道志村(冥界)で蛍狩り
記事の下の方に動画があります↓
蛍狩りに行ってきました。
山梨県の東端、神奈川との県境にある道志村でホタルがたくさん出ているという情報を聞きつけ、家族で出かけました。
今日は風が強かったですね。強風のため富士山の東側に発生した巨大な吊るし雲の下、山中湖を通って山伏峠を越え、途中少し雨に降られながら道志村に入りました。
道志村に着いたはいいが、いったいどこが蛍ポイントなのかさっぱり分からず、どんどん道志川に沿って下っていってしまいました。
とりあえず誰かに聞こうということになりまして、村の温泉施設「道志の湯」へ。受付のおっちゃんに聞くと、「この近くにも出るけんど、今日は風が強いからいねえよ」とのこと。
まあ、これだけ風が強ければしかたない。じゃあ、せっかく来たからお風呂には入っていこうということになり、期せずして湯治をすることになりました。そう、私、4月から四十肩、いや五十肩が痛くてしかたなかったのです。
閉館時間間近ということもあって、数人の地元の方以外はおらず、一人でゆっくり露天風呂を独占。おかげで腕の可動範囲もかなり大きくなりました。
ひとしきり旅気分を味わって、じゃあ帰ろうかと車に乗り込もうとしたその時、小3の下の娘が暗闇の中誰かに話しかけられました。
うわっ妖怪だ!(失礼)というような風情の地元のおじいさんです。妖怪の特殊能力なのでしょうか、ウチの家族が蛍を観に来たということがなぜかバレていて(笑)、娘に「おい、蛍見たいか。じゃあ秘密の場所を教えてやる」というようなことを言っています。
なぜ下の娘が選ばれたかというと、たぶん、彼女がザシキワラシ風だからでしょう。妖怪通信といったところです。
で、車に乗り込んできた娘に聞くと、なんでもこの道の先、山の中に蛍スポットがあるとのこと。
そこで、その妖怪通信の記憶をもとに車を走らせましたら、あらら、なんだかどんどん山の中に入っていくぞ。そこら中でがけ崩れが起きている細い林道になってしまいました。
どう考えてもこんな山の中には蛍はいないだろう。そして、今、活発な道志断層が動いたら、我々の軽自動車は確実に岩の下でペチャンコだな。などと夫婦で話していたら、娘たちはすっかり怖がってしまい、「もう帰ろうよ」と泣きべそをかきはじめてしまいました。
やはり妖怪にだまされたのか…いや、言われるがままに行くと、そこは蛍の乱舞する冥界なのではないか…。
怖い物知らずで無鉄砲な私たち夫婦もさすがに危険を感じUターンすることとしました。
半ばあきらめて山を下っていると、先ほど登ってきた時には気づかなかった横道があるあるではないですか。
もしかしてこっちかも!?と私がハンドルを切ると、娘達は更なる暗闇に恐れをなし、「もうホントにやめよう。帰ろう」と叫びはじめました。
しかし、父と母は、せっかくたたまで来たのだし、ダメ元でとりあえず行ってみようと、持ち前の「踏出力」を取り戻し、娘の哀願を無視してズンズン山道を登っていってしまいました。
しばらく行くと、行き止まりになりました。ああ、やっぱり今日は無理かと思いつつ、私は車を降りて目の前の漆黒をただ見つめるだけ。
さすがに観念か。まあタヌキにでも化かされたと思って帰ろうとしたその瞬間、黒々とした私の視界に、ふわっと青白い光が舞い込んだのです。
「蛍だ!」
私たち家族は、そのたった一匹の蛍を追いかけ始めました。娘たちも、もうその時には、先ほどの恐怖は忘れてしまっています。
私たちが、そのたった一つのともしびに導かれて歩んだその先には…。
数百匹の蛍が森の中をふわふわと明滅している。決して乱舞ではありません。音もなくついたり消えたり、止まったり動いたり、全体としても強く弱く波打ちしながら、たしかな調べを奏でているのでした。
ここで一首(実は昨年作ったものですか)。
静寂にアルペッジオの消ゆるごと
蛍の群れの闇に溶け入る
いやあ、あの老爺は何者だったのか。ホンモノの妖怪だったのではないか…。
夢心地で家に帰り、地図を広げてみたのですが、そんな脇道は載っていませんでした。あそこは本当に冥界だったのかもしれません。
しかし、冥界でもデジタル機器は作動いたしました(笑)。ちゃんと冷静に感度を上げて、その冥界の蛍を動画でおさめてきましたよ。フラッシュにしてみましたので、ぜひご覧下さい。
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コメント
幻想的ですね〜蛍の光。
私も毎年、蛍狩りに行っています。
地元のメジャーな蛍の里から、これまた暗闇の山道を奥に進んで行くと、穴場スポットがあるのです。私の場合、妖怪ではなく、地元のおまわりさんに教えてもらいました(笑)。
もう10年も前になるかと思いますが、その夜は蛍が数百匹ほど乱舞していて、空には満天の星が...。
蛍って、予想以上に高く飛ぶんですよね。
空一面がキラキラ輝いていて、その光が星なのか蛍なのか区別がつかないほどでした。
あんなに素敵な夜だったのに、娘たちは幼すぎたせいか、全く覚えていないとのこと...。それだけが残念です。
投稿: 松原恵子 | 2011.07.05 15:29