フジファブリック 『STAR』 (楽曲)
さあいよいよ再起動。フジファブリックは走り続けます。その確かな第一歩となるアルバム「STAR」が来月発売になります。
先日、そのタイトル曲となる「STAR」のPVを観ました。その前にある方がわざわざFMでの初オンエアの音源をお送り下さっていたので、純粋に音としてはもう少し早くから聴いていました。
そして今日、ある教え子が久々に学校を訪ねてきたのきっかけに、この記事を書くこととしました。彼は、今大学生で作業療法士になるべく頑張っています(五十肩を診てもらいました)。
彼とは、彼が在学中から本当によく一緒にフジファブリックのライヴに行きました。今思えばほとんど一緒だったかもしれません。あの市民会館ライヴでも、ちゃっかり私についてきて(あの時は私もちゃっかりだったのですが)、萼や楽屋で生フジファブリックに会ったりもしています。
そんなふうにフジファブリックをかなり深いところで共有してきた彼が、先日のROCK IN JAPAN FESTIVAL 2011に行き、生で新しいフジファブリックの音を聴いてきた感想を伝えてくれました。
ずばり、「フジファブリックだった!」。
この言葉を聞いて、私もこの記事を書こうと決心した次第です。彼と私の感想は完全に一致していたのです。
志村正彦くんは、間違いなく世界に誇る天才であり、100年に一人の逸材であることは間違いありません。フジファブリックの中心人物であったことも事実です。
そんな彼が突然いなくなってしまって、いったいバンドはどうなってしまうのか…皆がそう考えるのは当然でした。私たちファンの動揺は別として、メンバーたちの懊悩はいかばかりだったか、それを想像するのは簡単なようで実はとても難しいことです。
彼らはプロであり、それでメシを喰っているのですから、単なる悲しみとか迷いから再出発するというのとは次元が違うんです。
ファンはいろいろと勝手なことを言います。私もついついいろいろ想像してしまいました。特に志村くんのいないフジフジ富士Qでメンバーの奏でる「フジファブリック」そのものの音を聴いた時は、複雑な心境になったものです。
しかし、彼らはさすがプロでした。この「STAR」を聴いて、私は安心したというか、非常に納得させられました。プロはすごいなと。
私はこの曲を聴いて、まず、私も大好きであり、志村くんのCDコレクションの中でも大きな存在感のあったELO(エレクトリック・ライト・オーケストラ)を思い浮かべました。
アルバムのオープニングとしての Intro から疾走感のあるコンセプト・ナンバーへの突入感など、完全にELOです。そうですねえ、ELOをご存知ない方にはたとえば、この2曲なんかどうでしょうか。
プロローグ→トワイライト
シークレット・メッセージ
こういう新しい世界への期待感というかドキドキ感、まさに宇宙(STAR)への飛翔感はELO的だとお思いになりませんか。
違った意味でも、ELOはフジと重なるところがあります。ELOも一世を風靡したバンドでしたが、リーダーのジェフ・リンが天才であり、彼の楽曲とヴォーカルがELOの全てだと思われていたふしがありました。しかし、ある時期からジェフは尊敬するビートルズのメンバーたちと交流を始め、しまいに彼らと共演し彼らをプロデュースするにまでなり、ジョン死後のビートルズのニュー・シングルを制作するまでになってしまいました。
そして、彼は自分のバンドELOから去ってしまいました。ジェフ抜きのELOなど存在できないと誰もが思いましたが、結局その後残されたメンバーはELO part2として過去の楽曲をライヴで演奏しつつ、また自分たちのオリジナル楽曲もたくさん作ってアルバムを発売したりしました。私はそのpart2も大好きなのです。
当時「ああ、ELOの音ってメンバーみんなで作っていたんだ」と純粋に驚いたことを思い出します。バンドというものの本質を考えればそれは当然なのですが。
そう、私はそういう経験からしても、また自らのバンド(楽団)経験からしても、そのあたりはよく分かっていました。つまり、フジファブリックの音はメンバーみんなで作り出しているものであって、たしかに志村くんの天才的な作品がベースにあるとしても、それをあの完成された「フジファブリック節」に仕上げているのは、メンバーみんなであると。
バンドの編曲というのはどういうふうになされるかご存知ですか。メンバーがある意味では対等にアイデアを出し合わねばバンドは成立しないのです。
だから、あの数々の印象的な、そして実に「フジファブリック」的なイントロたち一つ一つをとっても、あれはほとんど志村くんが作り出したものではないんです。
もう一度言いますが、志村くんは、もうこれはどうしようもないほどに天才です。それは事実です。しかし、彼だけがフジファブリックを作っていたのではありません。当たり前ですが、彼がフロントマンで、他のメンバーが彼のバックバンドではなかったのです。
