中学生の合唱 2011
↓体育館での最終チェックの様子。
昨年もこちらに書きました、富士吉田市内の中学校の合唱祭である親善音楽会が行われました。
今年は新生なった「ふじさんホール(旧富士五湖文化センター大ホール)」で開催された音楽会。昨年も昨年で感動をいただきましたが、今年はまた「あの舞台」での演奏でしたから、違った意味でも大いに心を打つものとなりましたね。
我が校は創立2年目ですから、2年生までしかいません。他の学校は校内の予選を勝ち抜いた代表クラスが歌うわけですが、ウチは選抜するほど人がいませんので、結局全校生徒全員参加ということになりました。
この中学の合唱については、昨年書いたとおりの、ある意味独特の雰囲気といいますか、教育的な価値がありますよね。
特に男子の声を出させるのが大変というのが、ほとんどの学校の先生の感想です。ですから、男子の声が大きいところは「よく頑張った」と言われる傾向があるようです。
それもよく分かりますね。声変りや反抗期を迎えて、男子はいろいろと複雑な心境で毎日を送っています。私もそうでした。女子はそれほどではありませんけれど、男子は一生の中で最もイライラ、ムカムカ、ムラムラしている時期でしょう。自分でもどうしようもない、得体の知れない「モノ」が蠢いている時期ですからね、人前で一生懸命歌を歌うなんていうのは、実にはずかしい。
ロックならまだしも、ああいう曲たちですからね(笑)。今日も数えていましたら、70%以上の楽曲が、「ドシラソ…」の下降バスを伴うコテコテ楽曲でしたし、「青春」なんていう、今や死語となったような恥ずかしい(?)言葉がちりばめられていました。
男子は家でもブスーっとしていることでしょう。それが、あんなに一生懸命、純粋な魂で歌っていればですね、たしかに母親なんかは感動して涙してしまうでしょう。
そして、男子がそんなふうだと、女子も燃えて大きな声を出す。それが一つのエネルギーの塊となって飛んでくるけですから、ある意味ロック的な音空間が演出されるわけでしょうかね。かなりグッとくるものがあります。特に今日は、そういうタイプの歌唱におけるユニゾンのパワーを再認識させられましたよ。
しかし、それがまた「音楽的」かどうかは全く別問題です。今日もそこが大きな問題となっていたと感じます。
ウチの学校は、指導してくれた音楽の先生のお考えもあって、まずは「音楽」を作ることを大切にして臨みましたから、音量的には他校に全くかなわなかったと思います。しかし、一方で最も声質がよく、また細かいアンサンブルが実現されていたのは、我が校だったと感じました。決して手前みそでありません。いろいろな基準があるであろう中学生の合唱の、そのある一面では一番だったということにすぎません。
実際、どちらかというと芸術的なコーラスを専門とされている講師の先生には、ずいぶんとお褒めの言葉をいただきました。それはそれで実にありがたい評価です。生徒たちにとっても、そうした評価が「ウチの学校のやり方」に自信を持つきっかけとなったのは事実ですね。
それこそ、学校の個性や日常の様子が表れるのが、こうした学校対抗の合唱祭の面白さでありましょう。コンペではありませんしね。みんな同じではつまらない。
ところで、我が校では、あのステージで歌ったことは、明日からまた新しい意味を持ちます。そう、明日から本格的に「若者のすべて」の練習に入ります。明日の授業で市民会館ライヴやフジフジ富士Qを観賞しながら、志村正彦くんが、中学の合唱にどんな思いを抱き、それがその後の彼の人生にどんな影響を与えたか、そしてあのステージに帰ってきたことや、そこで語った言葉や流した涙の意味をみんなで考えたい。そして、その思いを共有しながら「若者のすべて」を歌っていきたいと思っています。
前回の授業で初めてフジファブリックや志村くんを知った生徒たちも、あっという間に「若者のすべて」を口ずさむようになりました。ピアノ担当の生徒も、耳コピで楽譜を作り、またある子は教材として配った志村正彦全詩集のコピーをいつのまにか本のように綴じて表紙まで付けてくれました。なんともうれしいですね。これからしばらくは学校に志村くんの作った歌が鳴り響きます。
こうして歌を通じて、彼は人生を学んでいくのです。ただ音符や活字を声にするだけではない。そういう歌を歌う学校でありたいと思います。
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