『HAYABUSA - BACK TO THE EARTH - 帰還バージョン』 (上坂浩光監督作品)
来月、生徒たちと一緒に「はやぶさプロジェクト」の川口淳一郎さんの話をお聞きする機会がありそうなので、事前にいろいろ勉強をしておこうと思って購入しました。
昨日はトンデモななんちゃって映像作品を紹介しちゃいましたが、こちらはその対極にあるような、ていねいに作り込まれた作品ですね。
ご存知のようにこの作品はプラネタリウム用の全天型CG映画です。渋谷のプラネタリウムで上映されて、大ヒットとなりました。私、春休みに観に行こうと思っていたのですが、震災で上映中止になってしまいました。まだ再開してないのかな。
この小惑星探査機「はやぶさ」は度重なるアクシデントを乗り越えて無事地球に帰還しました。そしてごくごく微量ながらイトカワの岩石を採取してきたことが分かりました。
その不屈の精神が人々の感動を呼んだんですよね。もちろん、それは川口さんらスタッフの執念とも言えますが、国民のシンパシーはどちらかというと「はやぶさ」自身に向かっているような気がします。
その証拠に、この映画には人間が登場しません。登場するのは擬人化された「はやぶさ」一人です。そこが面白いところなのでしょう。
なんでも映画会社3社がこぞって「はやぶさ映画」を制作中とのこと。こういう時代だからこそ励まされたい人がたくさんいるのでしょうね。それにしても機械に励まされちゃう日本人って…。
そう、今回この作品を観て、私、「走れメロスじゃん!」って思っちゃいましたよ。私の「走れメロス」観はこちらに書いてありますとおり、「ありえない物語」「実は大失敗の話」ですので、まあそういう意味です。
川口さんやはやぶささんには申し訳ありませんが、このプロジェクトって考えようによってはアクシデントの多すぎる「プロジェクト╳(ペケ)」ですよね。結果によっては噴飯ものの大失敗劇となりかねません。
そこに「神風」が吹きまくって感動的な逆転劇になる。「走れメロス」そのものじゃないですか。あるいは「なでしこジャパン」(笑)。
ま、そんなところがいかにも日本的な感動を呼んだのでしょうし、実際のところ「なでしこジャパン」のように、「大和魂=絆&折れない心」が、天を動かしたとも言えますね。
原発事故なんかもそうですが、日本人はそういう失敗をカバーする奇跡に対して感動こそすれ、反省しない傾向があるのは困ります。「走れメロス」をいつまでも友情や誠の感動物語だなんて読んでいるようじゃダメです!
ま、こんなこと川口さん本人には言えませんな(笑)。ありがたくお話聞いてこようと思っています。
そうそう、このCG映画も紹介されていたNHKのクローズアップ現代『傷だらけの帰還 探査機はやぶさの大航海』(こちらではワタクシもはやぶさくんに感情移入してますな)の動画があったので貼っておきます。こちらは人間ドラマですし、本質的な問題点にも触れているいい番組だと思います。
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