そういう点において、あの「CHRONICLE」は少し異常事態だったかもしれません。あのアルバムは間違いなく志村くんの強い意思が全面に出た作品でした。
だからこそ、ということもないかもしれませんが…あえて言わせていただくなら、今回の3人によるニュー・アルバム「STAR」は、よりフジファブリック的になるのかもしれません。「うるさい、わがままな志村がいないから伸び伸びできるよ!」(笑)。
それもありだと私は思います。そういうことはいくらでも世の中にあります。だからこそ私は今までのフジファブリックも愛し続けますし、今後のフジファブリックも愛し続けるつもり、いや、つもりではなく愛さずにはいられないと思うのです。
とにかくアルバムの発売が楽しみです。楽曲「STAR」について分析的に書くつもりが、ちょっと違う感じの記事になってしまいましたね。でも、これでいいような気がします。今、私が言うべきことはこれだったのでしょう。
フジファブリック - STAR @ ROCK IN JAPAN FES.2011 投稿者 mafu5
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コメント
FMから流れて来た「STAR」を初めて聴いた時、
私もまさに「フジファブリック」だ!と思いました。
そして、曲の中に志村くんの魂が生きているとも。
ELO、キーボードのダイちゃんが、すごく好きだって言ってたのを思い出しました。
私も最初にフジに惹かれたのは、ELOやビートルズなどの“ニオイ”を
強く感じたのもあったのです。
去年のスピッツのイベント「ロックロックこんにちは」で、
三人のフジ+マサムネさんは見ましたが、
秋の音博でみるフジファブリックが楽しみです。
(少し複雑な気持ちも、もちろんありますが・・。)
投稿: ikuko | 2011.08.23 08:49
初めて聞いた時にボーカルの総君の歌い方が会いによりも志村風だなと感じました。
会いには、さわやかなボーカルという感覚でしがstarは語尾が江戸っ子口調というか志村氏の歌い方に似ているなと・・・(うまく表現できないのですが・・w)いなくなってしまったけれどキチンとそこに存在しているんだなという感覚を受けました。
センチメンタル的に悪い後ろ向きにいくのではなく、ここからこそがstartなんだ!というメンバーの強い前進していく様に感動しました。
投稿: YOU | 2011.08.23 15:33
先日、FM音源をお送りさせていただいた者です。先生の思いを記事にしていただけて嬉しいです。WOWOWでROCK IN JAPANのダイジェストを放送しているのですが、そこで放送されていた、総くんが志村さんを思って創ったというECHOという曲も非常に素晴らしいもので思わず涙してしまいました。先生や教え子の方がおっしゃるように、やはりそこにいたのはまぎれもなくフジファブリックでした。私は11月のライブを見に行くのですが、今から楽しみになりました。
投稿: shu | 2011.08.23 20:04
先生お久しぶりです。
先日吉田口 馬返しから5合目 佐藤小屋まで子供達と古道を山登りしました。志村くんを思いつつ。
実は私は複雑な思いを拭い去れず 今だCDも予約できないでいます。
グッズもなやんでいるうちにSold-out。
ライブもこんな気持ちで行ってもと思っていましたが 思いがけず当選。
志村くんを思ってもやもやが晴れるのは 富士吉田にいるときだけです。
全然嫌いになったりはしていません。
ただ自分の気持ちが追いつかないのです。
今日は火祭りですね。
若者のすべては湖上祭を歌ったとのことですが ワタシも先生と同じく、火祭りを思っていたのではないかとおもいます。
この雨。
太宰があの着物を着て見に来たんでしょうか(笑)
投稿: さお | 2011.08.26 22:34
庵主様、こんばんは(^^)
久しぶりにコメントさせて頂きます。
今日USTでフジの生ラジオがありました。
久しぶりに動く3人を見ました。フジファブリックでした。
そしてSTARを含め色々な曲を聴きました。
ECOは本当にせつない曲でした。
これをライブで聴いたらどうなるんだろう。
他にも総くんダイちゃんや加藤さん、みんなで作り上げた曲たちがたくさんでした。
志村君が生前にバンドはメンバーが大切と
このメンバーだからというようなことを言っていたのを思い出します。
今回は3人で作り上げたアルバムですが
志村君もまだ息づいているように思いました。3人の中に。
なんだかよく分からない感情ですが。。。
やっぱりフジファブリックが好きです。
そして富士吉田、今月行きたかったのですがまさかの台風接近。
せっかくだから富士山みたいし、またにしようかと思います。
そちらはだいぶ夜朝は涼しいのでしょうか?
虫の祭りのきせつですね(^^)
投稿: 花屋の娘 | 2011.09.17 01:32