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2011.07.07

ストレステスト!?

Photo 「本の国土面積は世界の0.07%だが、ここに世界の全火山の7%があり、ここで全地震の10%が起きている。そして、ここに世界の原発の13%がある」
 私が何気なくつぶやいたこのフレーズが、リツイートを重ねて今日本中に拡散されています。こういうTwitter的体験は初めてなので、ますます言葉の重さ、責任の重さというのを感じています。ある意味恐ろしささえ感じます。
 言葉は情報であり「コト」ですから、永遠に消えません。放射線よりもタチが悪いとも言えますね。
 まあ、私の発言は一般人の独言として処理されるべきものですが、この発言はそういうわけにはいきませんよね。

 「再稼働の是非を判断するため全原発でストレステストを行なう」

 一国の首相や大臣や担当委員長の言葉です。信じられません。
 これはあらゆる意味でナンセンスな言葉です。まず、こういう実体の伴わない「カタカナ語」を使っている時点で「意味」がありません。ま、考えてみれば、我々は同様の「マニフェスト」なの造語にだまされたわけですけれど。
 一般に「ストレステスト」というと、金融機関などに対する、「想定外」「常識外」に誇張された数値によるシミュレーションのことを言います。経験的に「こりゃ、さすがにあり得ないな」という極度の恐慌状態などを想定して、コンピューターに数値を入力して行なう試験です。
 これはたとえば、銀行や証券会社の経営の健全性を確かめるには有効なテストです。なぜなら、「カネ」の出来事は人間による「コト」世界(概念世界)ですから、ある程度それをコントロールできるからです。
 しかし、いわゆる製品の「耐久試験」には違った側面があります。それは、相手が「自然」という「モノ」だということです。
 自動車の「ストレステスト」は、たとえば何十万キロ連続走行とか、衝突試験とか、ブレーキの1系統が壊れた際のシミュレーションだとか、そういうテストが行われますね。命に関わることですから当然です。
 ここでシミュレーションの対象となるのは「自然」現象がほとんど(人為的なミスも結果としてはそこから生じる物理現象)ですが、あくまでもその「自然」は「常識内」「経験内」で想定されます。
 しかし、皆さん思い出してください。あの大津波で自動車がどうなったか。そう、まるでおもちゃのように流されてしまいましたよね。ただ、それは自動車会社としては責任を負うべき次元ではありません。ストレステストのストレスの領域を超えているからです。
201107079229471n では、原子力発電所に対する「ストレステスト」はどのようにどこまでやればよいのでしょうか。実はそこにナンセンスの理由があるのです。
 今から政府が行なおうとしているのは、ヨーロッパの基準による「ストレステスト」だそうです。欧州流のストレステストが具体的にどういうものか私は知りませんが、間違いなく言えるのは、その中心となるのがコンピューターによるシミュレーションだということです。
 金融機関に対する、つまり「コト」世界に対するストレステストはコンピューター・シミュレーションでけっこうです。しかし、自動車や家電製品のような「モノ」世界では、必ずコンピューター・シミュレーションのほかに実際の製品を使って試験が行われますよね。
 はたして原発でそのような実際の製品を使って、そして想定される(経験した)最大値を超えるテストができるでしょうか。つまり、浜岡原発を震度7で揺すって、そして25メートル級の津波に襲わせることができるかということです。
 それ以前に、冒頭に載せた私の言葉を思い出してください。日本はそういう特殊な国なのです。ヨーロッパとはあまりに「自然」環境が違います。それなのに、欧州基準でテストして、なんの意味があるのでしょうか。まったくナンセンスとしか言いようがありません。
 こんな子どもだましで、かたや延命を図り、かたや原発再稼働を目論む。いいかげん国民をバカにするのもやめてもらいたいですし、国民もバカにされっぱなしにならないでもらいたいと思います。 
 今、日本は本当にピンチに陥っています。天災よりも複合的な人災によってです。恐ろしいことです。
 今本当にストレステストを課してその欠陥を暴露すべきは、首相自身であり、大臣であり、政府であり、政党であり、経済産業省であり、各種利権集団ではないのでしょうか。


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コメント

ストレステスト。するかしないかと言ったら、そりゃした方が良いわけですよ。(欧州にならっての発言のようですが、欧州基準でやるとはまだ決まっていませんね。)現状、政府や電力会社の安全宣言に、まるで説得力がありませんから、原発を再稼働するにせよしないにせよ、それぞれの根拠が必要でしょう。
不可解な菅首相の口から発せられたからといって、何でもかんでもトンデモ発言として受け止めてしまうのは、それはそれで問題というか、そこが問題なんですよね、実は。
まだしばらく首相の交代は期待出来ないようです。で、あれば、いい加減、彼の特異なパーソナリティーに振り回されずに、議論すべき事は議論するといった流れになっていただきたいところ。

今ストレステストを受けているのは確実に国民の方ですね。

投稿: LUKE | 2011.07.09 04:12

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