クリストフォリ(最古のピアノ)で遊ぶ…
ウチの歌謡曲バンドのキーボーディストにしてウチの娘のピアノの先生である方のお宅におじゃましました。
いちおう名目は娘をピアノ教室へ連れて行くということでしたが、結局娘のレッスンそっちのけ(というか1回弾いただけ)で、私と先生はモーツァルトのヴァイオリン・ソナタ(ヴァイオリンの伴奏付きピアノソナタ)で遊び出してしまいました。娘はそれをぼんやり聴いている…いや、こういう鑑賞も立派なレッスンなのである!ということにしておきましょう(笑)。
いやはや、なにしろ、そこにあるのはクリストフォリなんですよ!御存知ですか?クリストフォリ。
バルトロメオ・クリストフォリ…ピアノの発明した人です。正確に言えば、18世紀の初めにチェンバロの弦をハンマーで叩くという機構を考案して実際に製作した人ですね。たしかにそれが現代のピアノの基礎になったわけですから、彼をしてピアノの始祖とするのもあながち間違いではありません。
クリストフォリが製作したホンモノは世界に3台だけ現存しています。それらを参考にして日本を代表するチェンバロ製作者の久保田彰さんが製作したのがこの楽器。
以前、私がこちらでフォルテピアノとして紹介した楽器と同じタイプですね。この記事をお読みいただければ、この楽器がどういう素性と性格のものかお分かりいただけると思います。
それにしてもこの楽器が、この山梨の山奥の我らの仲間の家にあるということが奇跡ですよねえ。まったく縁というのは不思議なものです。
所有者もまさかこんなことになるとは思わなかったでしょう。教会での奉仕から始まり、バンド活動、そして都留音楽祭での小倉貴久子さんとの出会い、その他もろもろ…。そんなこんなしているうちに、ウチの娘がピアノを習うことになっている。そして今日のモーツァルトにつながる。
ううむ、音楽というのは面白い。縁を生み出す魔法ですね。特に我らはゴスペルからジャズ、ロック、民謡、歌謡曲からクラシック、古楽までなんでもやりますから、そういう縁の広がり方も尋常じゃない。楽しいですね。
というわけで、娘もいきなり発表会で弾くことになっているバッハ(の息子)の作品を、まさに同時代のクリストフォリで演奏させられ、それがまた結構良くて大人二人は異様に感動してしまって、もう今日のレッスンはおしまい!ということになってしまいました(笑)。
私も即興でチョロチョロとなっちゃってバッハなんかを弾かせていただきました。ううむ、いいなあ…。私クラヴィコード大好きじゃないですか。その感覚に非常に近い。耳のスイッチが入る前に、指先のスイッチが入ります。指先で撫でる。指先で感じる。指先で聴く。これがたまらんのですよ(笑)。
私、基本ふだんはほとんど鍵盤楽器は弾かないんですけど、クラヴィコードかフォルテピアノがそこにあれば、一日中即興で弾いていられます。楽器に弾かされちゃうんですよ。不思議なものです。
本来、楽器というのはそういう「メディア」でした。自己表現の道具になったのはつい最近、近代になってからです。日本で言えば「もののね」を媒介する「こと」なわけです。霊界の玄妙な調べたるモノをこちら側のコトにする。それが本来の楽器の役目なのです。
そういう意味で、フォルテピアノ、特にこの、ちっとも近代化していない最古のタイプは、まだまだ充分に霊媒的な性格を持ち備えているのでした。素晴らしい。
これぞ「ピアノ」。アタックの強いチェンバロよりも「優しい」音のする「ピアノ」とはこのことです。
隣に鎮座している「普通の」グランドピアノが、なんだかとんでもない「兵器」のように見えました(笑)。こっちはどっちかと言うと「ピアノ」ではなく「フォルテ」だな。
これからも時々娘の引率をいたしましょう。今日は急なことでモダン楽器を持って行ってしまいましたが、次はバロック・ヴァイオリンを持参いたしましょう。
以下、その音世界を体験してみたいという方のために動画を貼っておきます。
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