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2011.08.27

震災復興プロレスイベント 『INOKI GENOME』 & 『ALL TOGETHER』

『INOKI GENOME ~Super Stars Festival 2011~』&『ALL TOGETHER』
Bt11082801ns300 成の隅田川決戦と言われた同日同時刻プロレス興行。今回は両者ともに東日本大震災の復興支援という目的がありましたから、昭和の隅田川決戦とは違った意味で大いに盛り上がりましたね。
 この時代に合計3万人近い人々がプロレス興行の会場に足を運んだのですから、これはすごいことですね。世間にプロレスの力を見せつけたというか、現代社会、特にこうした困難な時代にプロレス的な世界が必要であり、また実際にそれが有効な力を持っていることを示せたのではないでしょうか。
 カミさんは両国国技館のマス席でスネークピット仲間たちとIGF「猪木ゲノム」を観戦してきました。私は仕事のために東京へは行けず、ちょっと悔しい思いをしたのですが、まあある意味いい世の中になりましたね、両国はニコニコ生放送で無料観戦(途中追い出されてプレミアム登録しましたけど)、そして武道館のATはCSのPPVで観戦いたしました。
 ニコ生の視聴者数も最終的には10万を超えていました。ネットでの放送を観るという積極的かつ現代的なプロレスファンがこれだけいるということだけでも、正直うれしい事実でしたね。
 ATのPPVがどれくらいの数売れたかは分かりませんが、こちらもそれなりの数になっていたのではないでしょうか。
 プロレスの世界は昭和の興行形態を比較的維持する保守的な業界でした。しかし、地方でのどさ回り興行が種々の事情により難しくなり、また昭和のプロレスと共に支え合っていたテレビ文化がここまで沈滞してしまうと、なかなか世間での認知度が上がらず苦戦するという状況が続いていましたね。
 しかし、こうして現代の新しいメディア戦略を立てていけば、また大きなうねりを作ることができるのではないかと強く感じました。
 震災という悲劇があったおかげとは言えませんけれども、昭和のプロレスも元はといえば敗戦の困難の中から生まれた文化現象だったわけですから、今回の二大イベントはプロレス新時代へのきっかけになる可能性があると言ってもいいでしょう。
 そう、プロレスというのは「人生の縮図」なのです。苦しみや痛みから逃げず、正面からぶつかっていき、そして倒されても倒されても何度でも起き上がる…。
 勝ち組負け組という言葉に象徴されるような、現代的デジタル社会とは違い、勝った者にも負けた者にも同じように拍手が送られる世界。敗者にこそ人々の応援の声が集まり、そして忍耐と精進、成長と復活の物語が紡がれていく。
 こういう世界こそ、たしかに今必要なものでしょう。私は教育者として青少年たちにこそこういう世界を知ってもらいと思います。
 たとえば、今日両国には60歳を超えたアントニオ猪木とタイガー・ジェット・シン、70歳前後のアプドーラ・ザ・ブッチャー、ミル・マスカラスが登場し、往年の抗争を彷彿とさせる闘いの姿を見せてくれました。また、武道館には80歳のザ・デストロイヤーさんも登場しました。
 そこに私たちは涙するのです。もちろん偉大なる実績を持つお年寄りを尊敬するという気持ちもありますが、自分たち自身の過去に愛情を持つという意味もそこにはあるのです。
 たとえばこういう映像を観て、茶番だと言ったり、どうせ八百長だろと言ったりする、そういう貧困な心を若者には持ってほしくない。真剣にそう思います。
Bt11082804ns300 それにしても、今日の二大興行は、見事に対照的な内容でしたね。猪木ゲノムは全てがシングル対決、そして異種格闘技戦が多く、独特の緊張感がありました。一言で言うなら、やはり昭和の新日本プロレスの雰囲気でしょうかね。
 一方のATの方は、往年の全日本プロレス的だったと言えるでしょう。全てがタッグマッチ。闘いは闘いでも、そこには「アンサンブル感」がある。安心して観ていられる一種の「あたたかさ」がありました。
 そのどちらが良いとか悪いとか、そういう次元ではないのです。先ほど書いたように、プロレスは「人生の縮図」です。多種多様な人間がいて、多種多様な人生があって、そのそれぞれの中に必ず「闘い」があるわけですから、これでいいのです。
 実際、両大会の中にも、様々な闘い模様がありましたから、さらに多様で複雑な世界を形成していました。逆に言えば、一面的な闘い模様しか表現できないジャンルになってしまったら、もう「プロレス」ではないのです。
 私は音楽をやっているので、そのあたりのことをいつも体感しています。つまり、あるバンドや合奏団で演奏する際、他者を刺激し、他者と闘い、自分が目立たねばならない時と、相手に合わせて「場」を作る瞬間とが、絶妙に共存して、初めて音楽になることを知っているのです。
 と、いろいろ抽象的なことばかり書いてきましたけれど、両大会から、私自身もたくさんの勇気と元気をいただきました。きっと被災者の方々はもっとたくさんの「力」をもらったのではないでしょうか。
 いつの時代でも、困難な現在に必要なのは、過去と未来を結ぶ「物語」なのでした。プロレスや歌…今私たちに必要なのは、「全ての人間や人生を慈しむ心」と、「折れない心」なのではないでしょうか。私はそれこそが「和の精神」だと思っています。
 本当は各大会の試合内容についても触れるつもりでしたが、まあそれは他の人もたくさん書いているでしょうから割愛します。
 さて来週はこれまたプロレスの大切な一面の表現である「キャンプ場プロレスリング・オム(代表飯伏幸太)旗揚げ戦」に行ってきます!ああ、私の人生にプロレスがあって良かった。

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