくい。ピアノがジャンとGの和音を押しているところにいきなり非和声音はきついですよね。中学の合唱曲ではそういう作曲や編曲はされません。
そして、音域が高い。原調では最高音はG#です。中学生のソプラノとしては限界に近い。また、ご存知のとおりメロディーの抑揚が大きいので、それだけでも音程は取りにくいのです。
ライヴなどで志村くんはかなり音程をはずしてましたが(笑)、実はとっても難しい曲を作ってしまったのです、彼は。
コード進行的に言えばなんでもないサビなんですがね。ちなみに「Bye Bye」のサビも同じコード進行です。なのに全くそれを感じさせない二つの個性的なメロディーを作ってしまうところが、志村正彦の天才的な部分です。
私、普通の曲を聴くと、まずコード進行で解釈してしまうんです。それで「またこれか」みたいに思ってしまうことが多い。しかし、フジファブリックの志村くんの曲やレミオロメンの藤巻くんの曲は、必ずメロディーから入ってくる。たまたま山梨の二人がそうだというのも面白いですね。
そう、レミオロメンの楽曲解説のところでも、「不協和音」とか「非和声音」という言葉をよく使いました。なんなんでしょうね、この山梨旋律。コト(型)よりもモノ(感性)が優先しているんでしょうかね。
おっと今日の本題からかなり離れてしまった。今日はPerfumeでした。この「若者のすべて」を聴きまくった、そしてカラオケで歌いまくったというPerfumeの3人。昨年末のフジテレビの音楽番組でこんなふうに語りましたね。
あ…「今年めっちゃ聴いた曲」ありますね。3人ともものすごい聴いてた曲が。フジファブリックの「若者のすべて」っていう曲。もうすごく大好きで、どんな時でも、なんか精神統一じゃないですけど、仕事の前の大事な時とかに「若者のすべて」を聴いて、じわ〜っとしてあったかい気持ちになって、「よし行こう」ってなったりだとか。
の…あの曲聴いてじゃないとならない感情みたいなのがあって、それもすごい良かったですね。
か…常に楽屋で聴いてたよね。
あ…「なんか聴こう」ってなったら、誰がかけてもその曲にするみたいな。
の…自然とね。
あ…あの〜、今年でしたっけ、「フジフジ富士Q」ね、イベントに行かせて頂いて、フジファブリックさんのイベントなんですけれども、志村さんの追悼イベントっていうことで。それからね。もうその前もね、すごいいいって言ってね、聴いてたんですけど。
の…めっちゃ聴いた。
あ…うんそうだね。 聴かれたことにちゃんと適してるね。
の…めっちゃ聴いた。
あ…めっちゃ聴いた曲ですね。はい。
ある意味志村的世界とは対極にある音楽をやっている彼女たちから、こういう言葉が出るとは、なんともうれしい限りです。というか、志村くん自身とってもうれしいでしょう。けっこう彼、Perfume好きそうだし(笑)。
そんなPerfumeの新曲が出ました。なかなかいい曲ですね。これもまたある意味「コトを窮めてモノに至る」かもしれないなあ。
中田ヤスタカがしかける彼女たちの音楽は、非常に「意図的」に作られた「コト」です。だいたいが、生身の人間のボーカルにああいうエフェクトをかけてボーカロイド風にするという、まあ逆転の発想というか、とんでもないフィクションをやらかしているわけじゃないですか。
しかし、不思議とそこに「人間」という「モノ」が立ち上がってくる。「若者のすべて」の話は、それを象徴するようなエピソードですね。
このスパイスもよく聴いてみると、妙なコード進行や転調、しかし懐かしいペンタトニック調のメロディー、今までのパターン化した商業曲からはずれた展開、摩訶不思議な言葉の羅列など、実は志村ワールドに近いモノを感じることもできます。面白いですね。
今となっては志村くんが彼女たちに楽曲提供することはできなくなってしまいましたが、既存の志村作品をハウステクノ風にリミックスするというのもありかと思います。彼女たちなら、きっと上手に、そして心を込めて、新しい命を吹き込んでくれるような気がします。中田さん、いかがでしょうか。
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