原子力ポスターコンクール
↓文部科学大臣賞作品。見事なブラックジョーク。
このブログでも何度も指摘しているように、学校現場では基本的に「原子力教育」というのがなされてきました。
というよりも、ほとんどの教員は意識せず、それを行なってきたとも言えます。なぜなら、文部科学省が原子力推進派なので、教科書や各種教材を使ってまじめに授業をすれば、自然と「原子力教育者」になってしまうからです。
私のような変わり者教師は、教科書なんか信じるなとヘーキで言えますが、普通はなかなかそうはいかないでしょうね。
学校では原子力発電推進の理由を「日本は資源が少ない国」「温暖化の原因物質であるCO2を削減できる」という、二つの大嘘で説明します。
もちろん、私は両方否定してきました。ここでいう「資源」は、発電のための原料という意味ですから、本当は逆です。火山国で島国である日本は、水力や地熱や潮力、潮汐力、風力など、非常に「資源」に恵まれている国です。そんなの常識です(いや非常識か)。
温暖化については、いつも言っているように「暖かくなって二酸化炭素が増えると光合成が盛んになるので植物が喜ぶ。植物が元気だと草食動物が喜ぶ。草食動物が元気だと肉食動物が喜ぶ」ので、大いにけっこうです。というより、二酸化炭素だけを温暖化の原因物質として名指しするのは教育的ではありません。
ま、これらはずいぶんと極端な説であり、皆さんは「これはこれで危険な教師だ」と思うかもしれませんね(笑)。
これを押しつけるわけじゃないんです。こういう視点も与えつつ、こう言われたらあなたはどう考えるかという「選択の機会」を与えるという意味です。
そういう「選択の機会」を奪うのがいわゆる公教育の持つ性質です。その良い例がこの「原子力ポスターコンクール」でしょう。
今年はさすがに中止になったとのこと。私としては今年こそぜひやってほしいと思っていたんですが。文部科学省(&経済産業省資源エネルギー庁)の方針を貫かないと国民(子ども)は動揺してしまいます。やめるなら「すみません、今まで皆さんをだましていました。洗脳しようとしていました」と言うべきです。
ここで大切なことを書いておきます。これらのポスターを一生懸命描き、立派な賞をとった子どもたちにはなんの罪もありません。逆に可哀想ですね。今回このような事故が起き、こうして原子力に対する逆風が吹きまくることになったわけですから、彼ら彼女らの今の気持ちを考えると実に胸が痛くなります。
そのうえで、そういう残酷なことをしてきた日本の教育界を糾弾するために、あえて作品を掲載させていただきます。批判もあって当然です。そのくらいの批判は受ける用意はあります。
子どもたちが可哀想だからこそ、この現実を皆さんに知っていただき、文科省、教員、大人たちは猛反省をしてほしいのです。もちろん私自身も。
このコンクールに対する文科省の考えはこうです。
そして、このコンクールの昨年度の募集要項はこちらです。
募集要項にある作品制作のヒントをよくお読み下さい。5重の壁で放射線漏れを防いでいる…!?
つい最近まで、娘の小学校でも募集のポスターが貼ってあったそうです。昨年から貼りっぱなしになっていたのでしょうか。もしかすると違う種類のものかもしれませんが、入賞者は原発見学に行ける!という内容だったとか。
歴代の入賞者には福島県の子どももいました。今、彼女はどういう気持ちで自分の作品を眺めているのでしょうか。大人の責任は重大だと思います。
私のような立場で仕事をしていると、毎日毎日「○○ポスターコンクール」「○○作文コンクール」の募集案内が届きます。それらも一つ一つしっかり検討すると、中には非常に洗脳的なものを見つけることができます。子どもはそのあたりの判断はできません。全国の先生方、ぜひ子どもの代わりに「選択」をしてあげてください。
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コメント
立派な教育姿勢に頭が下がります。私もたとえば、広瀬隆氏の「二酸化炭素温暖化説の崩壊」や石橋克彦氏の「原発を終わらせる」などをよんで原発の怖さを学びました。反原発で頑張りましょう。
投稿: 永島 健一 | 2012.04.09 06:43