山口組組長 一問一答
お読みになった方も多いと思いますが、あえてここでも紹介しておきます。
しかしビックリしました。産経新聞にここまでの勇気があるとは。いちおう全国紙ですからね。
このインタビューの内容をどうとらえるかは、それぞれの思想や体験、そして立場によって違って当然です。ただ、単純に「感動した。暴排条例は行きすぎだ」とか「暴力団美化でとんでもない」とか、そんな単純な問題ではありませんのでご注意を。
ヤクザ(あえて暴力団とは言いません)について、その歴史的側面、文化的側面、そして宗教的側面からそれなりに研究をしてきた私としては、その世界はまさに白黒二分法にあてはまらない「グレー」な存在であり、だからこそ世の中で必要とされてきたということだけは信じていますので、今回の「排除」という「暴力的」な条例の全国的な完成に関しては、やはり非常に憂慮していることはたしかです。
今日も東京でその道にも詳しい方といろいろお話をしてきましたけれども、目に見えやすい、すなわちあえて舞台の上で演じている彼らを取り締まり、地下や舞台の裏側で利益をむさぼる「団体」を取り締まらないのは、これはおかしいと感じます。
このブログでも何度も書いてきていますから繰り返しませんが、舞台の上を一掃するのは、その地下や裏側をのさばらせることになりますから、これからの日本、特に東京は非常に危険になると考えています。
彼らに「暴力団」という名を与え、また実際に「暴力」の部分を助長する方向に動かしたのは、間違いなく警察です。そうして警察は表に裏に仕事を得ました。
また、警察を動かしたのは国家権力者の一部であり、またそれを動かしたのはアメリカであったと言っても過言ではありません。そういう一面も否定できないはずです。
言うまでもなく、現代は「ダニ」やら「ウジ虫」やらを害虫として徹底的に駆除する方向に動いてきました。自然界でもそれが非常に暴力的な行為であり、その歪みが様々なところに現れつつあるように、人間界においても近い将来において大きな問題が生じると予想されます。
本来の仁侠道と暴力というのは相容れないものかというと、そうでもないところがこの問題を複雑化しています。日本の神話、いや世界の神話に「荒ぶる神」が不可欠であること、またこのたびの震災も含めて、自然界においてはある種の暴力性が不可避であることなどを考えれば、私たち人間の日常レベルでの価値判断だけで世界は割り切れないことが分かりますね。
山口組三代目田岡組長の頃は、ある意味世間が賢く、そういう「世界の本質」を受け入れる土壌があり、そこにまた彼らは義理を感じ、人情を発揮していたのです。
六代目組長は必死にその頃のよき伝統を守ろうとしているように感じます。しかし、末端はそんな理想論、いわば神話のレベルではどうしようもないほどに疲弊し困窮しています。だからこそ、組長の言葉は美しくも虚しく響きますね。
ヤクザはもしかすると、伝統文化として国家に守られ保存される立場になるのかもしれません。それもまた皮肉なことですね。
昨日のジャズの話とも重なる部分はあります。対立なのか融和なのか、はたまた止揚なのか。
久しぶりに「YOUNG YAKUZA」を観てみようかと思います。これも皮肉なことですが、今、教育現場に足りないモノがここにはあります。
【山口組組長 一問一答】上 全国で暴排条例施行「異様な時代が来た」
【山口組組長 一問一答】下 芸能界との関係「恩恵受けること一つもない」
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コメント
この写真・・・庵主、ちょっと似てませんか!?(笑)
そうか、こういうお洒落をすればいいのかφ(・ω・ )!!
投稿: 庵主セコンド | 2011.10.03 18:07
暴力団という組織が、ある種の人間の受け皿になっていることは確かでしょう。「排除」したところで、その人間達が消えて無くなるわけじゃないのに、一体どうするんですかね?
>ヤクザはもしかすると、伝統文化として国家に守られ保存される立場になるのかもしれません。
本気で暴力団を排除したいなら、冗談抜きでそうすべきでしょうね。
投稿: LUKE | 2011.10.03 18:27