『賢いスポーツ少年を育てる』 永井洋一 (大修館書店)
みずから考え行動できる子にするスポーツ教育
今日は学生スポーツでたくさんの感動をいただきました。
まずは我が中学校の女子バスケットボール県総体。本校は開校2年目ですから最高学年2年生のチームですが、見事ベスト4に入って決勝リーグを戦いました。
1戦目は優勝候補校に惜敗。しかし残り2勝すれば県2位となって関東大会への出場権が得られます。今日はその2戦目、3戦目が行われました。
2戦目、全体に動きが固く、ファウルも連発、なかなか自分たちのリズムに持ち込めず第4クオーター開始早々に20点のビハインド。さすがにダメかと思いましたが、そこからがウチのチームの真骨頂でした。
あきらめない心、折れない心と、それを支える、圧倒的な練習量に裏打ちされたスタミナで一気に追い上げ。残り19秒で1ゴール差、マイボール。
しかし結果は…そのまま試合終了。最も悔しい形での負けとなってしまいました。その時点で全敗ですから最下位です。誰もがあきらめかけた時、もう一つのコートで優勝候補校が逆転負けを喫したのです。
最終の2試合を残して、2勝が1チーム、1勝が2チーム、そして本校が2敗という状況になりました。
ということは、2勝しているチームが次の試合で1勝のチームに勝って全勝優勝し、ウチがもう一つの1勝のチームに勝てば、2位は1勝2敗で3校が並ぶということになります。そうなれば得失点差での順位決定となります。つまり、本校にも関東大会出場のチャンスがあるということです。
対戦パターンを考えれば、その可能性もないとは言えません。まずは自分たちが最後の試合で大勝し、お隣のコートで全勝校が勝ってくれれば計算上ウチが2位になる可能性が、少ないながら残されているのです。
そして結果は、まさにその最高のパターンになりました。最下位から一気に2位に!創部2年目、2年生チームでの関東大会出場という画期的な結末となりました。
いやあ、興奮しましたね。感動しました。あきらめずに無心で点を取りに行き、そして最後は「他力」。まさに「人事を尽くして天命を待つ」という感じでした。
いろいろな条件や偶然が重なって、ピンポイントでの逆転劇となったわけです。勝った生徒たちは、そんな細かい得失点の計算などしていませんから、試合に勝っても自分たちが関東大会に出られるとは思っていなかったようです。
その感動の合間には我が高校の女子バスケットボール部の快挙の報も入ってきました。高校生は県大会で優勝し、今北東北のインターハイに出場中です。そして今日は2勝目。全国のベスト4を目指して旋風を起こしています。私が赴任した四半世紀前には、県内で1勝して泣いて喜んでいたチームがここまで来ました。感慨深いですね。
さらにバスケ終了後には、我が母校の甲子園出場決定のニュースが。今日は本当に学生スポーツに興奮させられた1日でした。
こうした学生スポーツ、少年少女スポーツは、日本ではずっと「素晴らしいもの」とされてきました。しかし、その実情は「勝利至上主義」「指導者至上主義」「先輩至上主義」「根性至上主義」「親の自己実現の道具」「肉体の酷使」など、いろいろな弊害をもはらんだものです(そのほとんどが軍国主義の名残です)。
その辺に関しましては、今までも「スポーツは「良い子」を育てるか」や「少年スポーツ ダメな指導者 バカな親」の記事の中で述べてきたつもりです。
そうした点もしっかり把握した上で、あくまでも「教育」としての「スポーツ」「部活動」を構築していかねばなりません。それは私たち部外の教師の役割です。
本校の場合は全ての活動のベースに親や教師の「圧倒的な愛」があるつもりなので、前述のような弊害は最低限に抑えられていると信じていますが、これから子どもたちがどんどん強くなり、活躍するようになると、私たちが望まぬ「敵」が現れてくることも覚悟しておかねばなりません。その「敵」とは「大人の事情」であることが多いのですが(今回も実は少し感じました)。
そうした弊害を防ぐだけでなく、より「スポーツ」「部活動」が生徒にとって教育的にプラスになるよう導くにあたり、この本は大変参考になります。
そしてこうした価値観と実践は「スポーツ」「部活動」に限らず、全ての教育活動や子育てに適用することができると感じます。
指示待ちではなく、自ら考えて行動する。想定外の状況にも冷静に対処できる。そういう「賢い」生徒を育てていきたいものです。
私たちは子どもたちからこんなに感動をいただいています。そこに満足することなく、彼ら彼女らに何を還元できるか、常に考えていくのが大人の役割でしょう。
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