地震の現状と今後
皆さん、ここ数日地震が少ないとお感じになっていませんか。やっと余震も収束に向かっているのかと安心している方もいらっしゃることでしょう。
短期的に見ますとその感覚は間違いではありません。しかし、何度もこのブログで書いてきたように、「天災は忘れた頃にやって来る」です。ある意味私たちが日常を取り戻していくにしたがって災害の危険性は増していきます。
一連の地震活動は、大きな波の中に小さな波を繰り返しながら、次第にその波が小さくなって収束していきます。今はその大きな波の(たぶん)二度目の底の部分にいるのだと思います。
ですから、また波はやってきます。これは間違いありません。次の波がどの程度の大きさになるのか、それは非常に難しい。科学的というよりも経験的にしか予想ができません。
その予想とはM8クラスの余震が起きる可能性があるということです。可能性があるということは、次の波の中ではM8レベルの地震は起きない可能性もあるということです。そうとしか言えません。
つまり、常識的に考えてマグニチュード本震マイナス1の余震は絶対に起きると考えてよいが、それがいつになるか分からないということです。
ようやく最近になって専門家の方々もそういうことをはっきり言うようになってきました。そして、私が言い続けてきた余震と誘発地震の区別もようやく説明し始めました。なんか後手後手ですけどね。
余震とはまさに「余り」。一連の震源域の中で割れ残った部分が割れるということです。今回の巨大地震は震源も巨大です。三陸沖から茨城沖まで南北500km、東西200kmの断層というか固着面が破壊されました。
ここまで大きいと余震域もスケールを拡大して考えなければなりません。そうすると最も大きな「余り」は北側の十勝沖と南側の房総沖ということになります。そこでM8クラスの「余震」が起きる可能性があるのです。
ちょっと前にご覧頂いた地殻変動図をもう一度掲載します。
図の上半分に目を向けて見ましょう。矢印が描く全体的な流れを感じてみて下さい。どうですか。東北地方から北海道は、今回の震源域に向かって吸い込まれていくように見えますね。
今度は下半分、関東地方に目を向けます。すると、不思議なことに房総沖に向けて吸い込まれていくように見えますね。つまり、北米プレートはその南限まで東に引っ張られているということです。
震源域では破壊が伴ってそういう変動が起きましたから、基本たまりたまったストレスを解消したと考えられるのですが、房総沖は破壊が伴っていませんから、逆に固着面でのストレスが増した可能性が大きいのです。
そういうわけで、私はずいぶん前から房総沖の危険性を訴えてきたのです。もちろん2004年のスマトラ島沖巨大地震の3ヶ月後、その南隣でM8.6の「余震」が起きているという経験からの予想でもありますが、それ以上に実際の地下の状況を考えると、どうしても看過できないわけですね。
ただ、そのストレスを解消するのがいつなのか、それは人間の時間感覚だけではなかなか予測できません。房総沖の前に、関東の北米プレート上で断層が動くかもしれませんし、関東フラグメントの活動による東京直下の地震が起きるかもしれません。
本当に難しいですね。しかし、そのそれぞれの可能性は百年単位で考えると100%でしょう。さらに発見されていない、あるいは今回新たに生成された断層まで想定すれば、もういつどこで大きな地震が起きるか全く分からなくなってしまいます。
ただ、これは私の独自の観察と勘による「実感」なのですが、フォッサマグナではストレスはだいぶが減少しているようです。頑強なプレートに比べると、もともとフォッサマグナはある意味軟弱なので、ストレスを吸収する傾向があるようです。まあ、そのおかげで、今回の地殻変動は東日本だけで収まっているわけですね。矢印の大きさの変化を見ると、そんなことも感じられますね。
富士山も基本落ち着いています。南西麓直下の地震はなかなか収束しませんが、別の活動につながる兆候は今のところありません。
どんな地震も地殻変動も、大局的に見れば全てストレス解消、安定の方向に向かうためのものです。そのことを忘れてはいけません。正座した地球が足のしびれを直すためにちょっと動くようなものです。そういう発想で一連の地殻変動を見ることも必要でしょう。
もちろん、これも何度も書いていますが、必要以上に心配する必要はありません。必要な分だけ物心両面での準備をしておけばいいのです。
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